「梅雨は釣り師の腕の見せ所?」梅雨時期の渓流釣り攻略法【タックル・注意点・釣り方を解説】
6月は渓魚の活性が最も上がる時期と言っても過言ではない。その理由は雨による増水だ。この増水が、渓流師にとって恵みの雨となるのか、それとも難攻不落になってしまうのかは、釣り師としての腕の見せ所だ。今回は、雨が多く降る梅雨時の攻略方法を紹介したい。
梅雨時の渓流
まずは梅雨時の渓流がどのようになるかをみていこう。
雨による増水
単純に総雨量が多いので、必然的に川の水量は増す。結果、オモリやエサの使用法から流す場所・流し方まで大きく変わると言えるだろう。
増水による濁り
水量が増えるだけでなく、泥が撒き上げられるため濁る事が多い。雨だけでなく、5・6月は田植えの水が河川に流入するケースもある。状況に合わせた対応が必要だ。
流れの変化
水量が増えるという事は、流れの速さ・強さ・水深が変わるため、魚の着き場が変わるという事だ。通い続けている河川ならば、「増水時はココが釣れそうだ」というポイントが見つかるはず。渇水時に撮影したこちらの写真を見て頂きたい。
この場所は周囲より一段深くなっており、かつあちこちにウケとなる岩が沈んでいる。増水時に水位が高くなれば、こういった場所に良型が居着きやすいのだ。日頃からそういった発想を持ちながら、釣り場を歩いてみてほしい。
安全の確保
梅雨時は単純な増水に加え、ダムの放流や鉄砲水の危険がある。何をおいても安全最優先で考えて頂きたい。
過去記事リンク挿入:渓流エサ釣りにおける【河川増水時の安全対策とメリット&デメリット】を徹底解説
クマにも注意
本州に生息しているツキノワグマは、6月が繁殖期。その行動範囲は1日におよそ40km~70kmとも言われているため、各地で獣害のリスクが高まると考えておくべきだろう。クマ鈴やホイッスル、クマスプレーといったグッズを常に持参しておきたい。
梅雨時のタックル
続いて、雨天が続く梅雨時に求められるタックルの要素を考えていこう。
扱いやすい竿を
6~7mクラスの竿よりも、テンポよく釣り上がれて取り回しが良い5~6mクラスの方が好結果を得やすいと著者は考える。3WAYのズームになっていればなお良しだ。
とはいえ、増水によりポイントが遠くなることもあるので、ポイントをしっかり考えた上で選んでほしい。調子は、流れの強さや良型の引きにも強く、テンポよく魚を取り込める硬調がおすすめだ。本流なら大型が掛かる事を考慮し、硬中硬など柔らかめの竿でいなすのもアリだろう。
ラインは太くする
増水による水圧は見た目よりもきつく、相当なものとなる。細いラインだと、魚の重さと引きに水圧がプラスされ、簡単に切られる可能性がある。
濁りによって警戒心も和らいでいるため、1~2ランク太いライン/水中糸を用いたいところだ。著者は解禁直後に0.2号、4月~5月は0.3号がメインだが、梅雨時や増水時は0.4号としている。
エサと針
梅雨時のメインエサとなるのはクロカワムシとミミズ。これらはシルエットが大きく水に沈みやすい上、よく動くので目立つのだ。加えてミミズは匂いによるアピールも期待できる。
針は、これら大型のエサに見合ったサイズをチョイスしたい。著者は忍ヤマメを愛用しているが、ヒラタエサの時は4~5号、ミミズやクロカワムシを使用する際は6~7号としている。
オモリ選びは重要
エサのサイズと比重が大きくなるため、沈む速度はアップする。だが、流れが強くなっている増水時は水の抵抗を受けて浮き上がりやすいというデメリットも存在する。
水深、川の流速と仕掛けを流したい速度を考慮し、軽いオモリから重いオモリまで幅広く揃えておきたい。時に多点付けも大きな効果を発揮するので、是非試してみてほしい。
梅雨時の釣り方
ではここから、実釣時のテクニックと注意点を紹介しよう。
足場や頭上に注意
増水時は、渓流師の皆様が「いつも通るルート」の水深が、いつもより深くなっているはず。転倒や、川に流されるといった危険があることをしっかり把握しておこう。
その上で「いつもとは違うルート」を通る事になるので、足場は勿論、頭上の木の位置や障害物の有無なども適宜確認して遡行して頂きたい。勿論、少しでも「危ないかな?」と思ったら遡行を中止しよう。
普段浅い場所に注目
普段は浅くて流れが緩く、全く釣れない場所があったとしよう。増水時はそういった場所も例外なく水かさが増し、深くなって良いヨレになることも多い。増水時はこういった場所が意外と狙い目になる。
深場は底近くを狙う
渓流釣りの基本として「底流れを釣る」という言葉があるが、増水時はこの傾向がより顕著となる。大オモリ、時に多点付けをし、根掛かりするかしないかといった底スレスレを狙うと大型のヒット率がアップする。
淵や瀞に注目
瀬やヒラキは、増水で流れが強烈になっていて狙いにくい。こういった時、大きな淵や瀞は必ずと言って良いほどヨレが生まれるので、魚が溜まりやすく大釣りが期待できる。日ごろからこういった場所に目を付けておき、増水した際は積極的に狙ってみると良いだろう。
取り込み時の注意点
ヒットさせた後、足場に注意しながら「安全に取り込める場所」まで魚を誘導する。焦ってその場で取り込もうとすると、頭上の木に仕掛けが絡んでしまう他、転倒の危険性もある。
その上で流れが強いエリアを魚が通過しないように考慮し、緩やかなヨレを通すように工夫する。最後は、多少サイズが小さくても丁寧にタモで取り込みたいところだ。とにかく周囲にしっかりと目を配りながら、落ち着いて取り込みを行ってほしい。
安全に注意して好釣果を!
増水時は渓魚の警戒心が和らぎ、活発に餌を食うために忘れがちになるが、渓流は常に危険と隣り合わせ。
本文中で紹介したように、転倒や鉄砲水の可能性だけでなく、うっかり頭上に仕掛けが絡んでしまい竿が折れてしまった……といったトラブルも多い。くれぐれも安全を第一と考え、その上で良型の渓魚を狙ってみてはいかがだろうか。
<荻野祐樹/TSURINEWSライター>