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「メロロンにとっては、自分自身のことよりもねえたまが一番。ねえたまに笑っていてほしいんです」ーー『キミとアイドルプリキュア♪』プリルン/キュアズキューン役・南條愛乃さん×メロロン/キュアキッス役・花井美春さんロングインタビュー

アニメイトタイムズ

写真:アニメイトタイムズ編集部

『プリキュア』シリーズ第22弾『キミとアイドルプリキュア♪』(『キミプリ』)が毎週日曜 朝8時30分より、ABCテレビ・テレビ朝日系列全国24局ネットにて放送中です。第17話で、紆余曲折を経て登場したキュアズキューン&キュアキッス。変身までの道のりに胸が“キュッ”となっている方も多いのではないでしょうか。

アニメイトタイムズでは、プリルン/キュアズキューン役・南條愛乃さん、メロロン/キュアキッス役・花井美春さんにインタビュー。作品への想いやキャラクターに込めた感情、そして変身シーンを迎えるまでの舞台裏を教えていただきました。

【写真】『キミプリ』南條愛乃&花井美春が明かす、収録前の心境【インタビュー】

ふたりにとって『プリキュア』は特別な存在

ーーアニメイトタイムズではおふたりにお話を伺うのは今回が初めてになります。少しさかのぼって、これまでの歩みについてもお聞かせください。まずはオーディションについて、当時はどのようなお気持ちで臨まれたのでしょうか?

南條愛乃さん(以下、南條):私はプリルン/キュアズキューンの役でオーディションを受けさせていただきました。受かったという連絡をいただいたときは、“これからすごい1年が始まるんだな”っていう気持ちになって、改めて気が引き締まる思いでした。

なんかこう……受かってほしいという気持ちと、“受かってほしいけど、でも自分に1年やり切れるかな”っていう不安もあって。というのも、プリキュアシリーズに参加するのは今回が初めてで。伝統ある作品ですし、受かったという連絡をいただく前から、実はちょっとプレッシャーを感じていて(笑)。でも、実際に“決まった”と聞いたときには、“じゃあ、やっぱり頑張ろう!”という気持ちになりました。

もちろん、どのお仕事も全力でやっているつもりですが、今回は特に、体調管理も含めてより一層しっかり取り組もうと改めて思いました。ガッツが湧くというか。自分にとっての挑戦の場でもあるので、今持っている力をちゃんと発揮して、さらにそこから新しい何かを身につけて、それをプリキュアシリーズに還元できたらいいなと。とにかく「やるぞ!」という気持ちでした!

花井美春さん(以下、花井):(うなずきながら)私も喜びと同時に不安がありました。私自身『ふたりはプリキュア』を観て育ったので、“自分がプリキュアになる”っていうのは、声優としてのひとつの目標であり、小さい頃からの夢だったんです。でも、いざ実際に決まると、現実感がなくて……。

「受かった」と聞いたときは信じられなくて。“本当ですか!?”って何度も聞き返しちゃいました(笑)。それくらい頭が真っ白になってしまって。“夢をいただいていた側”だったのが、今度は“夢を届ける側”になるんだと思ったときに、すごくうれしい反面、不安も大きかったです。しかもメロロン/キュアキッスという大役。正直「大丈夫かな?」って。

ーー南條さんからは伝統的な作品、そして花井さんからは憧れの存在というお話がありました。SNSにも書かれていましたが、おふたりにとって改めてプリキュアシリーズとは、どういう作品でしょうか。

花井:やっぱり、女の子が戦う姿にすごく憧れがありました。時には傷つきながらも戦う姿にロマンを感じていたんです。子どもの頃に観ていて、すごくカッコいいなって思っていたのを今でも覚えています。当時はよくプリキュアのおもちゃで遊んでいましたし、もちろんプリキュアの格好もしていました。それだけに“私がプリキュアになるんだ”って思ったら、真っ先に母に伝えたくなって。でも、(現段階で)まだ発表前なので言えていないんです。それでも「受かったよ!」という連絡をいただいたときはルンルンだったので、母と連絡を取るときに「なんか機嫌が良い?」って言われて……(笑)。

南條:(笑)。私自身はプリキュアシリーズの世代ど真ん中ではなかったんですけど、やっぱり周りには性別問わずにプリキュアが大好きな子たちがたくさんいることはもちろん知っていましたし、どれだけ特別な存在かを強く感じていました。それと、同業の仲間たちから『プリキュア』の話を聞くときに、そこにはやっぱり他の作品とは違う、ちょっと違う空気というか、尊さみたいなものがあるんだろうなと感じることが多くて。不思議な力があるというか……。プリキュアに変身して戦うとなると(キャラクターたちも)力が湧くじゃないですか。その感覚をリアルに体験しているように感じていました。

ーーそういった空気感というのは、実際に参加してみてどうでしたか?

南條:やっぱり“魔法”みたいなものを感じます。最初は、もちろん気合も入っていましたし、“頑張らなきゃ”“体調管理気をつけよう”“この月は忙しくなりそうだな”とか(笑)、現実的なこともたくさん考えていました。でも、力が湧いてくる。関わっていくうちに、だんだんと魔法にかかっていくような……そんな感覚がありました。きっと、これこそが歴代の『プリキュア』や作品に関わってきたチームの皆さんが繋いできたエネルギーなんだろうなって。自分たちのチーム、今で言う『キミプリ』のチームだけじゃない、ずっと積み重ねられてきた温かい力のようなものが、自分たちも包んでくれている。そんな感覚です。これが、伝統ある作品に出演するということなのかもしれないなと。そういう不思議な力を感じているところですね。

それと実は昔……もう10年くらい前かな。ある先輩の役者さんがプリキュアを演じられていて、「プリキュアって、自分にとって本当に必要なときに来るものだよ」って話してくれたことがあったんですね。

ーーへえ!

南條:実は、過去に何度か他のシリーズ作品のオーディションにも呼んでいただいたことがあったんですが、全然ご縁がなかったんです。残念だなと思う一方で、もしかしたら“今じゃないのか”という気持ちもあって。というのも、その先輩が「プリキュアを応援してくれているお子さんや家族にすっごくエネルギーをもらったし、この仕事をしていて良かったって改めて思えた、大きなきっかけになったよ」というお話をしてくれていて。「そのきっかけが、今欲しい!」と思い続けていて、でもご縁がなかったので、今回も、正直“またそうなるのかな”って気持ちもあったのですが、今回このタイミングで決まったことで、なんとなく“今がそのときなんだ”って腑に落ちたんです。

実際、関わりたいというよりかは“必要だからここに来た”っていう感覚の方が強いんですよね。すごく不思議なんですけど……ただ嬉しいだけじゃなくて、“この役を大事に、丁寧に演じよう”っていう責任感も、自然と湧いてきました。

ーーちなみに、プリキュアシリーズに参加されてからその先輩にご報告もされたのでしょうか?

南條:いや、実はまだなんです(笑)。連絡は取れるのですが、なんかもう、ここまでが一生懸命すぎて……。今日お話ししていたら、“あ、ちゃんと連絡しなきゃ”って思いました。プリキュアに変身してから、ぜひ報告したいと思っています。

ーーせっかくならそこまで伝えたいですものね。今、歴代のオーディションのお話がありましたが、花井さんもこれまでオーディションに参加されたことはあったのでしょうか?

花井:私も歴代のプリキュア作品で何度かオーディションを受けさせていただいたことがあったんですが、なかなかご縁がなくて……。毎回、“今回は絶対に受かるぞ”という気持ちで挑んでいたんですけど、それでもやっぱりダメで。

でも今、南條さんのお話を聞くと、そういう“奇跡”みたいなところもあるんだなって思うんです。私はウインク以外の4キャラを受けさせていただいて、それぞれ役柄が全く違ったので、それぞれに向き合うための準備や体調管理、全部がすごく大切なものに感じられて。ほかのお仕事ももちろん大事ですけど、プリキュアシリーズには思い入れがありすぎて、“どうしてもなりたい!”って思っていたので、そこに集中して全力で向き合っていたんです。それで、今回のスタジオオーディションが終わった瞬間に、一気に力が抜けてしまって、帰宅後に知恵熱まで出てしまい……(苦笑)。

ーー張り詰めた糸が切れたというか。

花井:はい。終わった瞬間に“あれ?”って……(笑)。でも、それくらい全力でやりきった感覚があって。“これでダメでも悔いはない”って思えるくらい、自分の中では納得のいくオーディションになりました。

南條:私、スタジオオーディションのとき、たかみな(キュアウインク/蒼風なな役・髙橋ミナミさん)と一緒の回で。

花井:そうだったんですね!

南條:そうなの! 待合室で隣に座っていて。たかみなが震えるほど緊張していたんですよ。それで、私が全然関係ない話をして。「(素の声色で)そういえばさ〜」みたいな(笑)。それで少し気が紛れたところで、「髙橋さん」って呼ばれて、「あ、私だ! 呼ばれました!!」って、本当に緊張していて。「頑張ってね」なんて言って送り出したんですけど、メンバーにたかみなが入っていたので「よかった〜」って。あの雑談がマイナスになっていたら、「たかみな、本当にごめん!」ってなるところでした……(苦笑)。でも、本当に見たことがないくらい緊張していたんですね。現場で合流したときも、ものすごく緊張していて。みんな並々ならぬ想いで、この作品に挑んでいるんだなと改めて感じました。

花井:南條さんは緊張しなかったんですか?

南條:それが本当に不思議で……! 私はプリルンが楽しい!というだけでした。プリルンとしてアフレコに参加したのは、おもちゃの音声収録CMが最初だったんです。まだアニメのアフレコより前の時期でキャラクター像を掴みきれていないタイミングだったので、色々と想像をしながらの収録でした。

それからのアニメ収録だったので、緊張するかなと思っていたんですけど……アニメ収録初回日は『わんぷり』(『わんだふるぷりきゅあ!』)最終回の“バトンタッチ”の映像があって、その時は『わんだふるぷりきゅあ!』側の監督さんもいらっしゃったので、その緊張感はありましたがキミプリ本編としては楽しさしかなかったです。というのも収録の準備で使うリハーサル用のVTRがあるんですが、それを見ながら、プリルンのあまりにも自由で、可愛くて、純粋な姿にワクワクしてしまって。緊張というより、「この子をやるの楽しい!」っていう感情しかなかったです。

南條:次々に、私自身が思いつかないようなアドリブが自然と出てきて、自分でも驚きました。本当に「楽しい」しかないんですよ。第19話の収録は、はじめての緊張感でした(笑)。

ーー(笑)。

南條:私、ほんとに緊張しぃな性格なんですよ。そんな私がプリルンのときだけは自分でも驚くほど「楽しい」しかなくて。「今日もプリルンができてうれしい!」ではじまり、収録が終わったあとも「次週も楽しみ!」って思えるほどでした。自分でもビックリです。

花井:すごい……! 私はめっちゃ緊張してます!

南條:(笑)

花井:やばかったですよ!

南條:でも合流もあとからだったし、無理もないよね!

ーー 第11話 「Trio Dreams」のラストにメロロンが登場しましたね。

花井:いっちばん最後に一言だけ意味深なセリフを喋るんですけど、その一言のためにもうずっと緊張していて……。声がかすれそうになるくらい、体がガチガチでした。もう、“満を持して喋るぞ”っていう感じで。自分史上のアフレコの中で、いちばん緊張したかもしれません。そのあと12話では、メロロンとしてたくさん喋らせていただいて、そのときも本当にすごく緊張していて。ずっと固まったままの状態で収録に臨んでいました。

南條:でも素晴らしかったです。放送を見ている分には、緊張しているとは全然気づかないと思います。でも「そりゃ緊張するよなあ」って思うんです。合格が決まって、その後も「みんなで頑張ろうね!」ってやりとりはしていたんですけど、プリキュア3人と私はアフレコをしていて、美春ちゃんだけあとから合流。「ただでさえ思い入れのある作品で、かつ後から入るって緊張するよな」って。でも、みんな合流をずっと待っていたんですよ!

花井:私が初めてアフレコに参加したとき、皆さんが“美春ちゃんの席ここだよ!”って、席を空けてくださっていて。キャストの皆さんも、スタッフの方々も、みんな本当に優しく迎えてくれて。「私、いま『キミプリ』の一員として、ここでアフレコができるんだ……」って幸せを実感しました。……と思いながらも、ものすごい緊張感(笑)。

南條:グループLINEで「その緊張を忘れるくらいの、めっちゃ良い現場だから楽しんでね!」みたいなやりとりをした記憶が……。

花井:そうなんです! 相談に乗ってくださったんですよ。まだ始まってもいない段階で、緊張しすぎてプレッシャーに押しつぶされそうで、どうしようと思っている時に、南條さんとやりとりをさせていただいて。そしたらすっごく温かい言葉をかけてくれたんです。私にとってのお姉ちゃんのような存在ですね。

オーディションの舞台裏

ーーところで、先ほど花井さんから“ウインク以外で受けた”というお話がありましたが、なにか理由があるものなのでしょうか?

花井:テープオーディションの段階で、こちらから希望のキャラを選べるパターンもあるんですけど、今回は指名をいただいて、“このキャラでお願いします”という形でした。

南條:私はテープオーディションではたしか、メロロンとウインクでした。最初、事務所からは「メロロンが合っているかも」と言われてました。みんな特徴のあるキャラクターだから難しいなとは思いつつも、大人びたキャラクターがメロロン/キュアキッスだったので。年齢的な部分も加味すると、当初は「キッスか、なるほど」と思っていました。ただ、私自身が個人でやっている活動のイメージカラーが“白”なんです。ズキューンも白なので「ズキューンはだめですか?」ってマネージャーさんと話したこともありました。とはいえ、「今回はやっぱりキッスの方が合うと思います」って。なのでテープの段階ではウインクとメロロンだったんじゃないかなと思います。

花井:へえ!

南條:そして、確かスタジオオーディションの段階で、プリルンが加わったような……? ちょっと記憶が曖昧なところもあるんですが、なににしても3キャラの中で候補としては一番可能性が低いんじゃないかと言われてました。

ーービジュアルも大人っぽいですね。

南條:そうですね。2人ともお姉さん系で、3人に比べるとだいぶ大人っぽいキャラクターなんですよね。カラーもホワイトとブラックです。

ーーなるほど。今日の服装もそのイメージにぴったりです! フェアリー感のあるアクセサリーもかわいいなって。

南條:そうなんです! 今日はプリルンのイメージカラーもちゃんと取り入れていて(笑)。衣装さんが妖精のカラーリングを踏襲してくれました。

花井:私はチェックも入れて。初めて南條さんとセリフでご一緒になった時に、南條さんが白のチェックを着られていて、私が黒のチェックをたまたま着ていたんです。まったく意識していなかったし、当時はカラーを知らなかったんですよ。それでスタッフさんたちがビックリして……ということもありました。

ーーすごい、魔法の力が!

南條:働いている! みんなキャラ愛がすごいから、それぞれのカラーの服やアクセがどうしても増えていってしまうんですよね。「これメロロンっぽい!」って思うと、画像を送りつけてしまいます(笑)。

花井:アフレコでも、意識的に自分のキャラクターのカラーのお洋服を着てきていますよね。

ーー松岡美里さん(キュアアイドル/咲良うた役)、髙橋さん、高森奈津美さん(キュアキュンキュン/紫雨こころ役)はお揃いのアクセサリーをプレゼントし合ったと伺いました。

南條:実はたかみなからリングをもらったんですよ。

花井:そうなんです!

南條:ただ、衝撃の事実があって……白と黒のリングを私たちそれぞれにくれたんですが、逆なんですよ(笑)。美春ちゃんと一緒にもらったわけじゃなかったから、気づかなくて。「シルバーっぽいし、それでくれたのかな?」と思っていて。そしたら、美春ちゃんが白をもらっていたんです。

花井:私は白をいただいていて(笑)。

南條:私は黒をもらっていました。それを知ったたかみなが「言ってよ〜!」って(笑)。でも、結果的に“お互いの色を持ってる”っていうのもいいなって思って、今も大切にしています。

プリルンとメロロン、月と太陽のような真逆の存在

ーーさきほど皆さんキャラクターへの愛が強い、という話がありました。おふたりの想いもぜひ詳しく伺いたいです。

南條:何話も掛けて、プリルンというキャラを確立してきたんですよ。だけど、メロロンは変身までの展開が結構速くて。「もうちょっと妖精体だけで浸っていたかったね」なんて言ったりしています(笑)。

私はプリルンという存在自体が好きなんです。すごく純粋で、眩しすぎて。ときにはその純粋さがちょっと不器用に映ることもあるけれど、まっすぐで、いつも全力。私たち大人は、どうしても人の目を気にして、“こう思われるかな”とか、ワンクッション置いて行動することが増えるじゃないですか。でも、プリルンは思ったことをそのまま言える。“ホットドッグ食べたい!”“アイドルプリキュアを応援したい!”って、ストレートに表現できる。そういう生き方をできる人って中々いないんですよ。自分自身の気持ちが浄化されるようで……プリルンに出会えて本当によかったって思っています。光の塊みたいな子です。もう、ベッドの周りもプリルンだらけです(笑)。

ーーすごい! いい夢が見られそうですね。

花井:確かに!

南條:……完全に職権乱用なんですけど、目覚ましの音もプリルンの声に設定しています(笑)。

ーーえっ、とてもうらやましい……(笑)。

南條:初めての職権乱用です。「起きるプリ!」とか言っています。でも、音声だけで聞くと、ただの高い声で喋っている自分なんですよ……(笑)自給自足というか、脳内でプリちゃんの映像を組み合わせてます(笑)。メロロンのも欲しい……。

花井:メロロンは、キャラクターカラー的にプリルンとは真逆なんですよね。太陽と月のようなポジションだから、目覚ましには向かないかもしれないです(笑)。しかもメロロンは、メロい喋り方なので、どちらかと言えば“眠りに誘う”側と言いますか。

ーーポエムもありますし。

花井:そうなんです。少し影があって、“自分はキラキラできない”って悩みを抱えているキャラクターでもあって。そんなときに、太陽みたいなプリルンが“こっち、あったかいプリ!”って手を差し伸べてくれて。メロロンはそこで初めて、“自分は一人じゃないんだ”って気づいたんですよね。それ以来、メロロンにとってプリルンはかけがえのない存在。だからこそ、すごく慕っているし、大好きで……その愛が、ちょっと過剰なくらい大きくて(笑)。

ーーうたちゃんにやきもちを焼いてしまうくらい(笑)。

花井:そうなんです。プリルンの矢印がうたちゃんに向いてしまっているので……こちらの特大サイズの矢印はスルーされることが多くて(笑)。

南條:もう当たり前だと思っているんですよ。自分から「お姉ちゃんになるプリ!」と言っているので、メロロンは“可愛い妹”という位置づけなんですね。それが大前提にあるからこそ、こちらに向かった矢印は「いまさら」って感じなのかもしれない。

その一方で、プリルンははなみちタウンでうたに出会って、アイドルプリキュアになって、どんどん人をキラキラさせていく姿を見たとき、初めて衝撃を受けたんですね。プリルンにとって、太陽のような憧れがうたであり、アイドルプリキュアであるっていう、ちょっと切ない“三角関係”みたいな感情で……(笑)。

花井:メラメラしちゃいます(笑)。

南條:でもその“メラメラメロ”な感じもすっごくかわいいんです。

第17話での葛藤を経て……

ーーでも第17話を観ると、メロロンの愛に泣けてしまいます。

花井:そうなんです。私自身もアフレコしながら、うるっときました。

南條:第17話を収録している時はプリルンの目線でいるので、“うたを助けるために自分ができることは何か”、ということを必死に考えているんですよね。プリルンのそういう気持ちがみんなにも伝わっていたら良いなという感じなんですけど、収録が終わって、声が入った状態の映像を確認したときは、プリルンとしてではなくて、南條として見ていて。メロロンだって思いがあるのに、ねえたまのためにそれは言わずに飲み込んで、ただ黙ってひとりで涙をポツンと流す。もうせつなすぎて。なんてお話なんだと思いました。

花井:メロロンにとっては、自分自身のことよりもねえたまが一番だから、ねえたまに笑っていてほしいんですよね。元気なプリルンが大好き。そんなプリルンが涙を見せた時、メロロンは初めて“こんなねえたま、見たことない”っていう感情になっていたと思います。

メロロンにとってのねえたまは、かけがえのない……家族とかそういう言葉でも言い表せない、ものすごく大きな“愛”の対象なんですよ。ラブというより、“愛”という言葉がぴったりだなって。

ーーそして、第19話では大きく物語が動きますが……お気持ちとしてはいかがですか。

南條:第19話はちょっと切ない終わり方なんですよね……。大好きなうたのことを忘れてしまっているという。実は私たちふたりの浄化ソングのRECのタイミングで、「どんな状況で変身に至るんですか?」と監督に聞いたんですよ。その時に「アイドルを助けたい一心で変身するんだけど、そのためにはうたとの記憶を封印しなきゃいけない」って聞きまして。本当に衝撃的でした。演じる立場としても、すごく胸が痛くてその場で“ガーン”となってしまって。

だからこそ、プリルンが変身するまで、うたと過ごす時間をいちばん大事に過ごそうと思いました。それはもうプリルン目線というより、演じる側としての目線なんですけども。うたとユニゾンで台詞を言えるタイミングがあったらやろうと思っていましたし、うたといる時間をいちばんプライスレスな時間にしようって。それが視聴者の方にも伝わってくれたら良いですね。

ーーメロロンも一番大事にしているものをハートキラリロックに封印している状態なんですよね?

花井:はい。ただ、それがなにかは明らかになっていません。メロロンはあまり自分の気持ちを語らないタイプなので……。

南條:でも、美春ちゃんは知っているんだよね。

花井:はい。私だけは全てを知っている状況でアフレコしているんです。「メロロンの願いは、ねえたまの願いが叶うことメロ!」というセリフがあって。そのセリフを言う時に、私がいちばん大事にしているものをそこに詰め込みました。

ーーてっきり、メロロンはプリルンに関する記憶なのかなとも思っていたのですが……。

南條:そうですよね。台本を読んでいると、プリルンはうたにまつわる記憶を本当になくしていて。でも、メロちゃんはプリルンに対する想いは忘れていなさそう。「じゃあ、一体なにを封印したんだ?」というのは気になるところです。

花井:今、考えるだけで涙が出てきちゃいそうです。

南條:えーっ、なんなんだろう……?

ーーこの先の展開も楽しみにしています。変身シーンの収録も楽しみですね。

南條:ちゃんとセリフが揃うかドキドキするね(笑)。

花井:はい(笑)。アイドルプリキュアの3人が、毎回テストから本番まで全くブレずに完璧なんですよ。

南條:「何でこんなに揃うの!?」って思うくらい。

花井:そうなんです。その姿を間近で見ると“頑張らなきゃ!”って気持ちになります。

南條:がんばろ! もう千本ノックやらせてください!みたいな気持ちです(笑)。絵もめっちゃ可愛いんですよ。でも、今ちょっと不安もありますね。変なテンションというか……あとで作戦会議しないとね(笑)。

花井:はい(笑)。

南條:みんなこの緊張感を抱えて変身してきたんだなと、改めて感じています。

ピカピカな気持ちをずっと忘れないで欲しい

ーーところで、キュアズキューンとキュアキッスという名前がすごく新鮮だなと。

南條:そうなんですよね。斬新! ズキューンとか、もう名詞でもないっていう(笑)。でも、ファンサに絡んだ名前になっていて、アイドルって感じがしますよね。どこかのライブに“ズキューンして”みたいなうちわを持ってくれる人がやってくるんですかね?

花井:南條さんの個人のライブにも現れるのでは……?

南條:いや、私は塩対応で有名なので……(笑)。「ファンサはしませんからね」って言うと「それがファンサです」って言われるという、よくわからない現場です。

ーー(笑)。きっとこれから、キュアズキューン、キュアキッスのようなアイドルになりたい!と思う子どもたちも出てくると思います。これから子どもたちに伝えていきたいメッセージがあれば教えてください。

南條:私たちもズキューン、キッスとしての道を歩き始めたばかりなので、まだまだ未知なところもあるんですが……。でも、プリルンとも重なる部分がたくさんあると思っていて。やっぱり、“純粋さ”とか“無邪気さ”って、それだけで本当に尊いんですよね。それに勝るものはないって思います。“好き!”とか“応援したい!”、“キラキラだ!”っていう気持ちに、まっすぐになれるって本当に素敵。そういうピカピカした気持ちを、誰にも阻害されずに成長していってほしいです。やっぱり普通に生活していると純粋な生き方ってできなくなってっちゃうことが多いと思うので。

ーーわかります。

南條:私自身もプリルンを演じていて、ある日ふと街でチューリップを見たとき、「わあ!かわいい!」って不意に思ったりして。その時に、“あれ? 私、子どものころめっちゃチューリップが大好きだった!”って思い出したんです。急にフラッシュバックして、ああ、そういうのって忘れてしまうんだなって。だからこそ、今これを読まれている方も、“これが好き”、“これが可愛い”と思った気持ちを、大事にしてほしい。今の子どもたちにも“心にしまっておける大切なもの”を、ひとつでも多く持っていてほしいなって思います。

花井:忘れてしまう……というのは、なんだか切ないですね。

ーーまさに、ズキューン、キッスにもつながるお話ですね。

南條:でも……忘れたと思っていても、また思い出せるはずです。大切なことって、ちゃんと心の奥底に残っているから。お花を見て“可愛いな”って思う、ただそれだけで、もう十分じゃないですか。理由なんていらないというか。ただ感じる、それがすごく大事なことなんだと改めて感じました。

花井:私は“好きなものを貫いてほしい”って思います。例えば、“これが好き!”って言うのがちょっと恥ずかしかったりすることもあると思うのですが、好きの気持ちを大事にしてほしくて。同じものを“好きだよ”って言ってくれる人は、きっとどこかにいるはずだから。言葉にしなくてもいい、心の中で“ずっと好き”って自信を持って思い続けてくれたら、それだけで素敵だなって。

メロロンも、長い時間をひとりで過ごした過去があって、本を読んでその時に覚えた言葉でポエムを日常でつぶやいたりしているんです。だから、そういう“自分だけの楽しみ”を持って生きていくって、すごく素敵なことだと思います。絵本でも歌でも、何でもいい。夢中になれることを持ちながら、日々を楽しんで過ごしてくれたら嬉しいです!

[インタビュー/逆井マリ 撮影/小川遼 編集/小川いなり]

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