【川崎市多摩区】多摩区堰 住民有志ら 神社で地域交流を 本とコーヒー、アイテムに
子どもから大人まで誰もが気軽に神社の境内に立ち寄り、「本」と「コーヒー」を通じて心安らぐひと時を過ごしてほしい--。そんな思いから、地域に住む人たちにコミュニティースペースを提供する取り組みが、多摩区堰にある堰稲荷神社の境内で行われている。
境内に椅子とテーブルが置かれ、絵本や小説、料理、エッセーなど約20冊の書籍や雑誌が並ぶ。集まった人たちはドリップされたコーヒーを味わいながら、読書や地域住民との会話を楽しむ。
『本とコーヒーと。』と銘打ったこの取り組み。企画を発案したのは、堰周辺に住み、地域の魅力的な風景を写真に収めてSNSや展示などで発信しているグループ「久地ぐらし」のメンバーだ。「堰は登戸と溝口という大きな駅に挟まれ、区境ということもあり地域の魅力が発見しづらいエリア」とメンバーの一人、脇本菜津美さん(36)。一方で転入者や子育て層が増え、新旧住民や多世代間の交流の場が必要と感じていたという。
そこで、メンバーは本とコーヒーというなじみやすいツールを使って、地域の人が気軽に立ち寄れる機会の創出を計画した。当初、世喜商店会内にあるスペースを借りて実施したところ子育て層の参加が多く、交通の安全性を考慮して場を移そうと堰稲荷神社の金子善光宮司(79)に相談。宮司が神社を管理する奉賛会に話を伝え、賛同を得た。「本来、神社は開かれた場所でさまざまな情報が交わるところ。その延長として、こういう場があってもいいのでは」と金子宮司。奉賛会の保谷英雄会長(77)は「地域の老人会や子ども会なども清掃やイベントなどで神社との関わりが深い。メンバーにも、夏祭りの手伝いや掃除などに関わってもらいたいとお願いした。そうして段々と地域の交流が増えていけば」と思いを語る。
次回は10月26日
第1回は8月23日に開催された。「地域に開かれた『縁側』がコンセプト。気軽に立ち寄って、まちの人が地域に関わってもらえるような場になれば」とメンバーの松本恭子さん(41)。その思いの通り散歩中にふらっと訪れる人や子連れ、高齢者など数十人の参加があったという。9月には2回目を実施。今後、原則として毎月第4日曜日に開催する方向で、次回は10月26日(日)を予定している。午前10時から午後2時。コーヒーは無料で提供するが、メンバーらが手弁当で用意するため応援金を募る。雨天時は中止。(問)同神社【電話】070・4805・3971