平和願う音色響かす 上越市で市民らによる「被爆ピアノ」演奏会
80年前の広島への原爆投下で焼け残った「被爆ピアノ」の演奏会が2025年7月20日、新潟県上越市中央1の直江津学びの交流館で開かれた。公募による市民ら20人が、思い思いの選曲で、平和を願い音を奏でた。
《画像:平和の願いを込めて被爆ピアノを奏でる子ども》
演奏会は市が戦後80年と非核平和友好都市宣言30年の節目に合わせ実施した。被爆ピアノを修復・管理し、全国を巡回している被爆2世で広島市の調律師、矢川光則さん(73)の協力で、前日の19日には、ピアニストらによる「平和祈念コンサート」も行われた。
この日のピアノは1938年に製造され、爆心地から約3kmの民家で被爆したアップライトピアノで、側面には爆風で飛散したガラス片が突き刺さった傷が残る。矢川さんは全国巡回の活動やピアノについて紹介し、「演奏会が平和の尊さを考えるきっかけになれば」とあいさつした。
《画像:アップライトピアノを紹介する矢川さん》
参加者は「アンパンマンのマーチ」や「メリークリスマス・ミスターローレンス」「さとうきび畑」など、それぞれが平和や愛、希望などの思いを込めて選んだ曲を1人1、2曲披露。観客100人以上が集まる会場に優しい音色を響かせた。
《画像:観客を前に思い思いの曲を演奏した》
初めて被爆ピアノに触れたという市立大瀁小3年の女児(9)は「お誕生日のマーチ」を演奏。「皆のお誕生をお祝いしたかった。初めて聞く音だったけど、温かくていい音だった」と話していた。