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藤枝東高サッカー部のFW長谷川泰斗が東京大学に現役合格!部活と勉強、トップレベルでどう両立させてきたの?

アットエス


サッカー元日本代表の中山雅史さんや長谷部誠さんら数々の名選手を輩出してきた藤枝東高サッカー部のFW長谷川泰斗選手が東京大学の前期試験で文科一類に合格しました。藤枝東高サッカー部からの東大合格は9年ぶり。

進学校では夏の県高校総体を最後に部活を引退して、本格的に大学受験に切り替える選手が大半ですが、長谷川選手は昨年11月の全国高校サッカー選手権県予選までプレー。決勝トーナメントでゴールも挙げています。

サッカーと勉強、どうやってトップレベルで両立させてきたのか?合格発表があった3月10日、本人に話を聞きました。
長谷川泰斗(はせがわ・たいと)
2006年12月12日、掛川市生まれ。3歳でサッカーを始め、中学までは掛川JFCでプレー。ポジションは中学までDF、高校からFW。掛川市立桜が丘中出身。174センチ、75キロ。最後の高校選手権は決勝トーナメント1回戦の静清戦と、準々決勝の飛龍戦に出場。東京大では法学部に進み、父と同じ弁護士を目指す予定。好きなサッカー選手は元イングランド代表FWでレスターのジェイミー・バーディー。

一問一答

ーおめでとうございます。合格を知ったのは?
ついさっき、3時間ほど前です。親のパソコンで。

ーあまり興奮してないね。
めちゃくちゃ嬉しいですけど、ちょっと信じられなくて(笑)試験(2月25日、26日)を受けた後は、本当に五分五分で落ちてもおかしくないと思っていました。

ーいつから東大に行こうと考えてたの?
高3になってからです。1年生の時は正直部活が忙しすぎて、自分が(東大に)行けるとも思ってなかったです。3年になって、どうせなら目指してみようと思って決めました。

ー夏に引退せずに最後まで続けて東大に現役合格。すごいです。
自分はもともと7月に引退する予定でいたんですが、当時学校の中でコロナが流行して、7月に予定されていた引退試合が延期になってしまったんです。

家で過ごす時間がちょっとあって、サッカーを続けるべきか本気で悩みました。やっぱりインターハイでメンバーに入れなかった悔しさがあったので、未練を残さないように続けようと思って、選手権までやることを決めました。

高校最後の試合となった選手権県大会準々決勝の飛龍戦に出場する長谷川選手(左)


ー選手権直前にメンバー入りしたんですよね。
3年生になってからは練習はトップチームでやらせてもらう機会は結構あったんですけど、
なかなか試合のメンバーには絡めなくて、試合はセカンドチームで出るのがメインでした。9月ぐらいから、プリンスリーグ東海に途中出場ですけど、出させてもらうようになりました。

ーサッカーを続けることによって、その先の不安っていうのはなかったんですか。
やっぱり自分はサッカーで生きてきた人間というか、勉強が一番じゃなかったので、勉強もサッカーもどっちも大事にしたいっていう思いがありました。もちろん不安もありましたけど、未練を残さないためにも、サッカーをやり通すべきだなと思って続けました。

ー夏から部活を引退するまではどういうスケジュールで動いていたの?
本当にきつかったです。朝5時半ぐらいに起きて、6時に家を出て、7時ぐらいに学校に着いて、それから教室で1時間ぐらい勉強していました。

授業の後、16時か17時から部活があって、帰宅して20時過ぎ。そこから夕食を食べて風呂に入って、22時ぐらいから0時半ぐらいまで勉強していました。

夏の遠征先では、一般入試を目指す仲間が5人ぐらいいたので部屋で勉強していました。

ー東大を目指すにしては、それほど勉強してないように感じるけど(笑)
はい、そうですよね。自分はあんまり勉強時間が長い方じゃなくて、とにかく質にこだわってやってたというか…。部活を引退してからは勉強は1日10時間ぐらいでした。

ー1、2年の頃はどれぐらい勉強していた?
本当に部活に追われて、正直あんまり勉強時間を確保できなくて、とにかく授業に必死についていこうと思っていました。家に帰っても、なかなか疲れてしまって…。

ー学校のテストはいつも何位ぐらいだったの?
うーん、でも10番以内には入ってました。

ーもしかして勉強しているのを隠しているタイプ?(笑)
いや、隠してないですよ(笑)本当にやる時間がなかったですよ。

ー「勉強の質にこだわった」とは?例えばどんなことですか。
とにかく机に携帯電話とか余計なものを置かないとか、「1時間勉強したら休む」とか。時間を決めてやってましたね。

ーそれぐらいはみんなやっています(笑)ほかには?
いや、本当に特別なことはないです(笑)小中高の積み重ねとしか言いようがないです。自分に必要なことを自分で考えてやるっていう習慣は身についていたと思います。授業中の居眠り?怪しいですけど、してなかったと思います(笑)

共通テストの対策を授業でやって、2次試験の対策は自分でやるという感じでした。2次は国語、数学、社会2科目と英語。東大の場合は2次試験の配点の比率が80%あるので、2次の方に重点的に力を入れてやっていました。

ー試験は5科目の中で何がよかった?
社会と英語はよかったと思います。でも、総合で受かったような感じだと思います。得意科目はないけど、苦手科目もなかったので。

ー両親から言われてきたことは?
親に勉強しろと言われたことはなくて、試験直前も「たまには休憩しろよ」みたいな。必要なサポートはしてくれていました。例えば、ご飯作ってくれたりとか、模試で落ち込んだ時も言葉を掛けてくれたりとか。

ー夏に引退せずにサッカーを続けると言った時は、両親に反対されませんでしか?
むしろ続けてほしい、やりきってほしいっていう感じで、最後の選手権も見に来てくれました。

ーサッカー部のスタッフは?
模試でたまに練習に行けない時もあったんですけど、理解してくださって、いつも気にかけてくれてました。すごいサポートをしていただいたなと思います。

長谷川選手(中央)


ー高校最後の試合となった選手権予選の飛龍戦(PK戦敗退)を振り返ってください。
3対3の状況で、勝ち越し点を狙って後半に投入されました。延長戦。左サイドでエースの湯山がボールを持って、「シュートを打つんだろう」と思って自分はあまり準備をしてなかったんですけど、クロス上げてくれました。最後に自分のところに「触れば得点」というボールが転がってきた時に、足を伸ばしたんですけど、触れなくて…。あの光景はずっと悔いとして残るんだろうなと思いますし、この悔いを大学サッカーで返したいと思います。

ーサッカーは大学でも続けるんですね。
はい、やります。今は東京都リーグ1部で、関東1〜3部の下ですね。

ーいつから弁護士を目指してきたんですか?
小学校ぐらいからですかね。プロのサッカー選手も頭の片隅にはあったかもしれないですけど、そんな実力もなかったし、自分がなれるなんて思ってなかったので。

ーあらためて目標を聞かせてください。
まだスタートラインに立っただけだと思うので、これからも藤枝東で学んだことを生かして、勉強もサッカーも頑張りたいと思います。東大のサッカー部も実績のある人もいて、甘くはないと思います。

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