子猫の『成長に悪影響を与える要因』5つ 健康に育てるために避けるべき行動や環境
1.成長に合わないフードを与える
子猫の時期にカロリー不足や栄養素に偏りがあると、骨の発達や体重の増加に問題が出ることがあり、強いカラダづくりができません。子猫の健やかな成長には、発育のステージに合った食事が必要です。
子猫用のフードは、成猫用フードと比べると高栄養に設計され、急激な成長を支えられるようビタミンやミネラルの含有量も高めです。生後1年くらいまでは、しっかりと栄養を摂らせましょう。
離乳期をすぎると子猫はドンドン食欲旺盛になり、常に食べたがる子も出てきます。パッケージの給餌量を参考にして、月齢や体重に応じて適量を与えてください。
もし、空腹感が収まらない場合には、子猫用のウェットフードを上手に活用して満腹感を促すなどの工夫をしてあげましょう。
2.環境の温度管理を怠る
子猫の生活空間では、温度管理もとても重要になります。幼少期には、体温の調節機能が未熟で、寒暖差に上手に適応することができません。
室温が低すぎると体が冷え、免疫力が低下し、猫風邪や下痢など体調不良を起こしやすくなりますし、逆に室温が高すぎると脱水や熱中症のリスクが高まり、体力を奪われて成長に必要なエネルギーが不足してしまいます。
また、寒暖差が大きい環境も良くありません。昼と夜で室温が大きく変化したり、エアコンの風が直接当たったりすると、体調を崩しやすくなります。
子猫は室温25〜28℃くらいが適温です。人間にとって快適でも、子猫には寒すぎたり暑すぎたりすることがあるため、子猫の様子を観察しながら適切な温度を保つことが大切です。
3.病気や寄生虫予防を忘れる
病気や寄生虫への対策は、猫風邪のように鼻水や目やにといった目に見える症状がなければ、つい対策を忘れてしまうことがありますが、子猫のうちこそ重要です。
子猫の生後2〜3ヵ月は、母猫からもらった免疫(移行抗体)が切れる時期にあたり、このころに病気や寄生虫に感染すると、重篤な症状に発展することもあります。
特に、猫風邪の原因となるウイルスや、回虫、コクシジウムなどの寄生虫に感染すると、下痢や嘔吐、発育不良などの健康問題が引き起こされやすくなります。また、同居しているほかの猫への感染源にもなりかねません。
こうした大きな健康リスクを防ぐためにも、月齢に応じて血液検査や便検査を受け、駆虫処置とワクチン接種をしておきましょう。
4.猫の成長に必要な学びをさせない
ここでの猫の学びとは、「猫が猫らしく生きること」や「一緒に暮らす人との関わり合い」のことを指します。
子猫は、一般的に生後2ヵ月以降は徐々に母猫と離れますが、これには個体差があり、この段階で無理に引き離してしまうと、その後の甘え方や自立に問題が生じることがあります。また、兄弟猫との関わりが不足すると他者との付き合い方を学べず、自己表現がうまくできなくなり、孤立や問題行動を引き起こすことがあります。
お迎え後は、飼い主さんが毎日十分に遊んであげることで、子猫の情緒の安定や自己表現を促すことが可能です。子猫は遊びながら引っかいたり噛んだりしますが、これは猫が社会性を育むための行動なので、ケガ対策をしつつ根気よく付き合ってあげることが重要です。
5.誤ったしつけをする
子猫のうちに「なんでもアリ」の環境を与えてしまうと、あとから行動を正すことがとても難しくなります。人を噛む、食卓に上る、人間の食べ物を漁るなど、ダメなことはダメとキチンと教える必要があります。
一方、しつけと称して必要以上に怖がらせることも大問題です。そのときは怖くなってその場を離れますが、原因となった行動は、時間が経てばまたやってしまうでしょう。過度な恐怖は飼い主さんへの信頼が損なわれるだけで、まったく逆効果です。
適切なしつけは、長く一緒に暮らすために、とても重要です。「やってほしくないこと」は最初からできないように対策すること、「よくできたこと」はたくさんほめてあげることを心掛け、気持ちよく共生できるようにしましょう。
まとめ
子猫期は、これから飼い猫として生きていくための基盤を作る大切な時期です。子猫の健康的な成長には、良質なキャットフード以外にも気を付けたいことがあります。
適切な栄養はもちろんのこと、快適な環境と十分な社会化、そして病気の予防が欠かせません。これは猫の心と体を健康に成長させるために必要です。さらに適切なしつけも猫と飼い主との間での信頼を築き、単なるペットではなく「精神的に安定した家族」として暮らしていくために必要です。
猫もちいさな時は言うことを聞かない上に、やんちゃなことをするものですが、そんな時期だからこそ飼い主さんは愛情をたくさん注いで、心身ともに健康な成猫に育てていきましょう。
(獣医師監修:葛野宗)