【10/27(日)開催】保護者の居場所うさぎカフェの『秋祭り』~ 障がいのある子と親と市民が一緒に楽しめるお祭りに行ってみよう
障がいのある子とその親のなかには、子どもの特性によって外出する場を開拓できない人もいます。
私が以前勤めていた特別支援学校でも、余暇の過ごしかたや余暇を過ごす場所探しに苦労する家族を見てきました。
この秋、倉敷市で障がい児の保護者の支援をする認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷでは、「障がいのある子とその親を楽しませたい」という理念に共感する出展者を募って倉敷美観地区で『秋祭り』を開催します。
どのような『秋祭り』なのか、おすすめの楽しみかたや『秋祭り』に込められた願いを取材しました。
うさぎカフェとは
うさぎカフェは、障がい児の保護者を支援する認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷが主催するカフェ形式の相談所です。
対象は、障がい児・者や発達に不安のある子の保護者。うさぎカフェでは、スタッフや他のお客さんと話したり、置いてある本を読んだり、ランチやスイーツを楽しんだりできる場として、毎週火曜・木曜の午前10時~午後3時まで開催されています。
保護者の居場所うさぎカフェの『秋祭り』とは
保護者の居場所うさぎカフェの『秋祭り』(以下、『秋祭り』と記載)は、2024年10月27日(日)午前10時30分~午後4時まで、倉敷美観地区にある阿知まち広場で開催されます。主催は認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷです。
当日は、「障がいのある子とその親を楽しませたい」という共通の理念をもつ以下のような出展を予定しています。
・5つの飲食関係出展
・7つの物販およびワークショップリラクゼーション
・5つパフォーマンス
その他に、現在障がい者支援をしている団体だけでなく、障がい者支援にこれから関わってみたいという出展もあります。
詳細は、以下の画像を確認してください。
認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷ 担当者へのインタビュー
『秋祭り』開催の経緯や当日の楽しみかたについて、認定NPO法人ペアレント・サポートすてっぷ(以下、すてっぷ)理事長の安藤希代子(あんどう きよこ)さんにインタビューしました。
──保護者の居場所うさぎカフェとして『秋祭り』を開催することになった経緯を教えてください。
安藤(敬称略)──
この『秋祭り』のねらいは「障がいのある子とその親を楽しませること」です。なので、その思いに賛同してくれる人たちに出店を募って、『秋祭り』を開催することにしました。
この『秋祭り』の前身には、船穂ワイナリーや水島愛あいサロンを会場に5回ほど開催した「ハンドメイドマーケット」というイベントがあります。このイベントは、開催するごとに参加してくれる障がいのある子やその親の数がどんどん増えていきました。
「ハンドメイドマーケット」の当初の目的は、保護者支援の存在をいろいろな人に知ってもらうことでした。一方で、実際にイベントを開催してみると、障がいのある子やその家族が楽しんで帰っていく姿がたくさんあって。「障がいのある子を連れて遊びに行く場の乏しさ」を再認識しました。
そこで、「ハンドメイドマーケット」はハンドメイド好きが集うだけでなく、私たちが開催するイベントだから、障がいのある子やその保護者も来てくれる、外出の機会の提供にもなっていることに気づいたんです。
だから、イベントきっかけに周辺の観光もできる倉敷美観地区の阿知まち広場を会場に『秋祭り』を開催することにしました。
『秋祭り』と季節の名前を付けたので、これからも「秋になれば、保護者の居場所うさぎカフェの『秋祭り』」と連想してもらえる恒例のイベントにしたいです。
──当日は、どのような出展が予定されていますか。
安藤──
今実際に障がい者支援をしているかどうかに関係なく、障がいのある子どもとその親を楽しませたいという目的に賛同してくれる人へ、出展の立候補を募り決定しました。
実際に出展するのは17の出展者ですが、48もの出展者から立候補があったんですよ。うれしいですね。
どの出展者にお願いするかは私たちも大変悩みましたが、理事を含めたすてっぷのメンバーで投票して決めました。
今回落選してしまった出展者も、障がいのある子やその親の味方になってくれるであろう人たちなので、また別の機会にご縁があったら良いなと思います。
──『秋祭り』の目玉企画を教えてください。
安藤──
当日、午前と午後に一回ずつ「賞品争奪突然じゃんけん」を開催します。
勝負事やゲームも、障がいのある人と健常者が同じ土俵でたたかうとき、つい健常者が手加減してしまいがちですよね。でも、じゃんけんは単純な手加減のできない勝負なので、障がいのある人とない人が平等に、一緒になって賞品争奪を目指して本気で参加してほしいです。
阿知まち広場は、障がいのある人もない人も地元の人も観光客も行き交う場なので、このような機会に普段障がい者と関わることのない人にも、私たちのことを知ってもらえたらと思います。
──当日は、「ログイン倉敷」との連携企画も開催されると聞きました。
安藤──
そうなんです。当日、会場で配布されるチラシを持って「ログイン倉敷」でお買い物をすると割引になる企画を予定しています。
「ログイン倉敷」は、『秋祭り』会場の斜め向かいにあって、そのなかにある「つなぐ倉敷」では、定期的にすてっぷのハンドメイド事業であるhandmadeウサギが出店しています。12月初旬にも出店を予定しているので、この機会にぜひ足を運んで場所を知っておいていただきたいと思っていて。
これをきっかけに、ログイン倉敷も障がいのある子とその家族のお出かけ先の選択肢のひとつになるといいなと思うんです。
連携先が増えれば増えるほど、親子の外出先の選択肢が広がる。それは、障がい児の親子を取り巻く関係人口の増加に繋がると思うのです。
──「関係人口を増やす」というのは、『秋祭り』の開催地選定の際にも意識されていましたか。
安藤──
そうですね。
福祉事業所や障がい者支援を謳(うた)う施設が主催するマルシェはその施設の敷地内で開催されることも多く、観光客や地元の人が来ることはほとんどありません。このようなマルシェは障がいに理解のある人ばかりが集まる良さがありますが、私たちはずっと公共の場でマルシェをすることにこだわってきました。
それは、障がいのある子やその親の外出の選択肢を増やしたいという思いもありますし、障がい者支援とは無関係の人に知ってもらう機会を作りたい、つまり関係人口を増やしたいと思っているからです。
実は私たちも、最初は障がい者支援に無関係の人と関わろうとしていない時期もありました。障がいのある子やその親を守りたいという思いが強かったからです。
でもしだいに、私たちのことを知る人が増えることは、協力者が増えることなんだと気づいて。
私たち運営する側が「いろいろな人に知ってもらいたい」という気持ちをもてるようになったことで、地元のかたや観光客もふらっと『秋祭り』に足を運んで、「障がいのある人と関わったことのある人」になってもらえたら良いなと思うようになりました。
また、阿知まち広場は倉敷美観地区に近いので、障がいのある子やその親が『秋祭り』に行けたという成功体験をもって、倉敷美観地区を散策することもあり得ます。障がいのある子やその家族も、お買い物や食べることが好きなんです。
だから、倉敷美観地区のような観光地の人たちにも「障がい者も消費者であること」を知ってもらい「障がいのある人も観光や飲食に来やすい街」について考えてもらうきっかけにもなればうれしいですね。
──参加者に、どのようなことを感じてもらいたいですか。
安藤──
障がいのある子とその親には、外出の場として楽しんでもらいたいです。
出展者や一般の参加者の皆さんには、当日を心から楽しんでもらえればそれで充分です。そのときにチラッと「近所のあの親子、このイベントに誘ってみたいな」「親戚のあの子も、このイベントなら楽しんでくれそうだな」と、周りにいる支援の必要な子やその親を思い出してくれたらうれしいですね。
──最後に、読者へメッセージをお願いします。
安藤──
私たち企画者側としては、うさぎカフェの利用者さんの顔を思い浮かべて「こうしたい」と思いがあふれますが、当日は小難しいことは考えず、純粋に気候の良い秋の日を私たちが企画した『秋祭り』で楽しんでもらいたい、障がいの有無にかかわらず。そう思っています。
みなさんの来場を、心よりお待ちしております。
おわりに
私自身も聴覚障がいのある当事者なので、障がいのある人やその支援者だけの世界では生きていけないことを身にしみて感じています。この倉敷とことこでの情報発信も、「障がいのある当事者やその支援者も倉敷で暮らす市民の一人」として取り上げたいと思い、積極的に障がいのある当事者やその支援者の活動にスポットを当てるようにしています。
まさに、安藤さんの言う「関係人口を増やしたい」と同じ気持ちです。
私はWebを通じた情報発信という形で関係人口づくりを、すてっぷは『秋祭り』で関係人口づくりを。それぞれがともに力を合わせて障がいのある当事者やその支援者が少しでも暮らしやすい街にしていきたい、といった話題でも取材時は盛り上がりました。
10月27日(日)は選挙に出かけるついでに、障がいのある子やその親を楽しませたい出店者であふれる阿知まち広場で、マルシェを楽しみ本気の突然じゃんけんで盛り上がる一日を過ごしてみませんか。