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驚愕の価格も! ヴィンテージヘルメットの市場価値って? ジェットヘルメット編

Dig-it[ディグ・イット]

様々なヴィンテージシーンを深掘りしている本企画。今回はヴィンテージヘルメットの世界でも、ジェット、グラフィック系ヘルメットのシーンを覗いてみよう。モーターサイクルカルチャーの発展の目脇役ともいえるヘルメットは、ヴィンテージとしての市場価値がしっかりと根付いているのだ。

’70年代、テレビや映画のカラー化がヘルメットのデザインを発展させた!?

アメリカでバイクレースが花開く’60年代の初頭、それまでの半キャップ型に代わりレーサーたちに広まったのが耳までを覆った帽体が特徴になるジェットヘルメット。ただ、当時はあくまで “レース用保護部品”であり、一般のライダーが被るのは稀だった。

また、初期にはカラーが白しかないのはレースに合わせてペイントされることが前提だったため。ヴィンテージの世界では’60年代製で白以外の色付きだと一気にレア度が上がるのはこのためだ。

その後、’70年代に入るとより安全性の高いフルフェイスタイプが登場し、レース界ではフルフェイスが一般的となっていくが、ジェットヘルメットは様々なカラーリングやデザインを纏って一般にも広まっていった。

その大きな要因がテレビや映画のカラー化にあるという。象徴的なのが映画『イージーライダー』で主演のピーター・フォンダが着用していた通称「スター&ストライプ」だ。映画の大ヒットもあり、当時のアメリカには50社以上のヘルメットメーカーが存在し、様々なカラーやグラフィックのモデルが発売された。

ルーツを求めてシンプルなモノに行くのか、好みのデザインを求めてグラフィック系に行くのか。じつはヴィンテージバイクの市場高騰と同じくして、ヴィンテージヘルメットの相場も高値の花になりつつあるのが現状。

バイクとの相性も大切だが、旧いバイクを持っているなら、時代感を合わせたヴィンテージのヘルメットも持っていると気分が上がる。その昔ながらのシェイプや雰囲気にやられた人は、早めに手に入れておきたいヴィンテージのひとつといえる。

市場価格を知る!

ヘルメットは、消失してしまったブランドの名品を復刻させるリプロダクトも盛んで、リアルヴィンテージを求めるのは当時のスタイルを忠実に体感したいコアな人のみ。とはいえ、ヘルメットの中でジェットタイプは最もポピュラーで、人気ブランドの初期モデルで状態のいいモノは10万円以上の高値で取引されている。一方、グラフィック系は無名のブランドも多く、探せば掘り出し物に出会える可能性も高いといえる。

1トーンペイント系ジェットヘルメット編。

ストリート系バイカーのヘルメットといえばジェットヘルメットだろう。アメリカンブランドで有名なところだと、ベル、ブコ、マックホールが3大ブランドで、ほかにアーサーフルマー、スピードテック、日本のショウエイも北米に輸出していたブランドで、ヴィンテージでは人気のブランドになっている。

1960~’61 BELL 500-TX

ベル初にして、その美しいフォルムからジェットタイプの最高峰として常に市場で高値で取引される「500-TX」。製造は1957~1970年。こちらは1960~’61年に製造された3rdモデルの中期型。本体が美品なだけでなく、オリジナルのコンパーチブルシールド付きというお宝品。57㎝。内装リペア済み。53万9000円

1960年代 BELL MAGNUM

1961~’70年にかけてわずか1313個しか製造されなかったベルのマグナムのなかでも、ストラップがボタンとリングのダブルストラップになった1stモデル、かつ箱付きデッドストック。500-TXよりも圧倒的に個体数も少ないうえにこのミントコンディションはもはや奇跡。58㎝。内装リペア済み。25万3000円

1960年代 BUCO RESISTAL

ブコ初のヘルメットとなるレジスタル。1960~’62年製。シェルの外側に着くストラップや裾に向かって絞り込んだシェルが、ヴィンテージらしいシャープなシルエットを生む。欠損しがちな純正チンカップ、シールドもベルの1960年代製のモノが付属。復刻では物足りないコアなファン向け。59㎝。内装リペア済み。59万4000円

1960年代後半 BUCO RESISTAL GT

1966年から製造されたレジスタルGT。リムがリバーシブルリム、レザーのトップパッド、イヤーパッド、Wストラップなど60年代だけに見られるディテール満載。それでいて未使用品のデッドストックというプレミアム品。欠損しがちな純正チンカップもキレイな状態をキープ。61㎝。内装リペア済み。31万9000円

1970年代 ARTHUR FULMER AF40

メーカーが多数存在した1970年代でも、高級感ある銀色のメッキを施したリムで人気のアーサーフルマーのAF40。赤や青のメタルフレークは比較的見られるが緑はレア。シェルは56㎝と小さいが、頭のハチ部分が広いので日本人にも被りやすい。またサイズアップ加工(最大4㎝)も対応可。内装リペア済み。11万円

グラフィック系ジェットヘルメット編。

映画『イージーライダー』の大ヒットもあって、1970年前後からハーレー乗りを中心に人気を博したのがグラフィック系。ラメなどのカラーリングに星条旗、フレイムスや幾何学模様などをあしらったデザインが数多く見られた。

1970年代 SAFETECH RAINBOW GOLD

セーフテックのレインボー柄。1970年代製。ゴールドフレークベースにグラデーションで描かれるレインボー柄が両サイドに描かれたアーティスティックな一品。当時モノでもこれだけ贅沢な多色使いの柄はレア。セブンティーズの雰囲気を楽しみたい人にオススメ。58㎝。内装リペア済み。6万2700円

Unknown CAPTAIN AMERICA

映画『イージーライダー』のヒットによって各ブランドがこぞって手がけたのが星条旗デザイン。こちらは映画でピーター・フォンダ着用品と同じデザイン。1970年代特有の粒子の粗いメタルフレークもヴィンテージらしい。メーカーは不詳だが「MADE IN U.S.A.」のステッカーが残る。58㎝。内装リペア済み。5万2800円

1970年代 SHOEI D-3 STARS & STRIPES

1970年代のグラフィック系ヘルメットの定番星条旗デザイン。メーカーはなんと日本のショウエイ。ショウエイはこの時代、輸出専用で数多くのグラフィックモデルも手がけていた。現在も様々なメーカーが復刻する有名なデザインのオリジナル。カラーは’70年代を象徴する粒子の粗いラメ。58㎝。リペア済み。5万6100円

1970年代 SCORPION BLUE METALFLAKE

メーカーは不詳だが1970年代製と思われる逸品。サソリがモチーフに描かれたレアなデザイン。個性を主張するには最高。シェル(外側)と帽体(発泡スチロール)部分を一旦すべて解体し、緩衝材(スポンジ)、内張りの生地すべてを新品に交換した内装リペア済み。57㎝。6万9300円

1970年代 ARCTIC CAT GEOMETRIC

アークティックキャットというブランドの1970年代製のモデル。当時でも珍しいブラックカラーがベースで、紫と緑のラメに矢印があしらわれた独特のデザインが、1970年代らしい一品。1970年代カスタムはもちろん、シックな黒ベースに多くの色が入っているので、幅広いバイクに合う。59㎝。内装リペア済み。8万9100円

1970年代 MONARCH FLOWER RED

モナークというブランドの1970年代のヴィンテージ品。額にはモナークの純正デカールが綺麗に残っている美品。深みのあるワインレッドをベースに、シルバーとゴールドとブラックのライン、さらには両側頭部に写実的な花が描かれた、1970年代を象徴するサイケデリックな雰囲気。60㎝。内装リペア済み。5万8300円

1970年代 PRO-FIT PRO-500

グラフィック系では星条旗、幾何学系と並び人気のファイヤーフレイムス。プロフィットの1970年代製のプロ500がベース。1960~’70年代初期に見られる手の込んだ作りのレザーリムも見所。この時代でも珍しいシャンパンゴールドのベースに、グラデーションのフレームスが描かれる。56㎝。内装リペア済み。9万200円

※情報は取材当時のものです。

(出典/「Lightning 2024年10月号 Vol.366」)

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