国際色豊かなワイナリーがつくるパワフルなワイン「テール・フィデール」 ~「ガルナッチャ/グルナッシュ プレゼンテーション&テイスティング」レポート⑤
スペインのガルナッチャ・オリヘン協会とフランスのルーションワイン委員会は2024年11月7日、東京都港区の八芳園で「ガルナッチャ/グルナッシュ プレゼンテーション&テイスティング」を開催した。
同イベントでは、両団体がEUの協力のもと共同で展開する「ガルナッチャ/グルナッシュ ヨーロッパの高品質ワインプロジェクト」の一環として、スペインではガルナッチャ、フランスではグルナッシュと呼ばれるぶどう品種についてのセミナーと、同品種でつくられたワインの試飲会を実施した。
今回は、試飲会に参加した5ワイナリーの中から、フランスのテール・フィデール(Terres Fidéles)を紹介する。
テール・フィデールとは
テール・フィデールは、フランス南部ルーション地方(ラングドック・ルーション地方)に位置するワイナリー。自然に恵まれたピレネー山脈の麓に畑があり、丘陵地帯から渓谷、地中海沿岸まで広大なエリアに広がっている。低収量かつ持続可能な生産方法を心がけ、人的介入を抑えながらテロワールを忠実に再現した高品質なワインをつくり続けている。
創設者は、アイルランド出身でマスター・オブ・ワイン(MW)のファーガル・ティアン(Fergal Tynan)氏だ。世界中のワイン産地を巡るために旅をしていた同氏は、ルーション地方の未開拓だった土地に着目。畑を開拓し、地元の生産者やワインメーカーの協力を得て、赤や白、オーガニックなどさまざまな種類のワインをつくっている。さらに、海外からスペシャリストを招くことで、世界中で幅広く愛されるワインについても研究を重ねている。
テール・フィデールのおすすめワイン
今回来日したOperations Managerのレミー・モアン(Rémy Moens)氏に、ワイナリーの特徴やおすすめワインについて話を伺った。
来日したテール・フィデールのレミー・モアン氏
――ワイナリーの特徴について教えてください。
大きな特徴は、国際色豊かなワイナリーということでしょうか。私はアメリカのカリフォルニア州出身ですが、縁あってこのフランスのワイナリーで働いています。他に、イギリス出身者もいますし、地元のフランス人だけではなく、さまざまな国籍の人員が一丸となって生産に取り組んでいます。世界を旅して多様な経験を積んだメンバーですから、そのことを生かして、フランスだけでなく国際的に受け入れられるようなワインづくりに取り組んでいます。
――入門編として日本でおすすめしたいワインはありますか?
赤ワインの「ソレイラ モーリーセックAOP」ですね。「非常にパワフル」だと、本日来場した人たちから好評を得ています。日本の皆さんにも好んで飲んでいただける味だと思います。
ソレイラ モーリーセックAOP
写真中央2本が「Solleilla Maury Sec AOP」
タイプ:赤
ぶどう品種:グルナッシュ80%、カリニャン20%
スペインとの国境に程近いAOPモーリー・セックでつくられる、限定生産の貴重なワイン。
ダークチェリーやラズベリーの赤い濃厚な果実にジュニパーやローズマリー、フェンネルなどハーブのアロマが加わる。しっかりしたタンニンと凝縮感があり、グルナッシュの深く豊かな味わいにカリニャンのフレッシュな酸味が調和している。
カミ・デル・ドラク
写真左が「カミ・デル・ドラク」
タイプ:白
ぶどう品種:グルナッシュ・ブラン70%、ルーサンヌ30%
「龍の道」と名付けられた白ワイン。この地域に住んでいたとされるドラゴンの民話からその名が付けられ、ラベルにもドラゴンが描かれている。グルナッシュ・ブランの熟した果実味とルーサンヌのフローラルな香りが調和した、複雑でエレガントな味わい。