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上越初の「DX認定事業者」が講演、地域での導入促進目指す Jマテ.カッパープロダクツ(新潟県上越市)

にいがた経済新聞

地域企業のための『DX(デジタルトランスフォーメーション)認定』説明会

5月13日、上越信用金庫はれまち支店で上越信用金庫主催「地域企業のための『DX(デジタルトランスフォーメーション)認定』説明会」が開催された。Jマテ.カッパープロダクツ株式会社(新潟県上越市)の山本耕治代表取締役が登壇し、上越地域におけるDXの現状と今後の展望について語った。当日は地元経営者ら約20人が参加した。

講演のテーマは「DX認定制度と中小企業における活用」で、Jマテ.カッパープロダクツが実際に認定取得までに取り組んだプロセスや課題、工数削減による成果などが具体的に紹介された。同社は新潟県内で5例目、上越地域では初めてDX認定を受けた企業である。

DX認定制度とは、経済産業省が定めたもので、DX推進のための体制や方針が整備され、継続的な取り組みが行われている企業を国が認定する制度である。認定を受けた企業には、信頼性の向上や補助金申請時の加点といったメリットがあり、全国的に申請件数が増加傾向にある。新潟県でも独自に支援制度を設けて取得を後押ししており、地域内での普及促進が期待されている。

Jマテ.カッパープロダクツ株式会社の山本耕治代表取締役

同社がDXに取り組む背景には、地域が抱える人口減少の課題がある。山本代表は「2050年には生産年齢人口が約3割減るとされており、今から備える必要がある」と述べ、社長就任を機にDX導入を決断したという。初年度には「1,000時間の工数削減」と「DX認定取得」の2つを目標に掲げ、実際にRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)などを活用し、約1,000時間の業務効率化を達成した。

一方で、社内では「何が自動化できるのか分からない」「ロボットに任せるのが不安」といった心理的な抵抗感も強かったという。そうした中、現場からの提案と経営陣の方針をすり合わせながら、段階的に導入を進めてきた。山本代表は「まずはやってみる、という姿勢が突破口になった」と振り返る。

DX認定の取得による効果も講演内で共有された。第一に、社内外に対してDX方針が明確化され、進むべき方向が見えたこと。次に、曖昧だった課題が言語化・可視化され、改善の対象として整理されたこと。また、認定を通じて企業知名度が向上し、地域との連携が強まった。さらに、他社からの視察も増加し、2024年には全国から52社が同社を見学に訪れている。

同社はDXの導入を単なるIT化ではなく、企業文化の変革と位置付け、経営と現場が一体となって取り組んでいる。地方の中小企業であっても、小さな成功体験を積み重ねることで、変革は可能であることを示す事例となった。

また、上越地域でのDX認定事業者をさらに増えるよう、できる範囲で支援していきたいという意向も示された。山本代表は「地方発のイノベーションを実現するには、産学官金の連携が不可欠だ」と語り、企業・大学・行政・金融機関による「チーム新潟」の一員として、地域課題の解決と価値創出に向けた連携を呼びかけた。

経営企画室副部長でDX推進リーダーの西本俊介氏

さらに、同社経営企画室副部長でDX推進リーダーの西本俊介氏も講演し、100~300名規模でのDXリーダーの人物像として、「戦略構想力や部門調整力、全体設計力が必要。部門横断でDXを構想・設計・推進するリーダーシップが求められる。いわば経営と現場、ITを橋渡しできる存在だ」とまとめた。

同社は今後、業務プロセスの改善にとどまらず、属人化の解消や人材育成にも力を入れ、「誰でもできる仕組みづくり」を推進していく考えだ。こうした取り組みは、DXを通じた地方活性化のモデルケースとして注目されている。

(文・撮影 梅川康輝)

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