なぜ、カンニング竹山は映画「小学校~それは小さな社会~」を熱く語るのか?
野村邦丸アナウンサーがパーソナリティを務めるラジオ番組『くにまる食堂』(文化放送・月曜日~金曜日9〜13時) 12月23日の放送は、月曜レギュラーのカンニング竹山が心を打たれたという映画、『小学校~それは小さな社会~』について語った。
邦丸「今日は、今公開されてる映画の話ですね」
竹山「ちょっと番組がらみで見て、非常に感動したというか、「ああ、いいドキュメンタリーだなあ」って思いまして。その映画は、イギリス人の父と日本人の母を持つドキュメンタリー監督、山崎エマさんの『小学校~それは小さな社会~』という作品です。
どんな映画かと言うと、山崎監督自身が小学校で4000時間を過ごし、コロナ禍の2021年4月から1年間の150 日、700 時間、撮影したんです。1年生と6年生にターゲットを絞って、もう日常をずっと撮るんですよ。なおかつ教師の成長とか悩みとか、その辺もず~っと撮ってる。
どういう目的で撮ったのかというと、山崎監督は小学校まで関西の公立小学校に行ってて、そこからアメリカンスクールに行ったりして、アメリカで生活しているときに、小学校時代の話をすると「何それ?」「そんなんなの? 日本の小学校って」とビックリされるんですよ。
小学校で掃除をするとか、並ぶとか、給食をみんなに配るとか「何それ?」ってなって、もしかしたら日本人の律義さのルーツというか、ルールを守ることとかは、小学校時代に形成されてるんじゃないかな、というテーマで実際に小学校でずっと撮影していくんです。
僕も今はちょっと真面目な番組とか、教育がテーマの番組に出て、教育のプロの人とか、民間で働いてたけど小学校で教えてた人とか、教育の評論家の人とかといろいろ話す時があります。
そこでは、日本は今まで戦後教育でずっと来たけど時代に合ってないとか、これからは子どもが自分で教科を選んで、教師も担任なんかやめてカリキュラムずつやるような、外国風に変えていかなきゃいけない、みたいな話をよくするんです。
じゃあ子どもの人間教育はどうするんですかっていうと、「それは親がやるんですよ」という人が結構いたんですよ。
ぼくは子どもがいないですから、そういうものなんだろうなーと思いつつ、でもどっか心の中でひっかかってるものがあったんですね。それは自分が小学校に行っていた時、勉強以外の人間関係とか、すごく学んだこともいっぱいあったわけですよ。それを全部抜きにして、親だけが教育するっていうのはちょっとどうなんだろうって。
でも教師の労働時間の問題とか、給料の問題とか、そういうのがあるから。教師は大変な仕事と言われて、なり手も少なくなってるわけですよ。そういう疑問がある中で、この映画でリアルな小学校の日常をずっと見たら「あ、やっぱり必要なんだな」と思いました。
例えば運動会に向かって地味に努力する男の子とか、別に優勝するわけでもなんでもないけど、みんなで踊らなきゃいけないから練習を一人でずっとして、本番がやってきて、成功して、すごい満面の笑みで喜んでるところを見ると、それもその子の成長じゃないですか。
楽器を弾くことに選ばれて喜んでる女の子は、努力するけどうまくいかなくて、それで先生に指導される。僕らの時代と違って先生は先生で、職員室で「この子の楽器があんまりうまくいかないけど、どうやって指導すればいいですか」とか、実はみんなで考えている。それで、その子が壁を乗り越えて頑張って成功した時に満面の笑みで喜ぶ。
そういうことが実は学校生活の中で大事で、別に国語、算数、理科、社会の成績が上がることだけが目的じゃないよな、自分もそうだったよなって言うのを、教えてもらえるドキュメンタリーなんですね。
もちろん学校に通えない子の問題もあると思うんですけど、この映画を見て、子どもの時に教わる社会生活がものすごく大事なんだなと。それを、一生懸命教えてくれている先生になる大学生が少ないという、給料の問題もありますけど、でもお金じゃない職業の魅力や、学校という教育の基本、そういうことがリアルに見えてくるんです。
なんか、気付かせてくれるというより、思い出させてくれる。誰しも大人になって忘れたものが「そうそう、こうだった」「これって大事だよな」って言うことを思い出させてくれる映画だと思うので、皆さんもちょっと見てみてください」
映画『小学校~それは小さな社会~』は日本全国で公開中です。