アウトプットの苦手克服方法とは? 得意にするためのトレーニング方法を解説
上司や先輩などから「アウトプットは積極的にしたほうがいいよ」と言われて、すぐに「じゃあこういう方法でやろう」と行動できる人はそれほど多くはいないでしょう。むしろ何からすべきか分からずアウトプットに苦手意識を持ち、気づいたら、ついインプットばかりしてしまっている……ということも。
しかしアウトプットとインプットは、両輪で行うことで初めて効果が出るもの。どうすれば苦手意識を克服し、仕事でうまくアウトプットができるようになるのでしょうか?
今回は、苦手だと感じる理由も分析しながら、アウトプットを得意にするポイントやトレーニング方法を解説します。
<INDEX>
アウトプットとは? 積極的にやるべきと言われる理由
アウトプットが苦手だと感じる4つの理由
アウトプットが苦手な人に知ってほしいこと
アウトプットをするための4ステップ
日常生活で実践!アウトプットを得意にするトレーニング
アウトプットのコツを知って日々の仕事に生かそう
アウトプットとは? 積極的にやるべきと言われる理由
「アウトプットは積極的にやるべきだ」と言われる理由は、仕事をするうえで多くのメリットがあり、仕事やキャリアに良い影響を与える可能性が高いためです。それぞれについて、詳しく解説します。
アウトプットがもたらすメリット
たとえばアウトプットをすることで、以下のような効果を体感できるでしょう。
•学んだことを記憶に定着させられる
•自分の意見や考えを整理できる
•業務の内容をより深く理解できる
•周囲からの信頼獲得につながる
アウトプットがうまくできるようになると、仕事のパフォーマンス向上や、自信を持つきっかけにもなります。「良い仕事をしてくれる人材だ」と評価されたり、想像もしていなかったキャリアの幅が広がったりするかもしれません。
アウトプットとインプットは両輪で行う
アウトプットは目標達成のための手段ですが、インプットとセットで取り組むことで初めてその効果が出ます。片方にだけ注力しても、なかなか目標達成には近づきません。
もし「アウトプットが苦手だ」と感じてインプットばかりを繰り返しているのであれば、まずは、アウトプットに対する苦手意識を克服することが大切です。具体的な克服方法は、次の章で解説します。
アウトプットが苦手だと感じる4つの理由
そもそもなぜ、アウトプットに対して苦手意識を感じてしまうのでしょうか。考えられる理由は、大きく以下の4つが挙げられます。
自分の考えを人に伝えることに苦手意識がある
過去に、人前でうまく話せず笑われたり、提出したものを酷評されたりしたことはありませんか?
そうした経験から自分の考えに自信が持てず、アウトプットした内容を誰かに見られる・聞かれるのが苦手だと思っているかもしれません。
インプットの量が多すぎる・少なすぎる
インプットの量が多すぎて情報を処理しきれず、アウトプットもうまくできていない可能性があります。あるいはインプットの量が少なすぎて、アウトプットするまでに至っていないのかもしれません。
「なんとなく」でインプットをしている
具体的な目的や目標を持って行うときと、なんとなく行うときとでは、定着する情報の量も質も変わってくるものです。目的を持たずにインプットばかりしていても、アウトプットのしようがなくなります。
そもそもアウトプットをする機会がなかった
もしかすると、アウトプットを求められた経験が少ないことが関係しているかもしれません。たとえば発言や発表などを積極的にしてこなかった、または部署やポジション的にアウトプットを求められるときが少なかったなどが考えられます。
アウトプットが苦手な人に知ってほしいこと
アウトプットが苦手だと感じる理由は、人によってさまざまです。
次のような固定観念や思い込みをなくしていけば、きっとアウトプットが苦手だと感じることも減るのではないでしょうか。
「完璧」を目指す必要はない
「アウトプットをする」と聞いて「自分の意見をまとめて、人前で話す」「文章にまとめて公開する」など誰かに見せる、聞いてもらうことを想像している方も多いのではないでしょうか?
そういったことでなくても、たとえば以下のようなことも、アウトプットのひとつです。
•やるべきことをToDoリストに書き出す
•自分が考えたアイデアを他の人には見えない状態でSNSに書き込む
•今日1日の中で嬉しかったことをノートに書く
そもそもインプットとアウトプットは、自分のために行うもの。人目を気にしてアウトプットを避けるのは、とてももったいないことです。自分が取り組みやすいと思うアウトプットの方法を選んで、少しずつ続けると良いのではないでしょうか。
インプットの方法は1つではない
同様に「インプット」と聞いて、「読書」「仕事に絡む内容の勉強」などを想像する人も多いと思います。しかしアウトプット同様に、インプットの方法も「これしかダメ!」というものはありません。たとえば、好きな動画やSNSをみる、ラジオやポッドキャストを聴くなどさまざまあります。
アウトプットが苦手な理由として「インプット量が少ない」「なんとなくインプットをしている」といったことを挙げました。しかしそうなっているのは、今行っているインプットの方法が自分に合ってないからかもしれません。
本当は読書が嫌いなのに、「周りがやっているから……」といった理由で読書をしていてもなかなか読み進められず、インプットもはかどりません。インプットも、自分の目標達成のために行うものです。本当に自分に合ったインプット方法が何か、ぜひ探してみましょう。
一朝一夕で身に付くものではないということ
アウトプットを得意にするためには、まずは1つひとつのアウトプットに最後まで取り組むことが大切です。
周囲にアウトプットが上手な人がいると、「早くできるようにならなきゃ」とつい焦ってしまうもの。しかし焦ったところで、アウトプットのスキルはすぐに身に付きません。
あなたが「アウトプットが上手だ」と感じる人も、きっとそうした訓練を経たからこそ、今の姿があるのではないでしょうか。
具体的なアウトプットの方法については、次の章で解説します。
アウトプットをするための4ステップ
アウトプットを得意にするために重要なのは、日頃から意識して取り組み、経験を積み重ねて、徐々に苦手意識を克服していくことです。
まずは以下の手順に沿って、アウトプットすることを心がけてみてください。
達成したい目標を決める
最初に、アウトプットを通じて自分はどんな目標を達成したいのか、明確にすることが大事です。
アウトプットは、何らかの目標を達成するために行われるもの。だからこそ「どんな自分になりたいのか」「どういう目標達成をする必要があるのか」を洗い出し、そこから「どんなアウトプットとインプットが必要か」と逆算していくことが重要です。
ただし「来年までに全営業職の中で売上1位を目指す!」という、無理に大きな目標を考えなくても大丈夫。「新規取引先を●社増やす」「今月は部署内で売上1位を取る」などのように、自分が本当に達成したい目標を考えましょう。
より身近な内容にするなら、「抱えているタスクを今日中に全て終わらせる」といったことでも構いません。
目標達成に必要なアウトプットを考える
設定した目標を達成するために、自分にはどういったアウトプットが必要かを考えましょう。しかしこちらも頭を悩ませる必要はなく、現実的な方法を素直に出せば良いのです。
たとえば先ほど挙げた「新規取引先を●社増やす」という目標達成のためには「相手の興味を引くトークスクリプトやメールの文章を考える」「取引先の少ないエリアを開拓する」といった方法がありそうです。
「今日中に全てのタスクを終わらせる」という目標を達成したいなら、「今抱えているタスクを書き出す」といったアウトプットが効果的でしょう。
アウトプットを見越してインプットする
アウトプットの方法が見えてきたら、そのために必要なインプットをしましょう。このとき、以下のような工夫をするのがおすすめです。
•学んだ内容をいつ・誰に伝えるか想像しながらインプットする
•インプットした内容をその場で自分の言葉で言い換えてみる
•資料やテキストを読むとき、マーカーや付箋で重要そうな部分に印を付ける
インプットは重要ですが、ただ漠然と行えば良い訳でもありません。インプットした内容が記憶に残りやすい工夫をしておけば、アウトプットもしやすくなるでしょう。
考えた方法でアウトプットする
インプットが十分できたと思ったら、自分なりに考えた方法でアウトプットしてみます。
もし最後までアウトプットできれば、その方法で合っていると思って良いでしょう。継続的に取り組むことで、アウトプットへの苦手意識が減るかもしれません。途中で「うまくアウトプットできないな」と感じてしまった場合は、また別のやり方を試して繰り返していくことが良いでしょう。
もしくは途中でアウトプットの内容を誰かに確認してもらい、意見を聞いてみてはいかがでしょうか。
日常生活で実践!アウトプットを得意にするトレーニング
ここまで読んでも、やはり「アウトプットを得意にしたいけど、なかなか取り組む勇気が出ない……」と感じた方のために、ここでは日常生活に取り入れやすいトレーニング方法を4つ紹介します。どれか1つでも良いので、無理なくできると感じるものを選んで挑戦してみてください。
まずは「質より量」をこなす
始めはアウトプットの質にこだわりすぎず、とにかく回数を重ねることを重視しましょう。
アウトプットすること自体に慣れていない状況で質まで意識してしまうと、「こんなアウトプットでは不十分なのでは」と、いつまでもアウトプットができなくなります。質を上げるのは、アウトプットする方法が見えてきてからでも遅くありません。
既存のツールやフレームワークを活用する
既存のツールやフレームワークを使うと、「何をどのようにアウトプットしようか」と迷う時間を減らせます。一例として、以下が活用できます。
ツールやフレームワーク
概要
マインドマップ
中心となるテーマに関連する情報を放射状に展開する
ロジックツリー
課題解決の方法を木の枝のように分解してまとめる
ピラミッドストラクチャー
ある結論を導くための根拠を段階的にまとめる
PREP法
結論・理由・具体例・結論の順でインプットした内容を要約する
ワンペーパー資料の作成
インプットした内容を1枚の紙に集約する
インプットした内容を体系的に整理したいのであれば、マインドマップが使えます。学んだことをさらに深めるなら、ロジックツリーやワンペーパー資料の作成が良いでしょう。こうしたツール・フレームワークを使ったアウトプットに慣れてきたら、自力でのアウトプットに挑戦してみてください。
語彙力を鍛える
アウトプットしようと思ってもうまく言葉が出てこないと思うのであれば、まず語彙力アップに努めましょう。 語彙力を磨くためには、以下の取り組みをおすすめします。
•さまざまなジャンルの本を読む
•類語辞典やChatGPTなどのWebツールを活用し別の表現を探す
•幅広い世代の人と交流する
詳しい方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。
語彙力とは?「うまく伝わらない」を克服する鍛え方7選 - ミーツキャリアbyマイナビ転職( https://meetscareer.tenshoku.mynavi.jp/entry/20240208-word )
アウトプットが上手な人の行動をひたすら真似する
身近にいるアウトプットが上手な人をじっくりと観察し、その人が普段行っていることを真似るのも良い方法です。一例として真似しやすい行動を挙げます。
•メモの取り方
•文章の書き方や資料のまとめ方
•普段の話し方やSNSでの発信の方法
「守破離」という言葉もあるように、何かを上達させたいと思うときはまずお手本を真似して基本の型を知ることが重要です。そこから自分なりの工夫を加えて試行錯誤を重ねるうちに、自然とアウトプットが習慣化でき、自分なりのアウトプット術も生まれるでしょう。
アウトプットのコツを知って日々の仕事に生かそう
アウトプットが苦手だと感じるのは、アウトプットを難しくてクオリティが求められるもの、といった捉え方をしているからかもしれません。しかしそれほど身構えず、もっと気軽に取り組んで良いのです。
最初のうちは「質より量」を重視して、アウトプットの数を増やすことに努めることが良いでしょう。次第に、インプットとアウトプットの両方がうまくできると感じられるはずです。そしてアウトプットが習慣化できる頃には、仕事にもキャリアにも良い影響が出ているでしょう。
文:シモカワヒロコ(Nyima.)