これで【読書感想文】は完璧?〔小学生 高学年の部〕課題図書を全冊レビュー 「2025年青少年読書感想文全国コンクール」本選びのコツと読み方のヒント
文章力養成講座「カキマクル」のゆか先生による、本選びや読むときのヒントをまとめた「2025年青少年読書感想文全国コンクール」課題図書全冊レビュー「小学生高学年の部」4冊です。
「頭がいいから中学受験する」はもう古い! 「勉強が苦手な子」こそ輝く場所がある“新しい中受”とは文章力養成講座「カキマクル」で「親子インタビュー式読書感想文」の指導をしている、ゆか先生こと松嶋有香さん。文章指導歴30年の間に、たくさんの子どもたちの文章を読み、その成長を感じてきたゆか先生の指導方針は「子どもの意見を尊重する」こと。読書計画を立てたり、読む本を自分自身で選ぶところから、徹底して「子どもの選択」を第一にしています。
しかし、なかなか本を選べないというお子さんもいるでしょう。
そんなときに指針のひとつとなるのが「課題図書」です。
「課題図書は、『青少年読書感想部全国コンクール』の『課題図書』選定委員会が選書をしています。選ばれているのは良書ですし、選定理由を公式サイトで公開しているので、本のテーマがわかりやすいのが良い点」というゆか先生が、本のあらすじと読書感想文を書くときのポイントを紹介する、「2025年青少年読書感想文全国コンクール課題図書」「小学生高学年の部」4冊をお届けします!
だれにでも悩みがあることに気づくことができる一冊『ぼくの色、見つけた!』
『ぼくの色、見つけた!』作:志津栄子、絵:末山りん、講談社、1,650円
〈あらすじ〉
生まれつき色覚に障がいがある「ぼく」は、他のみんなと世界が同じように見えていない。でも、そのことを気にする母親、悪く言う友だちの気持ちに出会うまでは、それが普通で、そして問題はありませんでした。むしろ気にする人たちによって、問題が問題を生んでいきます。
でも、味方になってくれる先生に出会い、心は穏やかになり、そして、自分以外の人間にも悩みがあることに気づいていきます。
〈この本で読書感想文を書くときのポイント〉
今年の夏の読書感想文課題本リストには「色覚に障がいがある」登場人物が出てくる本が2冊あります。障がいを多様性の中に含めようとする社会的な動きのある中、誰もが困らない社会を作っていくことの大切さに気づく素敵な本です。
障がいがあるがゆえの独特の悩みを持つ信太朗。でも、それ以外の悩みは自分と同じかも!
自分にはあって、信太朗にはない悩みもあるかもしれません。またこの本には「ララ」という伏線が張られています。この本を読み進めながら、あなたの「ララ」を探してみませんか。
表紙の絵が伏線に! 『森に帰らなかったカラス』
『森に帰らなかったカラス』作:ジーン・ウィリス、訳:山﨑美紀、徳間書店、1,760円
〈あらすじ〉
舞台は1957年のイギリス。
11歳の少年ミックは、けがをしたニシコクマルガラスのひなを森で見つけ、ジャックと名付けて飼うことにしました。ミックの両親は駅の近くでパブを経営しているのですが、ジャックはそこの常連さんたちともだんだんと仲良くなっていきます。いつか森へ返さなくてはと思いながらも、ずっと飼い続けることになるのです。
さまざまな事件を巻き起こすジャック。そのたびに、皆がジャックをどんどん好きになっていきます。表紙の絵のシーンが登場したときは「このシーンだったのか!」と叫んでしまいますよ。裏表紙の謎の物体も。そして、この物語にはもう一人、英雄が登場します。
〈読書感想文を書くときのポイント〉
ミックは11歳。でも、今の日本の11歳とはかなり違う生活を送っています。
70年も前のイギリスでの話。戦争の影も色濃く残っています。でも、ミック、そして親友のケンの感情は、今の子どもたちと何ら変わらないのかもしれません。
けがをしたカラスのひな。自分だったらどうするか、時代の制約なしに考えてみるのも、楽しいかもしれません。
理想と現実の間で悩み成長する少年の姿を描いた『マナティーがいた夏』中高生にもおすすめ
『マナティーがいた夏』作:エヴァン・グリフィス、訳:多賀谷正子、ほるぷ出版、1,760円
〈あらすじ〉
大人と対等になりたい少年ピーター。11歳の夏休みは何もかもうまくいきません。
大親友は遠くに引っ越してしまうというし、入り江のマナティーもボートで大けがをしてしまう。おじいちゃんは認知症で、自分が様子を見ていないといけない。成長し、自分で何もかもできるようになると思えても、現実には、世界は自分ではどうすることもできないほど大きすぎる。
でも、ピーターはそんな世界の中に自分がいることを意識し始める。どの問題をどこまで解決できるのか、ピーターの成長を、じっくりゆっくり見守ってみてください。
〈読書感想文を書くときのポイント〉
さまざまな登場人物が自分のことに必死になりながらも、それぞれがお互いを思いやり、なんとか良いほう方に持っていこうとする姿は、私たちを取りまく社会の縮図です。
自分の世界を広げようとしている年代の、小学校高学年の子どもたちはもちろん、中高生にも響く物語。自分の力は小さいけれど、あきらめちゃいけないことがある。そんな視点で読んでみてくださいね。
動画もいっしょに楽しめるドキュメンタリー『とびたて!みんなのドラゴン:難病ALSの先生と日明小合唱部の冒険』
『とびたて!みんなのドラゴン:難病ALSの先生と日明小合唱部の冒険』絵と文:ビクター・ベルモント、訳:金原瑞人、河出書房新社、1,793円
〈あらすじ〉
手足やのど、舌の筋肉や、呼吸に必要な筋肉がだんだん痩せて力がなくなっていく。やがて全身の筋肉に力が入らなくなり、体を動かすことや自力で呼吸することが難しくなる……。そんな難病ALSと戦う竹永先生は日明小学校の合唱部の顧問。
人前で話すことが苦手なマナミが、合唱を通じて、また竹永先生はじめ、仲間との交流により、少しずつ変わっていく。全日本合唱コンクール全国大会に向けて、合唱部のみんなが少しずつ強くなっていく。それぞれが輝いた日々の物語。
〈読書感想文を書くときのポイント〉
このままじゃいけない気がする。そういう気持ちは子どもでも大人でもありますよね。かといって、映画やドラマのように、運命に劇的な変化を促すことなんて、そうそうありません。
でも、この本に登場するマナミの成長を通じ、たとえ同じ悩みではなくても、共に変わっていく、共に成長していくような感覚になります。
この合唱コンクールの様子は、動画サイトで見ることができます。本を読み終えたら、ぜひ見てみてください。
本選び、読書感想文のテーマ選びに役立つ情報がいっぱいでしたね! 本を選んだら、次は「読書感想文」の宿題を片付ける番。そこでおすすめするのが、ゆか先生が指導している『2週間7つのステップで「読書感想文」を完成させることができる、「親子インタビュー式読書感想文の書き方」』です。
実は、ゆか先生が指導する「親子インタビュー式読書感想文の書き方」には、単に宿題が終わるというだけではない、驚くべき2つの効果があります。その2つの効果の中身だけでも、知っておいて損はありません! 気になったら下のリンクをチェックしてみてください。