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サンタ姿にされる街の動物たち、そのタヌキ率の高さに驚き滋賀・信楽へ行った話【さんぽの壺 最終回】

さんたつ

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ついこの間、街にあふれるハロウィン仮装の人形についてコラムを書いたと思ったら、季節はもう12月、街はすっかりクリスマス一色である。店頭の人形や銅像たちも、次々とサンタクロースの赤い服に衣装替えをしている。

JR浜松町駅ホームにいる小便小僧も、この時期はサンタ姿になる。毎年衣装は変わり、これは2023年のもの。
神楽坂のコボちゃん像。サンタ姿にニット帽であたたかそう(2016年撮影)。

サンタ姿の工夫はさまざま

こうしたサンタ姿になっているのは、何も人間ばかりではない。この時期には、街に設置された動物像も、またサンタになる。今回はこうした動物像サンタを見ていこう。

サンタ帽をかぶせるだけ、というお手軽なものから、

普段は麦わら帽子にアロハシャツの夏らしいサメも、サンタ帽をかぶるだけでサンタ風に(稲田堤)。

その像専用に作られたと思われる、凝ったサンタ衣装を着ている動物までさまざまである。

元住吉駅前のブレーメン像。ロバ、犬、猫、ニワトリにそれぞれぴったりフィットしたサンタ服が着せられる。

そもそも構造や大きさの問題で衣装を着せることが難しい像がある。

西馬込の国道1号沿いのマンション入り口に設置された犬・猫の石像。可能な限りのクリスマス装飾が施されている。
「よこはま動物園ズーラシア」の園内にあるゾウの模型。このゾウにサンタ服を着せようとしたら、なかなか大変だろう。

そのような場合は、可能な限りの装飾が施され、クリスマスムードが醸し出されているようだ。JR新宿駅東口に設置された「みらいおん」像も、そもそも顔と前脚しか見えないつくりになっているため、本来であれば衣装を着せることが難しいのだが、前脚を赤い布でカバーしたり、首周りをクリスマスリースで囲んだりすることで、サンタ姿に見える工夫がなされている。

2022年撮影。2024年は前脚のサンタ服はなく、首にリースのみがかけられている。

ひときわサンタにされる確率が高い動物

このようにさまざまな動物がサンタになる中で、ひときわサンタにされる確率が高い動物がいる。タヌキである。そもそもタヌキの置物の数が多いということもあるだろうが、でっぷりとしたおなかや愛嬌のある顔が、サンタにされやすい理由ではないだろうか。

広尾の弁当店店頭のタヌキ。すっぽり全身が包まれてかわいらしい。
三軒茶屋の靴修理店店頭のタヌキ。ヒゲまで付けられて本格的である。
有名な新橋駅前ビルの「狸広」像。笠の部分をすっぽり覆う、巨大サンタ帽がかぶせられている。

東京の街を歩いていただけでもこれだけサンタタヌキに出会うのであれば、果たしてタヌキ置物の産地である滋賀県・信楽(しがらき)ではどうなっているのだろうか……? 気になった私は居ても立ってもいられず、12月の信楽に行ってみることとした。

信楽に行くにあたり、日本橋にある滋賀県アンテナショップ『ここ滋賀』を訪れる。やはり入り口にはサンタタヌキがいた。

居ても立ってもいられず、12月の信楽へ

貴生川(きぶかわ)駅から信楽高原鐡道に乗り、信楽へと向かう。道中の各駅にもタヌキはいるのだが、サンタの格好はしていない。ところが終点の信楽駅ホームに列車が到着するにつれ……いるわいるわ、数えきれないほどのタヌキ、タヌキ、タヌキ……これらタヌキが全員サンタの格好をしている。

信楽駅の対岸ホーム。全てのタヌキがサンタ衣装に着替えていて壮観。

信楽高原鐡道では12月25日までの間、サンタが乗車し子供たちにプレゼントを配る「サンタ列車」(要予約)を運行しており、その関係で信楽駅のタヌキたちもサンタの扮装をしているのだろう。到着ホームでも各種タヌキがお出迎えしてくれているが、それぞれのタヌキに似合った衣装がセレクトされており、タヌキへの愛がうかがえる。

信楽駅の到着ホームにいた、とぼけた顔のタヌキコンビ。揃いのサンタ服でお出迎え。
改札口付近のタヌキ。左のタヌキは普段は忍者姿である。

これまたサンタ衣装に身を包んだテツコ駅長に挨拶したのち、

駅長なので、サンタ帽ではなく駅長の帽子である。

駅舎を出ると……そこには身長5.3m、胴回り6.6mの大サンタタヌキがお出迎えをしていた。

足元のタヌキと比べると、その巨大さがわかる。12月25日までこの姿が見られる。

信楽観光協会ホームぺージによれば、この大タヌキは季節ごとにさまざまな衣装に衣替えをしており、クリスマス時期にはサンタ姿が恒例になっているようだ。どの衣装もそれぞれにかわいらしいが、やはりタヌキにはサンタ姿がよく似合う、ということを信楽で再確認させられた。

クリスマスシーズン真っただ中。街でさまざまに趣向を凝らしたサンタ動物、とりわけタヌキを見られるのを楽しみにしたい。

イラスト・文・写真=オギリマサホ

オギリマサホ
イラストレータ―
1976年東京生まれ。シュールな人物画を中心に雑誌や書籍で活動する。趣味は特に目的を定めない街歩き。著書に『半径3メートルの倫理』(産業編集センター)、『斜め下からカープ論』(文春文庫)。

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