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東京、12月7・14日に開催される『忠臣蔵』の祭り3選

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東京、12月7・14日に開催される『忠臣蔵』の祭り3選

2024年も師走に入り、『忠臣蔵』のシーズンを迎えた。同作品を誕生させるきっかけとなった赤穂浪士による吉良上野介(きら・こうずのすけ)邸への討ち入りが、旧暦の12月14日だからである。

大石内蔵助(おおいし・くらのすけ)ら義士たちが眠る高輪の「泉岳寺」、そして屋敷があった両国の「本所松坂町公園」では、2024年も恒例の「義士祭」を開催。ここでは、義士らにふんして行列を行う祭りから、忠臣蔵では悪役として描かれた吉良の家臣たち二十士を悼むイベントなどを紹介する。

Photo: Cowardlion/Dreamstime

『忠臣蔵』とは……

現代では映画やドラマになり、鉄板のコンテンツとして日本人を魅了してきた『忠臣蔵』。もともとは室町時代に設定を変え、史実に脚色を加えた人形浄瑠璃や歌舞伎の人気演目だった。

実際の「赤穂事件」の発端は同事件が起きた1年前、1701年の3月14日にさかのぼる。江戸城「松の廊下」で、赤穂藩主の浅野内匠頭(あさの・たくみのかみ)が、幕府に仕え儀式・典礼をつかさどる高家衆筆頭の吉良に斬りかかる刃傷事件が起こった。

吉良邸跡吉良邸跡の「吉良上野介像」

結果、事の裁定は「けんか両成敗」の時代に、吉良がとがめられなかったのに対し、浅野は切腹を命じられ、赤穂藩浅野家は取りつぶしとなった。同日は朝廷からの使者に徳川綱吉が答礼を行う日であり、この大事な日に刃傷事件を起こしたとあって、将軍の怒りを買ったと伝えられる。

赤穂藩筆頭家老の大石内蔵助(おおいし・くらのすけ)は、浅野家の再興を画策するもかなわず、討ち入りを断行。志士を伴い吉良の首を取って亡君の仇(あだ)討ちを果たすも、赤穂浪士たち46人は切腹によって命を閉じた。

赤穂義士祭

画像提供:忠臣蔵赤穂義士行列実行委員会

赤穂浪士による討ち入りがあった毎年12月14日に「泉岳寺」で開催する祭り。浅野内匠頭の墓前で読経供養、本堂で献茶式を行う。また「忠臣蔵赤穂義士行列」が、2024年はスタート地点を歌舞伎座とし、泉岳寺まで繰り広げられる。

泉岳寺は徳川家康の命によって1612年に建造されたが、1641年の大火で焼失。徳川家光が浅野家や毛利家らに命じて再建を促し、高輪に移転・再築された。以来、浅野家の江戸の菩提寺(ぼだいじ)となり、浅野の墓がある。 大石内蔵助ら赤穂浪士は討ち入りの後、吉良の首を携え約10キロの雪道を歩いて泉岳寺へ向かい、浅野の墓前に供えたといわれる。そしてそれぞれに預けられた大名家で切腹を遂げたのち、主君の墓の傍らに葬られた。

祭りのハイライトなる「忠臣蔵赤穂義士行列」 は、主君の仇討ちを終えた赤穂浪士になり変わり、討ち入り装束を身に着けた47人の志士たちが街を練り歩き、泉岳寺を目指す。浅野の墓前に一同が揃うと、勝ちどきを上げてパレードを終える。『忠臣蔵』のストーリーが染み付いてる者にとっては、リアルそのもの。観客からも思わず拍手が沸き起こる。

※※13~15日 参拝 7~18時(14日は21時まで)、義士行列 15時30分到着予定/泉岳寺/入場は無料

義士祭

Photo : Time Out Tokyo Editors

赤穂浪士の討ち入りがあった吉良邸跡地に建つ本所松坂町公園でも、毎年12月14日に「義士祭」が開催。園内にある稲荷神社で祝詞をささげたのち、甘酒をふるまう。

吉良の屋敷は広大で約8,430平方メートルもあった。義士たちは吉良の家臣と刀を交えながら、吉良の居場所をあちこち探して回ったという。

現在の公園の広さは約98平方メートルで86分の1ほどに過ぎないが、地元の有志たちが「吉良の首洗いの井戸」を中心に土地を購入し、東京都に寄贈したことで跡地が保存された。公園を取り囲む高家の格式を表す「なまこ壁」と黒塗りの門が当時の様子を偲ばせ、吉良の座像が安置されている。

吉良邸を訪ね、泉岳寺の義士祭に赴けば、より臨場感が増すだろう。

※14日/吉良邸跡(本所松坂町公園)/入場は無料

吉良祭

吉良邸跡吉良邸跡の家臣二十士の碑

本所松坂町公園で毎年12月第2週の土・日曜日に行われる「吉良祭」。今年は、赤穂浪士の討ち入りがあった14日の1週間前に当たる7日(土)・8日(日)に開催される。討ち入りで主君である吉良を守ろうと、犠牲になった20人の家臣たちを供養する。

周辺では「元禄市」も同時開催。80店舗を超える露店が連なり、ちゃんこから野菜の直売、衣料品、日用雑貨などを販売する。甘酒や酒もふるまわれ、年末の雰囲気が味わえる。

公園内には、主君の吉良を守ろうと赤穂浪士と戦った家臣たち二十士を悼む石碑が建ち、焼香用の線香も置かれている。

『忠臣蔵』では悪役として描かれた吉良であるが、実像は分からず、討ち入りについても江戸庶民の間では賛否があったという。現代によみがえった四十七士たちの仇討ちに拍手し、その熱狂に加わるのも魅力的だが、吉良の二十士に静かに線香を手向けるのもいいものだろう。

『忠臣蔵』には、討ち入りに加わらなかった人物についてもつづられている。こうした「不忠」者や物語からこぼれ落ちた、光の当たらぬ吉良の二十士に思いをはせてみるのも、『忠臣蔵』イベントの楽しみだ。

※7・8日 9~17時/吉良邸跡(本所松坂町公園)/入場は無料

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