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2ndシングル「ちいさな蕾」から読み解く!“岬なこ”のこれまでとこれから――

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岬なこ

2024年7月24日(水)に岬なこ2枚目のシングルとなる「ちいさな蕾」がリリースされる。本作はTVアニメ『魔導具師ダリヤはうつむかない』のオープニングテーマを担当している他、カップリングの「銀のシュプール」「もしもし.com」ともに全く異なったサウンドに初挑戦した意欲的な1枚となっている。一見するとバラバラの方向性に見える3曲なのだが、インタビューを通してその本質を紐解いていくと一本筋の通った、芯の太いシングルであることが見えてきた。アーティストデビューから1年が経過した今の心境も赤裸々に語ってもらった。

■「これまでの楽曲をより進化させた曲を歌いたい」

――昨年の”なこの日(7月5日)”に『day to YOU』でアーティストデビューをされてから、ちょうど1年のタイミングですので、今回のシングルのお話を伺う前に、まずはこの1年間についてお聞きしたいです。

とっても濃密でしたね、もうカルピスの原液くらい(笑)。「え、もう1年経ったの?」と自分でも疑いたくなってしまうくらい、あっという間な1年だったのですが、その分いろいろな経験をさせて頂いて、1人のアーティストとして少しは堂々とステージに立てるようになったかなって自信が持てるくらい、充分な期間だったと思うので、ちょっとは大きくなれたかな?(笑)

――1年間、活動をしてみた中で「こんなアーティストになりたい」とか「こんな曲歌ってみたい」みたいなイメージが見えてきましたか?

アーティストとしては、当初から掲げている目標ではあるのですが、どんな人の日常にも溶け込めるような、そんな楽曲を届けられるアーティストになりたいなと思っています。落ち込んでる時とか、ちょっと自分に気合いを入れたいなっていう時に聞いてくださるのも、もちろん嬉しいですし、そういう楽曲も歌いたいですけど、一方で何気ない時にふと聞きたくなるとか、自然と皆さんの日常に溶け込める人になりたいなっていう気持ちが変わらずあります。
楽曲についてですが、デビューアルバムの時点で、割と幅広い楽曲を歌わせて頂いたので、『day to YOU』だけでも色んな私を見てもらえたのかなと思うんですけど、もうちょっとだけ振り切ってみてもいいのかな?って思いました。やっぱり、初めましてのアルバムですし、そこで例えばいきなりヘビメタみたいな楽曲が入ってても多分びっくりだと思うので(笑)。でも、今回の2ndシングルでは“ゆるラップ”みたいなのにも挑戦しましたけど、もう少し勢いのある、もう全編ラップに挑戦するぐらいの勢いで、今までリリースしてきた楽曲の進化系みたいな楽曲を歌ってみたいなと思ってます。

岬なこ 2ndシングル「ちいさな蕾」初回限定盤

■「私、楽曲の落ちサビ大好きマンです!」

――ありがとうございます。では今回のシングル「ちいさな蕾」について伺いたいのですが、ズバリどんな1枚に仕上がったのでしょう?

1stシングルの時も思いましたけど「こんなにも色の違う楽曲が1枚に揃ってるのか」って、自分でもびっくりしてしまうくらいに表情豊かな1枚に仕上がっていますよね。表題曲の「ちいさな蕾」は爽やかな楽曲で、2曲目に収録されている「銀のシュプール」に関しては、私も初挑戦の、少し大人びた楽曲になっていて、3曲目の「もしもし.com」は、王道の“可愛い”を追求した楽曲になっていて、「ちいさな蕾」が表題にはなってますけど、残りの2曲をカップリングにしておくにはもったいないくらい、全部がちゃんと主張できるような素敵なシングルに仕上がってます。

――今回「ちいさな蕾」は TVアニメ『魔導具師ダリヤはうつむかない』のオープニングテーマですが、タイアップ楽曲を歌う時に心がけている事はありますか?

その作品の登場人物のみんなに私が寄り添えるような、そして見てくださってる皆さんにもアニメと一緒に楽しんでもらえるような楽曲を歌えたらいいなと思っています。前作の「スイートサイン」は、『君のことが大大大大大好きな100人の彼女』のEDテーマを担当しまして、恋愛要素が強めの作品だったのですが、今回の『魔導具​師ダリヤはうつむかない』が、恋愛というよりも、1人の人間として、主人公のダリヤという女の子が自立して、自分の足で前に進んでいくという物語なんです。自分自身にも「ここ似てるな」って当てはまる部分もありつつ、でもやっぱり1人の女性としてすごくカッコよくて、どちらかといえば憧れと言いますか、「そんなダリヤに私もちょっと近づきたいな」という思いを込めて歌ったのは今回が初めてでしたね。

――ご自身で振り返ってみて、楽曲のお気に入りのフレーズやポイントがあれば、お聞かせください。

私は楽曲の落ちサビ大好きマンなんですよ(笑)。

――メチャクチャ分かります(笑)。

今からもう一度盛り上がりますよ、もう一度世界が広がりますよっていうのが、本当に大好きで。ただ『魔導具師ダリヤはうつむかない』という作品を知っている方が初めてこの曲を聴いた時に、ちゃんとダリヤという女の子が浮かんでくる楽曲になっているとも思っていて、歌詞にもありますけど、どれも偽りのない言葉が並んでいて、ダリヤもすごく真っすぐな女の子ですし、私としてもそういう思いを裏切りたくなかったからこそ、特に落ちサビの部分はすごい思いが込めやすかったです。


■「私の感覚としては”歌ってない”」

――そもそもの話になってしまうのですが、岬さんは普段のレコーディングにはどのようなスタンスで臨まれるのでしょう?やっぱり楽曲の主人公に入り込んで……っていう感じなのでしょうか?

基本的にはそうですね。ただ、私の感覚としては歌っていなくて、基本的には歌詞を話しかけるように歌うとか、朗読するように……っていうイメージの方が歌いやすくて。

――非常に興味深いです。

だからマイク前に立って「歌うぜ!」ってなったら、もうびっくりするぐらい緊張しちゃうんですね(笑)。なので多分、レコーディングとか歌に対しての向き合い方は、私はきっと歌わない方がやりやすいんだって思っているので、それは全曲共通ですね。

――それでは「ちいさな蕾」も、落ちサビに向かって気持ちが入っていくような感じのレコーディングだったんでしょうか?

そうですね。でも、レコーディングも大きくつまずいたりが全然なくて……って私が思ってるだけかもしれないですけど(苦笑)。私は歌をレコーディングしたり、歌う時って「なんかここ全然うまくいかないな」とか、1回つまずいたらずっとその壁と戦い続けるタイプなんですけど、この曲に関しては、アニメ作品の良さが詰め込まれた楽曲っていうのも、もちろんありますし、かつ私が歌いやすいメロディーラインであったりとか、感情を落とし込みやすい歌詞とか全部詰まっていたので、全然何の壁もなかったです。ただ、シンプルに歌えてしまうからこそ、薄っぺらくなっちゃったらきっとダメなので、シンプルすぎてもいけないなっていうのは、ちょっと気をつけましたね。

――いろいろなアーティストの方にインタビューをしていると、自分の歌った歌にオープニングやエンディングの映像がついたの見て、そこでようやく「私、アニソン歌ってる!」とすごく実感するっていう方は多いんですけど、岬さんはいかがでしたか?

(インタビュー当時)オープニングの映像は拝見したんですけど、この映像付きの話でいうと、公式で公開されているティザー映像のお話をしたくて。こちらの映像ではサビ部分だけが使われてたのですが、そのサビの入り方が完璧で!「ちいさな蕾」への印象の中に「風が吹いてるだろうな」と思うフレーズがあったので、映像の中でもちゃんと生い茂った葉っぱたちが、こう、ふわって風に揺れるようなアニメーションがあったりして、ちゃんと映像やキャラクターたちと(この曲が)リンクできてるのかもしれないって思えて、それがすごく印象深くて今でも覚えています。

岬なこ

■「なこちゃん、大人っぽい!って思ってもらえたら(笑)」

――それでは「銀のシュプール」について、先ほど“少し大人びた”という話もありましたが、この曲の岬さんの第一印象としてはどんな感じだったのでしょう?

こちらの楽曲は、もう静かにガッツポーズ(笑)。

一同:(爆笑)

元々、デビューアルバムの中に「Dancing! Singing! Feeling!」という盛り上がるダンサブルな楽曲が1曲入っているのですが、私、小さい頃からずっとダンスを踊っていて、大好きで、自分の武器のひとつでもあるダンスを表現できるような曲が歌えたらいいなって思って、色々とお願いをさせていただき、そしたら返ってきたのがこの曲でした。私の勝手なイメージでは、オシャレなクラブでみんなが縦乗り!ぐらいの勢いで、「Dancing! Singing! Feeling!」より盛り上がる曲が来るのかな?思ってたら、むしろ真逆の方向にダンサブルで、「なんかちょっと背伸びなんかしちゃおうかしら」って思わされちゃいました。

――この曲のアピールポイントはいかがでしょうか?

とりあえず1回、曲をツルっと聞いていただいて。最後に「なこちゃん大人っぽ~い」って思ってもらえたら、私はもうそれだけで十分です(笑)。でもワンフレーズごとに、歌い出しの息の込め方とか、言葉のしまい方とか、今までだったら、ただこの言葉を届けようっていう思いで、がむしゃらに歌った曲が多かったですけど、特に丁寧に歌った楽曲が「銀のシュプール」ですね。どうやったらこう、大人な雰囲気が出せるのかな?って、模索しながらレコーディング当日も歌わせていただきました。

――岬さんはこの「銀のシュプール」の世界観をどのように紐解いていったのでしょうか?

「銀のシュプール」は、実は「ちいさな蕾」とちょっとだけアプローチの仕方が似ていて、両方とも私の憧れとする“強い女性”のイメージが割とあったんです。仮に「ちいさな蕾」が、朝とかお昼とか、明るい時間帯の楽曲だとしたら、「銀のシュプール」はちょっと陽が落ちて、夜のイメージ。歌詞の中にも“青いドレス”とか“ガラスの靴”とか、シンデレラを彷彿とさせるような歌詞になっていて、シンデレラって、王子様に靴を拾ってもらって、最終的に結ばれてハッピーエンドでしたけど、もしあの時、靴を拾ってもらうことなく、自分の足で、自分の意志で前に進み続けたら、きっと「銀のシュプール」の中の女性みたいな、何にも惑わされない、どこに向かってるか分からないけど、ちゃんと自分の意思で前に進んでいきたいっていう、かっこいい女性になったんじゃないかなと思っていて、時間帯は違えと根本にあるのは、同じくかっこいい女性なんです。

岬なこ 2ndシングル「ちいさな蕾」通常盤

■「岬なこの“理想像”が詰まった1枚」

――今のお話を聞いてすごく合点がいきました。では続いて3曲目の「もしもし.com」についても伺いたいのですが、この曲は逆に“岬なこ”に寄り添った曲であると同時に、ラジオがテーマの楽曲かと思うのですが、この曲はレコーディング時は、どんなこと考えながら収録されたのでしょうか?

レコーディングの時は、今までで1番何も考えていませんでした(笑)。多分この曲こそ“歌を歌わない”っていうスタンスの私にすごくフィットした楽曲で、私は、音泉さんで『岬なこのそんなこんなこラジオ』という1人喋りの番組をやっているんですけど、ラジオを聞いてくださってる皆さんに話しかけるような、本当にもう何も取り繕わないトーンで歌うことができましたし、声を張っちゃいけないなって、レコーディングの時にスタッフさんとも話してたんですけど。めっちゃ元気いっぱい!とか、めっちゃ可愛く!とか変に意識するよりは、ただ目の前ないし隣にいる誰かに何気なく話しかけるくらいのトーンの方が、スッと入ってくるんじゃないかなと思ったので。でも、録り終えて実際に聞いてみると、思った以上に眠たくなるくらい優しく仕上がりました(笑)。

――それこそ、どちらかというとラジオのレコーディングブースに入っている感覚ですか?

ですね!立ってラジオを録ってるくらいの感じで(笑)。

――『岬なこのそんなこんなこラジオ』も、放送開始からちょうど1年という事で、先ほどは“アーティスト岬なこ”を振り返って頂きましたけど、“パーソナリティ岬なこ”を振り返ってみていかがでしょう?少し意地悪な質問かもしれませんが、「もしもし.com」の中の「ふつおたも恋バナもおてのもの」という歌詞がどうしても気になりまして……(笑)。

いやいや、全然お手の物じゃないです!(笑)。実際にラジオを1人でやります、となった時に、お話するのは好きだけど、それで1つの番組を成立させるとなると「私は一体何をしたいんだろう?」とすごく悩みまして。恋バナについては、私のラジオでは基本的にそういうコーナーもないので、そんなに触れる事はないのですが、「ふつおた」に関しては、本当に今でもそうですけど、皆さんのお便りに助けられて番組が成立してます!でも、ラジオも1年経ったというのもありますし、自発的に何か私からお話していけるような成長を見せないと、皆さんに飽きられちゃう!(笑)。最近はそれもちょっと悩み始めてますね。だから「もしもし.com」も少し先の「こうなったらいいな~」という私を歌っていますね。

――なるほど、そういう意味では、岬なこの理想像が詰まった1枚ともいえる。

歌詞の中で「そんなこともこんなことも」とか、ちょいちょい“なこ”って言葉が入ってたり、何か作詞して頂いた辻さんに全部見透かされているような気がしていて(笑)。それでいて可愛いもたくさん盛り込んで頂いて……一度、話を聞きにいきたいです。

――それこそラジオにゲストとしてお越し頂いて、根掘り葉掘りインタビューとかいかがですか?きっとファンの皆さんも喜ぶと思いますよ!

ぜひやりたいです!お待ちしてます~(笑)。

■「寝ちゃっても大丈夫です!(笑)」

――9月21日(土)には千葉県松戸市森のホール21大ホールにて、アコースティックライブも控えています。ぜひ意気込みなどをお願いします!

アコースティックライブってイメージからすると、ずっと座って、ただ歌に耳を傾けるっていう時間が続くと思うんですよ。だから、もしかしたら中にはスヤスヤしちゃう方もいらっしゃると思うんです。でも私としては、全然、寝てくださってもいいよ~くらいのスタンスでいて。

――それはそれで心地良さそうです(笑)

その“寝る”にたどり着いた過程が「聞き飽きた」とかではなく、居心地が良いからっていう道のりをたどってくださるのであれば「そのくらい皆さんに溶け込めたんだ」って嬉しいので……いびきさえかかなければ、寝てもらって大丈夫です(笑)。でも、寝ちゃったら、あの一瞬もったいなかったよって思ってもらえるくらい、全ての曲の進化した姿をお見せできるかとは思います。私もまだ実際に1曲1曲がどのような変化を遂げるのかっていうのはまだ結構未知なところがありますし、皆さんと同じくらいか、それ以上に楽しみにしてます。

――個人的には「このタイミングでアコースティックライブやるんだ!」という驚きがあって。リリースの度にまた新たな方向性の楽曲を披露してくれるというのも相まって、岬さんのアーティスト活動からは目が離せないんですよね。

そうですよね!私もビックリですよ(笑)。でもアコースティックライブはLiella!で一度、まだ一期生が5人の時に経験させて頂いて、その時のことをもう鮮明に思い出せるくらい楽しかったのを覚えていますし、多分わたしの声質的にも合ってると思うんです。……こういうことあまり自分で言わないですよね(笑)。でも、すごい声を張るタイプではないってことは自分でも分かりますし、ストリングスともマッチするような声をしてる気がします……というか、そうであってほしい!(笑)。

――岬さん自身もドキドキワクワクかと思いますが、皆さんも当日まで楽しみにして頂ければ!って感じですかね。最後に改めてになりますが、読者の皆さまへひと言メッセージを頂ければと思います!

アーティストデビューから1年経ち、少しばかり大きくなれたかなと思っていますが、でもそれもひとえに応援してくださっていたりとか、私という存在に出会ってくださった皆さんがいないと、自信を持ってステージに立つことや、歌うことはできていなかったと思うので、すごく感謝の気持ちでいっぱいです。ここから私がどういう風に歩んでいくのかとか、TVアニメ「魔導具師ダリヤはうつむかない」の主人公のダリヤもそうですけど、自分の意思でこうしたいとか、こういうのに挑戦してみたいと、新しい景色を見たいって思わせてくださるのも、やっぱり見守ってくださってる皆さんがいてこそなので……でもあれだな、見守ってるって言い方だと、見てるだけみたいになっちゃいますかね?(苦笑)たまたまこれを読んだって方もいらっしゃるかもしれないですけど、自分でもビックリするぐらい私ってネガティブな人間なんですよ。何もかもうまくいくことばっかりじゃないっていう人生だからこそ、楽しいって思える瞬間を皆さんと一緒に共有したいなっていう思いが強いので、1番近いので言うと、アコースティックライブですね。少しでも興味が湧いたら、ぜひ会場に足を運んでくださると嬉しいです!

――また、新たな“岬なこ”の一面が見られる……かもしれない!ライブという事で!

ええ、きっと。そうでしょう……そうであれ!(笑)。お待ちしてます~。

インタビュー・文:前田勇介

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