「狙いは大アユ!」シーズン終盤のトモ釣り解説【タックル・ポイント選び・取り込み方】
お盆休みが過ぎるとアユ釣りも終盤戦。日が沈むのが早くなり、日に日に朝晩冷え込みが強くなる。そうなると大アユの季節到来だ。数釣りも楽しいが、大アユは大の大人が引きずり回されるほどの引きの強さが醍醐味。私も終盤には何度も大アユに引きずり回されて楽しんでいる。
トモ釣りシーズン終盤
8月上旬には、すでに益田川や白川で26cm級の大型が釣れている声も上がっていた。この記事が出るころには、尺アユや尺近いサイズの声が聞こえているかもしれない。私自身、昨年の9月に白川で30cm近いサイズや根尾川では尺アユを釣った。益田川でも9月上旬に、極太の大アユの強烈な引きを楽しんだ。
今回のつり作戦は大アユ攻略。まず大アユを釣るには、大アユが釣れる河川に行かないと出会えない。事前に漁協のHP、SNSなどで調べてから出かけた方が確実に大アユに近づけると思う。
タックル選び
大アユはパワーがあり引きが強いので、丈夫で切れたりしないイトやバレにくいキープ力のあるハリを選ぶ必要がある。信頼できる仕掛けを使えば大アユが掛かっても安心感があり、強引なやり取りでもパワー負けせず確実に取り込める。
トモ釣りのタックルは大きく分けるとサオ、天上イト、水中イト、ハナカン周り、掛けバリと分かれているので順に紹介しよう。
サオ
それなりのパワーのあるものが必要で、急瀬クラス以上がオススメ。大河川や小中河川で選ぶサオも変わってくるが、九頭竜川や長良川のような大河川では流れが強く押しも強いので、アユの引きのパワーも倍増する。立ち込んだ際、一歩も下がれない状況も多々あるので、強引なやり取りが必要になる。
私が選ぶとしたら、パワーソニック引抜急瀬9.5m。このサオは大河川、21~26cmクラスがメインで釣れる河川に対応しており、下ザオで掛けた際も、のされた状態からでもグイグイ引き寄せることができる。風の強い日でも細身設計で風切りが良く、長良川や九頭竜川など大河川で活躍してくれるサオで、私も愛用している。
白川や付知川の小中河川では、緩い流れの場所で取り込めば良いのでパワー系のサオより、操作性を重視したい。私はがま鮎競技GTI2引抜急瀬9mを選ぶ。
天上イト
初心者にはフロロカーボンラインの1.2~1.5号がオススメだ。移動式天上イトで3~5mを選べば良い。私はPEラインの0.8号を使っているが、PEラインは感度抜群でも雨の日にトラブルが起きやすいので、初心者にはオススメできない。
水中イト
水中イトだが、急瀬や荒瀬では沈みの良い高比重をオススメする。比重があった方が沈みが良く、オモリが小さくて済むので根掛かり防止になる。絶対に切れない信頼のおける太さの水中イトを使うと良い。私はがまかつ複合メタルラインメタブリッド大鮎SP0.4号。九頭竜川や長良川のような急瀬の大河川で特に好んで使っている。
白川や付知川など小中河川では、がまかつアーマードF+プロパーフェクト仕掛けがオススメ。比重が軽くオトリがよく泳ぎ、荒瀬で使っても根ズレに強く丈夫なので瀬釣りや泳がせ釣り、どちらにも対応してくれる。
ハナカン
ハナカンは、小さいものだと大型のオトリから外れてしまうので、7号以上は必要。私はがまかつの楽勝ハナカン7.5号を使う。逆バリだが、大型のオトリのウロコは硬く刺さりにくいので、刺しやすく持ちやすい逆バリの方が良い。野アユが掛かったときに、小さな逆バリだと曲がったり折れたりするので、4号以上の逆バリが良い。
中ハリスは最低でも50~60cmの長さで、太さも1.2号以上はほしい。ツケイトなしで水中イトと編み込みで直結すると切られにくい。私はがまかつ中ハリス鮎フロロ1.5号を使う。
掛けバリ
終盤の大型アユは、硬いウロコのよろいをまとっているので、太軸の掛けバリが有効だ。流れの速い荒瀬や急瀬の中でも太軸のハリだとハリスが適度に垂れてくれ、野アユの絡みも良い。またバラさないため、キープ力のある掛けバリを選ぶことをオススメする。
軽いハリや細軸だと、弾かれたり身切れしたりする。太軸の大バリは重量があり4本イカリだとどうしても根掛かりしやすく、オトリの負担が大きくなる。4本イカリより3本イカリがオススメ。1本がしっかり刺さり、キープ力があって根掛かりが少なくて済む。
私はがまかつのT1大鮎要8.5~10号やT1大鮎無双9~10号を3本イカリで使っている。
もうひとつ、大アユにはチラシバリも良い。チラシの方がハリスが長い分、広範囲に攻められて根掛かりも少ない。1本が深く刺さり、確実に取り込める。私はT1要パワーチラシ9号やT1大鮎無双チラシ9~10号を使っている。尺アユが釣れる大河川では、パワー負けしないメガ要10~12号がオススメ。
ポイント選び
大アユに限らず、石色のきれいなポイントはアユが食(は)んでる証拠なので、高台や橋の上から川を見てアユの有無と石色を確認しよう。
SNSやオトリ店などから、この川のどこで大アユが釣れているか、事前に情報を得よう。足元の石に大きな食み跡がある所は、近くに大型が潜んでいる。
大アユのポイントは時期によって違い、8月半ばから9月上旬は最もアユのパワーがある時期。流れが強い急瀬や荒瀬の流芯でも狙える。9月半ば過ぎると、アユも産卵を意識してくるので卵や白子で太る。
流れが速いポイントを攻略
大アユを狙う上で、流れの速いポイントは外せない。そこでオトリを流れの速いポイントに沈めるため、強い味方がオモリと背バリだ。押しの強い大河川の急瀬や荒瀬では、ノーマル仕掛けではオトリが流され沈まないので、背バリやオモリは欠かせない。
まずはオモリから。オモリには丸形や楕円形などさまざまな形があるが、丸形は底取りがしやすく感度は良い。楕円形は沈みがゆっくりで、根掛かりしにくい。私は感度重視で、丸形を好んで使っている。
オモリの使う上で注意することとして、必ずイトを緩めないこと。絶えずイトを張る。私は1~2号をメインに使い、最初はオトリから20cmの所に付ける。押しが強く石が小さい河川でオトリが流される場合、オモリを増やす前にオモリを10cmほどオトリに近づけて、もう一度送り出して様子を見る。
それでもオトリが流される場合は、オモリを増やしていく。例えば1号のオモリを付けてオトリが流されるときは、1号を2個にしたり1号と1.5号を付けたりする。オモリを使うときはサオが重要で、穂先が硬くパワーのあるチューブラや感度の良いチタン穂先のサオがオススメだ。
また1号以下のオモリは根掛かりしにくいので、初心者は1号以下のオモリからスタートして練習すると良いと思う。
攻め方としてはまず石裏など緩い所にオトリを沈めて、流れの筋へオトリを誘導する。オトリの動きを手伝うようにサオ先を上流側に引き上げていく。引っ張りすぎるとオトリが浮いてしまうので、慌てずゆっくり引き上げる。3~4回探って反応がなければ、1歩か2歩前に出て同じように釣る。前へ出られなければ2~3歩下がる。とにかくオトリを移動させ、多くの野アユにオトリを見せることが大事だ。
終盤の流れの緩い場所にアユがたまりだしてからは、背バリで攻略。背バリはオトリの安定感が良い。背バリを使うと、オトリのオデコがルアーのリップ代わりになるので沈みが良くなる。イトを張るとオトリが頭を下げて潜るので、流れが速くてもオトリが浮き上がりにくい。
オモリと違って根掛かりしにくいので、オトリを底流れまで沈めてからイトを緩めて、瀬の中でオトリを泳がせることもできる。スレた野アユを釣るには有効だ。
取り込みは完璧にマスターしよう
大アユを掛けても、取り込みで失敗は何度もあると思う。掛かってからの対処法として、下ザオのときに掛かるとのされやすいので、やや上ザオで構える。掛かったらサオは寝かせたままグッとこらえ、めいっぱい絞ってからゆっくりサオを立てて、自分の真上にまっすぐ立ててから引き抜くとフワッと引き抜ける。
もし下ザオで掛かってしまい、のされ気味で引き抜くとライナーで飛んできてキャッチミスやトラブルの元になる。無理に抜かず、サオを曲げてためてゆっくりと自分が近づき、真上にサオが立ってから引き抜く。
九頭竜返し
上級者向けだが、大アユには九頭竜返し(振り子抜き)を覚えたい。両手で引き抜くため、大型の重いアユの取り込みが楽だ。
九頭竜返しは片手で引き抜くときと逆手。利き手にもよるが、私の場合は右利きなので右手が上で左手がグリップ側。サオを絞るまでは同じで、サオを斜めにして引き抜き、掛かりアユとオトリを自分から遠く離して回し自分の上流に落とす。自分に向かって流れてくるから、オトリの少し上のイトをつかんでタモ入れする。
いきなり25cm以上の大アユで練習するより、数釣りのできる天然ソ上の多い河川で、小型~中型で練習した方がいい。抜きの形を体に染み込ませてからの方が、大アユでの九頭竜返しは成功すると思う。
寄せを覚えよう
大河川のへチや小中河川など、緩い流れに掛かりアユを寄せられる所では、寄せた方が確実に取り込める。基本は、やはり大アユは無理に抜かずに、まずは寄せて取り込めるように焦らず寄せること。
流れの緩い場所にサオで誘導する。水中イトをつかむと切れてしまう可能性があるので、オトリのハナカンの少し上をつかむようにする。タモを水中に入れ、掛かりアユを取り込む。
アドバイス
大アユに限らず、掛けバリの交換は大事。「まだいいか」「面倒くさい」はダメ。何も釣れなくても最低30分に1回はハリを交換しよう。オトリ交換の際もハリ先を確認。
オトリを触るときは手を冷やしてから触る。追い星のあるアユから釣れるので、白いアユが釣れたら移動の合図。元気なオトリで10分以上掛からないときは、他のポイントを探そう。
<週刊つりニュース中部版がまかつフィールドテスター渡邉敦/TSURINEWS編>