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自分らしく生きる ~人生100年時代の「終活」~

タウンニュース

市内18区で作成されたオリジナルのエンディングノート

「終活」とは「自らの人生の終わりに向けた活動」のこと。遺言の準備や相続、身辺の生前整理から、亡くなった際の葬儀や墓の用意など多岐にわたる。

人生100年時代といわれる昨今では、「これからの人生をより豊かにする」という考え方に広がり、関連サービスなども多様化している。この機会に、じっくりと前向きに、自身の人生や家族の行く末、「終活」について考えてみてはいかがだろうか。

残りの人生を記す

人生の「これまで」を振り返り、「これから」をどう歩みたいか、自分の思いを記すエンディングノート。横浜市では区ごとにオリジナルのエンディングノート=下写真=を作成している。各区役所高齢・障害支援課や地域ケアプラザなどの窓口で無料配布している。

港北区版エンディングノート「わた史ノート」には、いつまでも元気で暮らすヒントや制度の解説などの役立つ情報も掲載。港北区役所高齢・障害支援課では、「繰り返し人生を振り返り、大切な人と話し合うきっかけとして、年齢にかかわらず多くの方に使ってほしい」と呼びかけている。

問い合わせは、港北区福祉保健センター高齢・障害支援課【電話】045・540・2327へ。

話し合いを大切に

横浜市では、もしもの時にどのような医療やケアを望むのか、家族らと共有するACP(アドバンス・ケア・プランニング/人生会議)を推奨している。ACPのきっかけとなるような短編ドラマの配信や、望む医療やケア等を伝えるための「もしも手帳」の配布も行っている。

横浜市医療局が昨年実施した「横浜市民の人生の最終段階の医療等に関する意識調査」によると、もしものときに望む医療やケアについて、「考えたことがある」が52・6%に対し、「家族等や医療・介護関係者と話し合ったことがある」は23・6%。話し合ったことがない理由として「きっかけがなかったから」が74・4%と最多のほか、「まだ元気だから」「相手が嫌がるから」などもあげられている。区では10月に、「もしもの時のために、あなたの意思を伝えていますか?」がテーマの市民公開講座を予定。事前の話し合いや意思表示の重要性を分かりやすく解説する。

年代別の考え方

さまざまな終活情報が溢れる昨今。情報を調べると、20〜30代の終活は先々に向けた備えとして保険や貯蓄、資産を意識することが大事だという。40〜50代は、特に断捨離や資産整理、医療や介護について知識を深めることが大切。60代は葬儀や墓地などの希望を明確にしておくことが推奨されている。

お墓、「横浜に」が最多

人生の最期を考えるとき、多くの人が頭に浮かべる一つが「お墓の問題」。横浜市が2022年度に実施した「墓地に関する市民アンケート調査」によると、「墓地の取得を希望する」は20・7%。その理由として「将来のために取得したい」(61・5%)が最も多く、「他のお墓から移したい」(17・2%)、「遺骨があるので」(8・5%)と続いた。

取得したい地域は「横浜市内がよい」(62・1%)が最多。「徒歩圏内の近隣がよい」(15・9%)と合わせると、約8割が市内を含む比較的近い場所での取得を希望している。

アンケートを実施した横浜市健康福祉局環境施設課の墓地整備計画担当者は、「『これからお墓を設けるとしても、子どもに引き継げるか』『代々引き継いできたお墓をどうするか』など、承継問題を心配する傾向が見られた」と話している。

「終活」は多くの人にとって大切なテーマ。自身の希望や健康、家族の絆、遺族の負担など、さまざまな視点から「残りの時間」に思いを巡らせ、「自分らしく、より豊かな人生」を送りたいものだ。

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