【あがきたの魅力見つけ隊コラム・カフェ&ダイニング デイズ オーナー 鈴木 いづみさんさん】地元・村上の味を伝え、食文化を発信する|村上市
あがきた地域には、海、山、川の豊かな自然と、ほっとくつろげる温泉、お花見の名所や思いっきり遊べる公園など、魅力的で立ち寄ってみたくなるスポットがたくさんあります。
でも、それだけではありません。これらの素材を引き出す「ヒト」。
地域で活躍する「ヒト」のお話から、この地域のよさ・素晴らしさをお伝えします。
お話を聞いた人
カフェ&ダイニング デイズ オーナー
鈴木 いづみさん
【プロフィール】
1979年、村上市大場沢生まれ。
会社勤めを経て、村上市朝日地区にある複合観光施設、朝日みどりの里に13年間務める。
2018年11月、村上駅前にカフェ&ダイニング デイズをオープン。
地元の食材を使ったメニューや郷土料理を現代風にアレンジしたメニューなど、センスあふれる創作料理が人気。
祖父の代から続く実家の豆腐店で作られた豆腐を使ったメニューも多く提供している。
趣味は山登りと小旅行。
―地元生まれ、地元育ちとお聞きしました。
はい、そうなんです。
村上市大場沢で生まれ、ずっと地元で暮らしています。
高校を卒業して会社勤めを何年か経験した後、村上市の朝日地区にある複合観光施設、朝日みどりの里で13年間働いていました。
朝日みどりの里では、地域の特産品や魅力を発信することが仕事で、販売をはじめ、新商品の開発やイベントの企画運営などにも携っていました。
仕事を通じて地元の特産品や伝統文化を見つめ直していくなかで、地元にはすばらしいもの、おいしいものがたくさんあるのに、あまり知られていないことに気づき、とても残念だなと感じていました。
イベントで東京など県外に出店することもあったのですが、東京の方々は「おいしいね」と褒めてくれるのに、地元で暮らす人たちは当たり前すぎてその価値に気づいていない。
もったいないなぁと思いました。郷土料理なんて当たり前だと思っているんでしょうね。
職員として、なんとか地元の食材や文化を次代へ引き継いでいくきっかけづくりができればと務めてきましたが、もっと本格的に取り組みたいという気持ちが強くなり、自分のお店を始めることにしました。
―カフェ&ダイニング デイズはどんなお店ですか?
地元の食材や郷土料理を多くの人に知ってもらえるお店を作りたいと思い、2018年11月19日にオープンしました。
私の実家は、祖父の代から続くお豆腐屋さんなんです。
店名「デイズ」は「大豆」が訛ったもので、そこに「大事」「毎日」という意味合いも込めています。
コンセプトは「村上の魅力を発信すること」で、この店を訪れることで、自然に恵まれていて歴史や文化も残る村上の魅力に出合っていただけたらと考えています。
地域の旬の食材を使って、少しアレンジを加えた料理を提供する。
「こんなおいしい食べ方もあるんだよ」と、地元の食材の魅力を再発見していただけたらと思いますね。
―メニューにもこだわりが感じられます。
村上には各地域や家庭で代々受け継がれてきた郷土料理があります。
これはとても豊かな食の文化だと思いますが、若い方たちに伝わらず、消えつつあるものも多いんです。
そうした食文化をもっと若い方たちにも知ってもらえるように、この店で伝えていけたらと考えています。
たとえば、『やまもち』という料理を知っていますか?
朝日地区の郷土料理のひとつで、毎年秋に、収穫を祝って各家庭で山の神様にお供えするものです。
私自身は幼い頃からずっと食べてきた大好きなごちそうで、ぜひ次世代の方々にも残したいと店のメニューに加えています。
大根やニンジンなどの根菜やキノコ、鶏肉などをダシで煮たものに、半殺し(粒が半分くらい残るようにすりつぶすこと)にした炊きたての新米で作ったお団子を入れたもので、すったクルミを加えて味に深みとコクを出すのが特徴です。
家庭料理なので各家庭によってそれぞれ少しずつ作り方が違い、それぞれの家庭の味があります。
デイズの『やまもち』は味噌と醤油の味付けで、私が祖母や母から受け継いだ「我が家の味」がもとになっています。
―ガレットも人気メニューとか。
ガレットはフランスの郷土料理です。
村上とフランスはまったく無縁ですが、「郷土料理」という大きなテーマからは外れていないかなと思って加えました。
地元のそば粉100%で、ご注文をいただいてから焼くのでパリパリの食感を楽しめます。
―お豆腐を使ったメニューも多くありますね。
実家の鈴木豆腐店は創業50年以上になりますが、今では珍しい昔ながらの手作り豆腐の店です。
「こんなにおいしい豆腐をもっと多くの方々に知ってもらいたい」という思いがあって、実家の豆腐を使ったさまざまな豆腐メニューを提供しています。
実家の豆腐は、絹ごしと木綿の中間くらいの食感で、風味豊かでもっちり、適度な硬さがあって煮崩れしにくいのが特徴です。
カフェに似合わないかもしれませんが、『湯豆腐』や『冷ややっこ』、『豆腐よせ』なども。
一番人気は、豆腐を半丁丸ごと使った『麻婆豆腐』です。
―お店をやっていく上でたいへんなことはありますか?
7年続けてきて、若い方、女性客の方を中心にお客さまもついてくださっていますが、まだなかなか知っていただけていないことが悩みかな。
デイズでは、ただ食事をするだけではなくて、地元の食材を使ったおいしいものを食べて、それをきっかけに地元の食に関することを知ってもらい、お客さま同士でもつながって情報交換してもらえるような、そんな場所にできたらと思っているんです。この店のことをもっと多くの人たちに知ってほしいですね。
―地域の活動など何か取り組まれていることはありますか?
村上には、障がいを持った子どもたちの自立支援を行なうカレイドスクエアパークさんという事業所があるんですが、こちらの利用者さんを夏休みなどにデイズで受け入れていたことがあります。
職場体験のようなものです。
そのときに来てくれた高校生は、仕事がとても丁寧で、気持ちよく働いてくれて。
障がいがある方もできること、得意なことがあって、私たちとなんら変わらないのだと実感しましたし、逆に私たちのほうが彼女の仕事ぶりを見て、自分たちの仕事のやり方を見直すきっかけをいただきました。
そのことがきっかけで、今もカレイドスクエアパークさんとはお付き合いが続いています。
仕事ができるのに、普通に仕事をさせてもらえなかったりするのが残念で、応援したいなという思いがあります。
さっきお出ししたガレットのお皿も、障害のある方たちにお願いして、特注で作っていただいたものなんですよ。
素敵なデザインですよね。
いろいろな可能性があると思います。
―お休みの日はどんなふうに過ごされていますか?
休みの日は出かけることが多いですね。
旅と温泉が好きなので、2~3時間で行ける山形とか県外の温泉に行ったりします。
車で出かけることが多いですが、電車もいいですよね。
夫とふたりで電車に乗って、お酒を飲みながら景色を楽しむ旅をしています。
山登りも好きです。
山菜を採ったり、山野草を見たり。山に行くなら、下渡山がおすすめです。
春にはカタクリが群生していて、すごくきれいですし、山頂からは村上全域を望むことができます。
夏は海に行くのが好きですね。
夕陽が沈んでいくのを見ていると、癒されます。
夕陽が海に落ちるとき、ジュッっていう音が聴こえてきそうじゃないですか。
―今後の夢や挑戦してみたいことはどんなことでしょうか?
畑にチャレンジしたいですね。
自分で野菜を育てて収穫して、店で使うことができたらと思います。
あとは、村上がもっと賑やかになればいいなぁと思いますね。
障がいのある子どもたちとおじいちゃんおばあちゃんとで、何か楽しいことができたらいいですね。
高齢者の方は長く生きているのでいろいろな知恵がありますし、昔の遊びも知っています。
今の子どもたちは、石ころを渡して「これで遊んでごらん」と言っても遊べないと思うんですよ。
外で遊んだり、自然のなかで楽しんだりすることを知らない子どもが多いので、教えてあげたいですね。
先日、中学校に行って職業講話でお話させてもらったんですが、中学1年生に「豆腐って何からできているか知ってる?」と聞いたら、「牛乳」って答えたんですよ。
びっくりですよね。
「豆乳」と答えた子どももいたので、「うーん、惜しい。近いけど、じゃあ豆乳は何からできてる?」と聞いたら、「牛乳」と(笑)。
『やまもち』を知っている子どもはひとりもいませんでした。
子どもたちに村上の素晴らしい伝統や食文化をなんとか伝える活動をしていきたいですね。
カフェ&ダイニング デイズ
住所
村上市山居町1-13-28
電話番号
0254-57-1032
営業時間
11:00~14:00/18:00~21:00
休み
火曜
リンク
https://dayis-cafe.jp/index.html
鈴木豆腐店
住所
村上市大葉沢1740-2
電話番号
0254-72-1116
休み
不定休
下度山
住所
村上市下度