生活者と企業をつなぐ架け橋であり続ける。データ分析を超えた価値提供への挑戦【東京都千代田区】
株式会社インテージは、1960年にカスタムリサーチ、データ収集・調査を行う株式会社社会調査研究所として創業。長年にわたりマーケティングリサーチのパイオニアとして、国内外で豊富なデータ資産を築き、アジアNo.1のリサーチ企業へと成長しました。2001年には社名を「株式会社インテージ」に改め、生活者中心の価値創造を掲げ、リサーチ事業にとどまらずコンサルティングから具体的な施策実行支援まで事業領域を拡大しています。
今回は、リサーチ業界で長年の経験を持ち、現場志向と全体視点を兼ね備えた立場から、インテージの新しい未来を切り開こうとする取締役の高山佳子さんにお話をお伺いしました。
同社が取り組む「生活者と企業を双方向でつなぐ架け橋」としての進化、その挑戦と未来への展望に迫ります。
※株式会社インテージ取締役 高山佳子さん
生活者のインサイトを科学的に分析。時代の流れにのり創業
株式会社インテージ(以下、インテージ)の歩みは、1960年の「株式会社社会調査研究所」創業から始まりました。当時の日本は高度経済成長期にあり、生活者の行動や価値観を科学的に分析する需要が高まりつつありました。同社はその時代背景を踏まえ、独自のリサーチ手法を開発し、企業や行政に生活者のインサイトを提供する存在として成長を遂げてきました。
現在取締役の高山さんが入社した1990年代当時、インテージはパネル調査やアンケート調査を中心に事業を展開していました。リサーチ業界全体が「マーケティングリサーチ」という新しい領域への変革を進めているところで、インテージもその流れのなかでデータ収集と分析を基盤に、事業を固めていました。
人々の行動を可視化し、社会に貢献したい。業界最大規模のインテージに入社
高山さんは大学時代、社会行動科学や人間科学を学び、生活者の行動をデータで可視化する研究に情熱を注いでいました。「仮説だけでは人を納得させることはできないけれど、検証を経て裏付けるデータがあれば納得してもらえる」と高山さんは、研究で仮説と検証を続けるなか、データの重要性を実感しました。
また、その頃アルバイト先だった百貨店のおもちゃ売り場で、お客さんの声や行動を共有し、改善に役立てていることに触れ、データが企業の意思決定に直結することに面白さを感じたそうです。
就職活動では、「データを基に人々の行動を可視化し、社会や企業の成長に貢献したい」という思いから、公務員とリサーチ会社を志望しました。そのなかでも、当時日本最大規模を誇ったインテージに入社しました。
単発調査の企画分析部門への配属を希望した高山さんは、新人研修中に学びや志望配属先について日誌で強くアピール。その結果、希望が叶い、企業ごとの個別課題に対応するオーダーメイド型リサーチを設計・実施をするリサーチャーとしてキャリアをスタートさせました。
ドコモグループと提携し、リサーチを超えたサービスを強化
インテージは、2023年にNTTドコモと資本業務提携契約を締結。この提携により、顧客接点が増え、顧客体験(CX)の向上や施策提案・実行支援などリサーチを超えたサービスを強化し、生活者中心のマーケティングを実現するための基盤を充実させることができました。
今はその基盤を生かし、データの中立性やプライバシー保護を重視しつつ「企業と生活者を双方向でつなぐ架け橋」としての役割を進化させています。これまで培ってきたリサーチのノウハウに加え、NTTドコモの資産や技術力を融合させることで、データドリブンな価値提供の可能性を広げられるようになったのです。
2022年に取締役になった高山さんは、現場で培った生活者理解を基盤とした事業戦略を推進し、新たな体制のもとで事業展開をリードし、インテージをさらに進化させるための挑戦を続けています。
さらなる成長の鍵は人材育成と、中立性の確保
インテージがさらに成長していくために重要なのは、専門性の高い人材、技術、組織文化の3つです。
「まず、IT人材やデータ活用の専門家をもっと増やしていくことが必要だと考えています。新しい事業領域を広げるためには、仕組み化されたサービスを提供することが必須。エンジニアが働きたいと思える環境づくりとアライアンスの活用が、今後のカギになると考えています。
次に、メンバー間のスキルギャップを埋めることが重要です。私たちの仕事の幅は、コンサルティング、施策実行など広がってきました。現場での経験を生かしながら、新しい役割に挑戦できる風土を作りたいです。意欲のある社員をサポートし、スキルアップを促す教育体制の整備を進めています。
これら新しい挑戦をするなかでも、今まで通り中立性を保ち、事業ごとの役割分担を明確化し、リサーチ本来の価値を守り続けることで、信頼される存在でありたいです」と高山さんは語ります。「インテージは変革を通じて生活者と企業の双方に新しい価値を提供する力を育てていきたい。これまで築いてきた基盤を大切にしながら、挑戦を恐れず進んでいきます」。高山さんの言葉には、リサーチ業界の未来を切り拓く強い決意が感じられました。
「企業と生活者をつなぐ架け橋であり続ける」インテージの挑戦
高山さんは、「インテージは、企業と生活者をつなぐ架け橋であり続けたい。生活者一人ひとりの声に耳を傾け、企業の活動に反映させていきたい」と語ります。企業が生活者の声を商品やサービスに反映させる仕組みを整える。それは結果として、生活者がより豊かな暮らしを享受することにつながります。
インテージの挑戦は、社会全体の効率化や幸福度の向上に寄与し、リサーチ業界のみならず、社会全体にポジティブな影響を与えているのです。
「これまで以上に、生活者一人ひとりの声に耳を傾け、企業の活動をその声に応じた形で支えることが重要です」と高山さん。インテージはこれからも生活者と企業双方向で価値を創造する未来が実現され、持続可能で幸福度の高い社会が形作られていくことでしょう。
※聞き手、執筆 木場晏門