心を伝える「のし紙」。意外な魅力と使い方【77歳のマナー講師が解説】
50年以上の長きにわたり、多くの人々にマナーを教えてきたマナー講師の岩下宣子さん。その著書『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』(主婦の友社)は、岩井さんが講師をするなかで実感した、人生で本当に大切だと思ったマナーをまとめたものです。あたたかく、ときに厳しく綴られた77の項目には、マナーを超えた、より豊かな人生を送るためのヒントが満載! きっと、あなたの心に響くはずです。今回はこの本の中から、思い描く自分に近づき、明るく軽やかに生きるためのふるまい術をご紹介します。
※本記事は岩下宣子著の書籍『77歳の現役講師によるマナーの教科書 本当の幸せを手に入れるたったひとつのヒント』から一部抜粋・編集しました。
「のし紙は古くさい」って思っていませんか?
最近、贈り物に「のし紙」をつけましたか? 周囲の人に聞くと、のし紙よりリボン派が多いようです。リボンだってもちろん素敵ですが、のし紙のよさも忘れてほしくないなぁと思うのです。
のし紙がかけてあると、贈り物の目的がひと目でわかります。お祝い、お歳暮、お見舞い、御礼、お供えなど、のし紙にしっかり書かれていますからね。
のし紙には水引も印刷されています。蝶結びであれば「このようなよいことが何度も繰り返されますように」という願いが込められていますし、簡単にはほどけない結び切りは「一生に一度きりでありますように」というメッセージ。出産祝いには蝶結び、結婚祝いやお香典などには結び切りを使うのはそのためです。
「のし」そのものは、「のしあわび」が語源です。古来、贈り物にのして干したあわびをつけていました。栄養価が高く、日持ちすることから長生きの印として祝い事や普段の贈り物に用いられていたそうです。
のし紙ではなくリボンをつける場合には、贈り物の目的などを伝えるメッセージカードを添えるといいでしょう。
ところで、「外のし」と「内のし」の違いを知っていますか? 包装紙の上からのし紙をかけることを外のし、商品にのし紙をかけてから包装紙で包むことを内のしといいます。外のしであれば包装紙を開けなくても贈り物の意図が伝わりますし、高級デパートで購入した場合は包装紙まで贈り物として扱うことができます。ただし、持ち歩くうちにのし紙が破れるケースもあるので、心配なときには内のしにするといいでしょう。
『のし紙や水引もメッセージを伝えてくれる』。