子どもたちに釣りの魅力を伝授【愛知・小野浦海岸】投げ釣り教室開催でシロギスを好捕
10月6日、知多半島の小野浦海岸で子ども向けの投げ釣り教室が、秋の長雨の合間を縫って開催された。イベントには10家族・34人が参加し、JOFI愛知の指導員が初心者にも安全で簡単な投法を丁寧に指導。子どもたちは波打ち際で釣れるキスやメゴチを楽しみ、歓声を上げながら釣りの喜びを味わった。気候や潮の状態に左右されやすい秋の釣りだが、初心者にも挑戦しやすい季節といえる。
小野浦海岸で投げ釣り教室
気象観測史を塗り替える酷暑も、彼岸とともに秋の訪れが確かなものになってきた。秋への季節の移ろいには雨が多い。温かい南の気圧団と涼しい北の気圧団の接点の前線が列島上に停滞し、これが秋の長雨の原因だ。季節はひと雨ごとに秋を深めていく。
日本には梅雨が2度あると言われるが、この時期は台風接近も影響し、まるで梅雨のような長雨が続く。今回の釣行日の前も雨天が続いた。大量の雨水が海へ注ぐと一時的に海水の塩分濃度が低くなり、魚種によっては釣果に影響する。
そんな不安定な気候の10月6日、雨の間隙を縫って子どもたちの投げ釣り教室が知多半島の小野浦海岸で開催された。主催はこどもNPO、イベント名は「海釣り たんけん隊 魚のことを知ろう」。開催場所は美浜町小野浦海岸の海の家・日の出がベースになった。
まずは試し釣りから
参加は10家族、34人(子ども24人)。潮回りは旧暦9月4日中潮で、満潮7時42分、干潮13時27分(名古屋港)。投げ釣りには良い潮回りだった。
釣りを教えるのはJOFI愛知の指導員。宇野総一さん、小林浩さん、小松原忍さん、椎葉英雄さん、小池辰雄さん、葛西武志さん、私の7人。
釣り教室に先立ち、当日午前6時半から試し釣りをした。海はべたナギで風は弱く、投げ釣りには抜群の天候だ。釣れるポイントは10~30mと近い。小型のキスやメゴチなどが釣れた。この距離なら子どもも釣れると安心してサオを納めた。
釣り教室開始
午前9時すぎから参加家族がやってくる。始めに主催者からあいさつと趣旨説明、釣り講師の紹介をへて、参加者にタックル、仕掛け、エサのイシゴカイを渡す。9時半から砂浜に出て投げ釣り教室がスタートした。
ここで読者のみなさんと投げ釣りで用いられる投法をおさらいしよう。投げ方は各種あり、遠投競技で採用されている投法は次の5種がメイン。
オーバーヘッド、セイフティ、V字、回転、スイング。実釣ではオーバーヘッド、セイフティ、V字投法が安全でよく飛ぶとされる。
回転やスイングは釣り場では危険が伴うので禁止されている(キスの数釣り大会も同様)。初心者や子どもには、安全で真っすぐに飛ぶオーバーヘッド投法をお勧めする。
サオを振るのはテコの原理。リールシートが支点で、サオ尻を握る手が力点、サオ先が作用点だ。少ない力で大きな作用を得るには、左手でサオ尻を握るのがいい。初心者は中間部を握っている。
サオの振り方
次にサオの振り方。多くの人はサオを振り下ろすと思っているが、これでは遠投できない。正しくはサオは右上に突き上げる。サオを振り下ろすのは右手が回転運動をする。これではテコの原理に合わない。
右腕は右上空へ真っすぐに突き出すのが正しい。言い変えれば右腕は右上に直線運動をするのだ。この原理を理解できれば100mの壁はすぐに突破できる。
シロギスが釣れ始める
真っすぐに投げられるようになった子どもたちから「釣れた~」「サオがブルブルする」など歓声が上がる。この時期のキスは波打ち際に近い距離にいて初心者にも簡単に釣れる。型は13cm前後が主だった。キス以外にはキンセンガニやメゴチ、フグなどが釣れた。
キスの盛期は7~8月で、メスは2日一度のペースで産卵を繰り返すと言われる。9月中旬からは深場へ移動する季節で、「落ちギス」と呼ばれ伊勢湾では11月まで狙える。落ちのギスの特徴は群れが小さいこと。だから砂浜を歩き回り、その日のキスの着き場を探すことだ。秋のキスはとにかく歩いて釣ろう。
小学生が中心だったがほとんどの子どもが念願のキスを釣ることができた。ケガや事故もなく、名残を惜しみながら午後0時半にサオを納めた。
今後の展望
今年は夏が長かったせいかキスはまだしばらく釣れ続けるだろう。お勧めは小野浦や内海海岸の砂浜からの投げ釣り。潮はできるだけ大きい日(大潮か中潮)を選び、午前中が狙い目となる。エサは定番のイシゴカイ、チョイ投げのタックルでも十分狙える。
キスは濁りを嫌う。雨天が続いた後は釣りにくい。なかでも曇天の日がベスト、長い時間釣れ続けるだろう。みなさんの好釣果を期待する。
<週刊つりニュース中部版APC・JOFI愛知・大田豊明/TSURINEWS編>
この記事は『週刊つりニュース中部版』2024年11月1日号に掲載された記事を再編集したものになります。