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【シャボン玉はなぜ虹色?】小さなギモンが「なるほど!」に変わる物理の話[大島まり先生監修]

こそだてまっぷ

物理は、自然界や私たちの身のまわりに起こっているさまざまな現象を解きほぐしてくれる学問です。

「シャボン玉ってどうして虹色なの?」とお子さんに質問されたら、なんと答えますか?

大人だって、子どものころに同じような疑問をもったことがあるはず。
幼い子どもに完璧な説明は必要ないかもしれませんが、せっかくなら本当の理由を知っておきたいですよね。

物理は、このような自然界や私たちの身のまわりに起こっているさまざまな現象を解きほぐしてくれる学問です。

『身のまわりの仕組みがわかる 物理について大島まり先生に聞いてみた』(Gakken)では、東野圭吾さんの小説を原作としたドラマ「ガリレオ」の科学監修を行った大島まり先生が、物理に対するイメージを変えたい、物理の垣根を低くしたいという思いで、身近にある小さなギモンについてわかりやすく解説してくれています。

今回は、その中から「シャボン玉」のギモンを含め3つを抜粋し、再編集してご紹介します。
子どもの素朴な質問をきっかけに、「物理学」を少し学んでみませんか?

物理学が教えてくれる身近な不思議

みなさんは「物理」に対して、どのようなイメージをおもちでしょうか?

「法則や数式が出てきたりして難しそう」あるいは「わかりにくい」などのネガティブな印象をもっている方が多いのではないでしょうか。

でも、子どものころに、ボール遊びや自転車にのる練習など、体を動しながら楽しんだ経験があると思います。

また、「空はなんで青いの?」など、身のまわりの不思議について疑問をもったりしたこともあるのではないでしょうか。

物理は、このように自然界や私たちの身のまわりに起こっているさまざまな現象を解きほぐしてくれる学問です。

物理によって現象を理解することで、その機序を利用したり組み合わせることで今までにない新しい技術や機器を開発したり、社会課題の解決に役立つことができるのです。

今ではなくてはならないスマートフォン、私たちが直面している環境問題など、物理を知り、理解を深めることで、今までとは異なった見方ができると思います。

Q. シャボン玉はどうして虹色に見えるの?

ぷかぷかと浮かぶ虹色のシャボン玉。おそらく一度は遊んだことがあるのではないでしょうか。

ところで、どうしてシャボン玉が虹色に見えるのかを知っていますか?

石鹸水には色がついていないのに、膨らましたとたん色づいて見えるのは不思議ですよね。これには光の干渉が大きく関わっています。

A. シャボン膜の裏表で各光が反射し干渉しているためです。

光には二つ重要な要素があります。それは、波の大きさと波長です。ふだん私たちが視覚から感じる光の色は波の大きさによって決まり、その色は波長によって決定づけられています。

さて、今回のキーワードである光の干渉について説明します。

シャボン膜の厚みは10万分の数センチであり非常に薄いのですが、光をあてると膜の表側と裏側で二つの光が反射していることがわかります。

そしてこの二つの光の重なりが私たちの目に飛び込んできます。これら二つの光は異なる波長をもち、強めあったり弱めあったりしながら進んでいきます。

例えば、青い波長が強め合えば青色が強調され、逆に弱めあうと青色が目立たなくなります。この現象を「光の干渉」といいます。

シャボン玉の膜の厚さは場所によって少しバラつきがあり、膜の厚さによって赤色が強く見える部分もあれば、青色が強く見える部分もあります。

このように、場所によって見える色が異なるので、様々な色が混ざりあって虹色に見えるのです。

Q. どうして昼間と夕方で空の色が違うの?

これまでの人生で「空ってなんで青いんだろう?」や「なんで夕方だと空はオレンジになる の?」と不思議に思ったことが一度はあるのではないでしょうか。

ここで空の色の不思議に迫ります。

A. 光の波長によって散乱されやすさが異なるためです。

太陽光は、白色光というさまざまな色を含んだ光で構成されていて、色によって屈折のしやすさが異なります。

より詳しく調べると、光は、太陽や電灯などの光源から周囲へ伝わっていく波の一種であることがわかります。

シャボン玉のところで出てきたように、光の色は波長によって決まり、赤色の光は波長が長く、青色の光は短いです。

波長の短い光(青色に近い光)は空気中の窒素や酸素などの分子によって散らばりやすく、あちこちへ広がっていきます。この現象を散乱といい、波長が短いほどよく散乱します。

つまり、昼間に空が青く見えるのは、波長の短い青色の光が、波長の長い赤色の光に比べてよく散乱しているからです。

では、昼間は青く見える空が明け方や夕方で赤く見えるのはなぜでしょうか。

これは太陽光が地球にさしこむ光の道筋に関係しています。

明け方や夕方は地球から見て太陽が地平線近くの低い位置にあり、太陽光が地球の大気層を通って地上に届くまでの距離が長くなります。この間に青い光の大半が散乱されてしまい、散乱しにくい赤色や橙色などの光が多く残ります。

これによって、私たちの目には空が赤く見えているというわけです。

Q. どうしてホームランボールはあんなに飛ぶの?

野球の醍醐味のひとつであるホームラン。ふと考えてみると、どうしてバットにボールを当てるだけであれほど飛んでいくのでしょうか。

それには、力積というものが関係しています。

A. バットを振る速度やボールと接触する時間を工夫することで、力積を大きくしているのです。

力積とは、「力×物体に力が加わる時間」のことをいいます。

簡単にいうと、物体に力を加える時間が長ければ長いほど、またその力が大きければ大きいほど、その物体の運動に大きな影響を与えられるということです。

野球に話を戻すと、バットがボールに当たる瞬間、非常に短い時間ですが強い力がボールに加わります。
この短時間における力の大きさとその力が加わる時間の積が力積であり、ボールの勢いを変化させる要因となります。

実際に野球選手は、 バットを振るスピードを上げてボールに加わる力を増大させるとともに、ボールとバットが接触している時間を少しでも長くすることで、力積を大きくし、ボールを遠くへ飛ばしているのです。

逆に、ボールとバットの接触時間が短かったり、力が十分に加わらない場合、力積が小さくなり、ボールの飛距離も短くなります。

つまり野球選手は「バットの角度や速度を工夫して、ボールにより大きい力積を与えるプロ」であるといえるでしょう。

バッティングセンターで感覚的にバットを振っていたことの中に、物理が隠れていたなんて面白いと思いませんか。

日常接している「物理」に興味をもって、ワクワクしよう!

近年、I T技術の発達や生成A Iなどの新しい技術の進歩により、科学技術と社会の関係は大幅に変化しています。私たちの生活は便利になっていますが、同時に、複雑で曖昧、かつ不確実で変動性が大きい社会へと移っています。

物事・現象の機序を解き明かして普遍化していき、その機序を社会において見える化、あるいは制御できる形に創造していく「物理」の果たす役割は、今後ますます大きくなっていくでしょう。

本書は、身近にある小さなギモンを取り上げ、数式をなるべく使わずに物理の視点から解説した、物理の入門書です。本書を通して、このような身近な小さなギモンが 「なるほど!」に変わることで、日常接している「物理」に興味をもって、ワクワクしていただけければ、と願っております。

※こちらの記事は『身のまわりの仕組みがわかる 物理について大島まり先生に聞いてみた』(Gakken)から、一部内容を抜粋・再編集してご紹介しています。

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