新コンセプト「メキシカン・フレンチ」という挑戦~ 会員制レストラン【No Code】が新体制・新コンセプトで始動
レストラン運営にとどまらず、食を主軸に社会貢献を続けてきた米澤文雄シェフ。今秋、米澤シェフは海外へ拠点を移すことになり、これまで会員制で営業していた西麻布の【No Code】は、新たな体制・新たなコンセプトで2025年6月13日(金)よりリニューアルオープンしました。料理を手がけるのは、米澤シェフの右腕として活躍してきた久松暉典(ひさまつ・あきのり)シェフ。さっそく新生【No Code】に足を運んでみました。
新コンセプト「メキシカン・フレンチ」で、日本の旬を重ねた新境地へ
これまで【No Code】を率いてきた米澤シェフが海外へと拠点を移し、【No Code】ブランドのグローバル展開(サウジアラビア・台湾など)が本格化。西麻布の本店は、約10年にわたり【Jean-Georges Tokyo】や【No Code】で米澤シェフを支えてきた久松シェフが引き継ぎ、新たな旗艦店として生まれ変わります。それに伴い、今まで紹介制や会員制といったクローズドの環境の中でのダイニング営業を行っていましたが、電話番号も公開し、どなたでも予約可能なお店へと生まれ変わりました。
料理は、メキシコとフランスという一見異なる食文化を、日本の旬と融合させた新たなジャンル「メキシカン・フレンチ」へとコンセプトも一新。スパイスや発酵、ハーブ使いなどの共通点をもつメキシコ料理とフランス料理の技法、さらに日本ならではの四季折々の食材と掛け合わせた唯一無二の料理を生み出していきます。
メキシコ屋台の味を昇華。新感覚の12皿コース
メキシコ料理とフランス料理ーー、見た目や歴史は異なりますが、実は発酵文化やスパイスの多用、火入れや香りの表現など、共通点も数多く存在しているそうで、久松シェフはそこに日本の自然が育む食材と調理技術を重ねることで、国や文化を越えて「食」が繋がる新しい体験を提供します。
【No Code】で提供されるのは、12皿から構成される季節の「おまかせコース」。メキシコの屋台グルメをモダンに昇華させた皿や、フランスの伝統技法を活かしつつ異国の香りを纏わせた一皿など、まさに国境を越えたコース料理です。
1皿目『Sopa de Esquites』
(ソパ・デ・エスキーテス)
メキシコの屋台フード「エスキーテス(焼きとうもろこしの和え物)」を久松シェフ流にアレンジしたスープ料理。香ばしく焼いたトウモロコシの甘みと香りをベースに、メキシコ料理らしいチリオイルのピリ辛さがアクセントを加えます。ライムの酸味や、チーズのまろやかさで深みのある味わいに。
2皿目『Tuna con salsa macha』
(ツナコンサルサマチャ)
やま幸のマグロの尾身を使用し、メキシコ伝統の調味料「サルサ・マチャ」と合わせた創作メニュー。香ばしいゴマや数種類の唐辛子をオイルで煮出してつくったコク深いソースが、魚の旨みを引き立てます。和×メキシカンの融合。
3皿目_『Aguachile de pez Isaki』
(アグアチレ・デ・ペス・イサキ)
イサキに発酵パイナップルや唐辛子を組み合わせた、爽快な酸味と辛味のメキシコ風セビーチェ。酸味だけでなくピリッとした辛さが加わるのが特徴で、夏にぴったりの清涼感と爽やかな刺激が暑い季節にぴったりの一皿です。
4皿目『Champiñones confitados con pipián verde』
(チャンピニョーネス・コンフィタードス・コン・ピピアン・ヴェルデ)
低温調理したマッシュルームに、「ピピアン・ヴェルデ」(かぼちゃの種のグリーンソース)とパルメザンクリームのコクを加えた温前菜。
5皿目『Ostras fritas con masa de maíz y salsa de vino blanco』
(オストラス・フリタス・コン・マサ・デ・マイス・イ・サルサ・デ・ビノ・ブランコ)
北海道産の牡蠣をマサ粉で香ばしく揚げたカキフライに、白ワインと鰹節のヴァンブランソースを添えた、日本×メキシコ×フランス三国融合の一皿。衣の香りがふわりと広がり、いつものカキフライとは一味違うメキシカンな仕上がりに。
6皿目『Empanada de mole verde』
(エンパナーダ・デ・モレ・ヴェルデ)
南米を中心に世界中で食べられている「エンパナーダ」は、香ばしく焼いた生地にクリーミーなリコッタチーズとスモーキーな焼きナスを包み込み、メキシコのスパイスペースト「チンテクストレ」でコクと深みをプラス。香草とナッツの風味が広がる爽やかなグリーンモレを添え、伝統と個性が調和した奥行きのある一皿に仕上げています。
7皿目_『Flautas de ayu con salsa chimichurri』
(フラウタス・デ・アユ・コン・サルサ・チミチュリ)
8皿目『Sablé con costra de pistacho a la viennoise servido con salsa Chorón』
(ペス・サブレ・コン・コストラ・デ・ピスタチョ・ア・ラ・ビエンノワーズ・セルビド・コン・サルサ・ショロン)
初夏の鮎をコンフィにし、香ばしく揚げた筒状のトルティーヤで包んだ「フラウタス」(筒状のタコスの名称)。鮎のほろ苦さを活かしたソースに、香草やスパイスを効かせたメキシカンスタイルのチミチュリソースを合わせ、程よい辛味と清涼感が感じられます。
香ばしく焼いた白身魚に、ピスタチオ入りの「ヴィエノワーズ」(パン粉風の生地)を重ねて風味豊かに仕上げ、サクッとした食感とナッツの香りを演出。ソースはフランスの伝統的なベアルネーズソースをベースに、トマトとメキシコのスパイス「チンテクストレ」を加えたアレンジ版ショロンソースで、フランスとメキシコの味が絶妙に融合した一皿です。
9皿目『Terrina de carnitas con puré de hinojo y ajo』
(テリーナ・デ・カルニタス・コン・ピュレー・デ・イノホ・イ・アホ)
メキシコの伝統料理「カルニタス」(豚肉の煮込み)を、丁寧にテリーヌ仕立てにした一皿。なめらかなピューレと、発酵によって旨みを引き出したトッピングを重ねることで、味わいに奥行きと、食感に繊細なコントラストを演出。伝統的なストリートフードをモダンに昇華させた、上品で洗練された一皿です。
10皿目『Carne madurada con mole coloradito』
(カルネ・マドュラーダ・コン・モレ・コロラディート)
滋賀県・サカエヤの熟成経産牛に、2年熟成のメークインを薄く重ねて焼き上げたポムアンヌを添えた一皿。香ばしいネギ炭のパウダーが、肉の深い旨みにさらに奥行きを加えています。手前には、メキシコの伝統的なソース「モレ・コロラディート」をあしらい、和の素材とメキシカンの技法を巧みに融合させた、奥深い味わいの料理です。
11皿目『Granizado de mezcal con sandía』
(グラニサード・デ・メスカル・コン・サンディーア)
スイカジュースをベースにした爽やかなグラニテに、ほんのりとメスカルの香りを効かせた夏の一品。スモーキーな風味が甘さを引き締め、清涼感のなかに奥行きを添えています。シンプルながらもどこか不思議で洗練された、大人のためのサマーデザートです。
12_『Compota de melón con gelatina de mojito mexicano』
(コンポタ・デ・メロン・コン・ヘラティーナ・デ・モヒート・メヒカーノ)
瑞々しいメロンのコンポートに、ミントとライムが香るメキシカンスタイルのモヒートジュレを添えたメニュー。爽やかな清涼感が広がり、食後のひとときをすっきりと心地よく締めくくる、夏にぴったりのデザートです。
久松シェフ、「メキシカンの可能性を、日本から再構築したい」
NYのミシュラン一つ星メキシカン【OXOMOCO】での経験や、国内外での修業を経てたどり着いたのが「メキシカン・フレンチ」という久松シェフ独自のジャンル。
「メキシコ料理は、そのまま再現するのではなく“進化させる余地がある”。辛味や酸味の奥にある甘みを、日本の食材と調和させることで、新しい表現ができると確信しています」と久松シェフ。メキシカンの辛味や酸味の奥にある甘みと、日本の野菜や果実が持つ旨みと調和させることで、今までにない味わいを生み出していきます。
ディナー営業は17:00~ / 19:45~の2部制。全12皿のコース料理に、ドリンクはスペイン産のナチュールワインや、スモーキーな「メスカル」などをラインアップ。日本酒も1種類ほど登場予定とのこと。
「時にメキシカン・フレンチ、時にフレンチ・メキシカン、時にメキシカン・ジャポネ」。国境を越え、文化と歴史を味わいで繋ぐ【No Code】の挑戦を、ぜひご自身の舌で確かめてみてください。
久松暉典シェフ プロフィール
1993年、大阪府出身。辻調理師専門学校卒業後、渡仏し【Georges Blanc】などで修業。帰国後は【Jean-Georges Tokyo】やNYの【OXOMOCO】などで経験を積む。2019年より米澤文雄シェフとともに【No Code】の立ち上げに参画。2025年6月より西麻布本店のシェフとして「メキシカン・フレンチ」という新たな挑戦に挑む。
【No Code】店舗情報
住所:東京都港区西麻布2-25-31 クオーレ西麻布2F
営業日:DINNERのみ 2部制(17:00~ / 19:45~)
定休日:不定休
コース料金:13,500円(税・サ別)
座席:カウンター8席