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<サイテー卒園式、やり直し!>感動から急降下!?ヘタな伴奏で子どもの歌が台無し!【まんが】

ママスタセレクト

写真:ママスタセレクト

私(ユリ)は夫のヨウタと息子のトモキの3人家族です。共働きのため、息子は1歳になる少し前から保育園でお世話になっています。そんな息子も、春から小学1年生! 赤ちゃんの頃から通った保育園を卒園する年齢にまで成長しました。ピカピカのランドセルや学習机、新しい文房具に胸を躍らせ、1年生になる日を心待ちにしています。もうすぐ保育園の卒園式。親が仕事のため保育園には3月末まで通うのですが、3月の中旬に卒園式があります。息子によると、園では卒園式でうたう歌の練習などをしているようです。息子の晴れ舞台、私はとても楽しみにしていました。

私は一抹の不安を覚えましたが、息子はご機嫌で歌の練習をしていたので「大丈夫」と思うようにしていました。そうして待ちに待った卒園式当日。子どもたちの立派な姿に、冒頭から涙が溢れてきました。あんなに小さかった息子が、こんなに大きくなって……。保育園でのいろいろな想い出が頭の中をめぐります。

園長先生のお話に、保護者席からも鼻をすする音が聞こえてきました。そして、いよいよ楽しみにしていた子どもたちの歌がはじまりました。

子どもたちの歌の途中で、ピアノの音が外れた気がしました。最初は気のせいかと思いましたが、なんと! 伴奏のレナ先生がピアノを間違えまくっていたのです。

先生がピアノを間違える度に子どもたちの顔色が一瞬変わり、歌のリズムも途切れてぎこちない合唱になってしまいました。何とか最後まで歌は終わったのですが……。もうめちゃくちゃ! 周りを見ると保護者席もざわついていました。

あれだけ楽しみにしていた卒園式。園長先生の言葉や、子どもたちの立派な姿に目頭が熱くなったのも束の間、レナ先生のピアノがすべて台無しにしてくれました。プロならどうしてもっと練習しなかったんだろう。そもそもこんな下手な人を卒園式の伴奏者に選ぶこと自体がおかしい。園への不信感が募ります。私は息子の保育園生活を汚されたような気がして、悲しくてたまりませんでした。きっと他の保護者も同じように思っていることでしょう。最初で最後の卒園をめちゃくちゃにした先生に謝罪をしてほしい。そう思う私はおかしいでしょうか。

ヘタクソな伴奏にイラッ!プロなら死ぬ気で練習してよ

謝恩会では、私を含め暗い顔をしている保護者ももちろんいました。家に帰る途中、のんきに笑う夫と息子とは反対に、私はずっとイライラしながら無言で歩いていました。帰宅してからも、私の怒りは収まることはありませんでした。

息子がその場からいなくなったことを確認してから、私は夫に話をします。レナ先生の伴奏で息子の一生に一度の卒園式が台無しになったのに、夫は大袈裟だと笑っています。

夫に話しても全然通じませんでした。こうなったら……そう思って、私は勇気を出してクラスLINEにメッセージを送ってみることにしました。するとすぐにレスがつきます。

私と同じ気持ちの人は他にもいたのです。いつもなら園の行事はハナ先生がピアノを弾くはずですが、どうやらハナ先生は手を怪我してしまったそうです。でも、卒園式を控えた大事な時期に怪我をするなんて、あまりにもプロ意識に欠けています!

その後の謝恩会でも私の怒りは収まりませんでした。世間話をしている保護者もいましたが、皆きっと心の中では同じ気持ちでしょう。レナ先生がミスをしたことも許せないし、ミスをしないようにするための努力を怠ったことにも腹を立てています。園児たちのすべてが詰まった卒園式を背負う覚悟が、レナ先生にどれほどあったのでしょうか。今までお世話になった園だったけれど、最後の最後に先生たちのプロ意識の低さが露呈してしまって、残念な気持ちしか残りませんでした。年長クラスLINEでも、やはり私と同じような考えの保護者がいました。皆が同じ気持ちなのであれば、卒園式のやり直しを求めた方が一番平和でいいような気がします。

ママ友3人で園に直談判「卒園式を返してください!」

LINEでやり取りをした私たち3人は保護者を代表して、園に直談判をしに行きました。話し合いには園長先生とミサ先生とピアノを弾いたレナ先生が同席しました。私たちは、子どもたちの一生に一度の晴れ舞台を背負う覚悟がレナ先生にあったのかを問い、詰め寄りました。

園長先生は、本来ピアノ担当だった先生がケガをしてしまったと弁解していましたが、この時期にケガをすること自体がありえないことです。

アンナちゃんママとゴウくんママも不満をぶつけます。ゴウくんママの言うとおり、こんなことになるなら音源を用意して流した方がよっぽどマシでした。当の本人のレナ先生はひたすら泣いてばかりです。園長先生は、レナ先生が時間のない中で仕事終わりに毎日練習をしていたとか、「卒園の伴奏者」という責任を果たそうと努力していたとか、レナ先生をかばって懸命に言い訳をしてきました。

園長先生の謝罪は、なんとも言い訳がましいものでした。努力だけが評価されるのは、学生時代までです。大人になり、仕事としてお金を貰っているのであれば「頑張っていたから大目に見て」は通じません。レナ先生も涙を流すくらいなら、はじめから死ぬ気で練習してほしかった……。まぁそこまでは言いませんでしたが、心の中は怒りでいっぱいでした。譲歩案として求めた、卒園式のやり直し。保育の時間中に園のホールを借りて、子どもたちには当日と同じ服を持ってきてもらいます。まぁ飾りまで本番と同じようにとは言いませんが、今度は子どもたちの歌を完璧な状態で撮影したいと思っています!

え、やり直さなくていいってナゼ?理解できない……!

園長先生は必死に断ろうとしていましたが、私たちが提案を取り下げることはありませんでした。話し合いの末、翌週の平日保育の時間帯に園のホールで卒園式のやり直しが行われることになったのです。アンナちゃんママはピアノ伴奏を、ゴウくんママは動画撮影を担当してくれることになりました。

私は連絡担当となり、保護者へ卒園式と同じ服を持ってきてもらうことを連絡することになりました。

ファミレスでの会議は役割も決まり無事に終わりました。そうして私たちは、翌週の卒園式のやり直しに向けて準備を整えていました。

早速、私は保護者グループに案内のLINEを送信してから夕飯の準備に取り掛かりました。するとすぐにLINEが届く音がします。見てみると、保育園の他の保護者からの返信でした。園との協議や卒園式のやり直しの案内をした私たちへのお礼でしょうか……?

さすがに卒園式全部のやり直しとはいかなくても、せめてあの大失敗をした歌だけでもやり直しがしたい。そう思っていました。幸いアンナちゃんママがピアノを得意としていることが分かり、レナ先生の代わりにピアノを弾いてくれるとのことでホッとしました。あとは他の保護者にこの件を伝え、当日衣装を持ってきてもらうように伝達しなければ……。そう思って全体にLINEしたのですが、皆さんの返事はまさかの「ウチはやり直さなくていい」というもの。私の頭の中には「なんで?」の言葉しか思い浮かびませんでした。

価値観の違い?「失敗」を受け入れることはできない!

翌日、私は子どもを保育園に送った後に、ケイくんママを見つけたので話を聞きました。ケイくんママは、卒園式のやり直しを求める私の考えは否定しないと言った上で、帰宅後にケイくんママがケイくんに話した内容を教えてくれました。先生でも緊張するし失敗もすること、毎日お世話をしてくれる中で一生懸命練習してくれた先生に感謝しなければならないことをケイくんに伝え、納得していたそうです。

子どもの一生に一度の卒園式を台無しにされたのに、どうしてケイくんママはそんなに寛大に受け止められるのか、私にはさっぱりわかりませんでした。

昨日、卒園式のやり直しの案内をした時に、「誰のための卒園式ですか?」という返信をしてきた保護者がいました。そのことをケイくんママから指摘されましたが、誰のためって、そんなこと答えるまでもなく子どもたちや育ててきた親みんなのためですよね?

正直、卒園式が終わったときの私は、怒りの感情しかありませんでした。ケイくんママみたいに、先生の失敗を受け入れて子どもに声掛けをするなんて発想すらありませんでした。誰のための卒園式と聞かれれば、子どもだけではなく保護者のための卒園式でもあります。私たちは懸命に働いて子育てをしてきました。子どもの成長を見る機会を楽しみに、日々頑張ってきたといっても過言ではありません。その「成長」の証が卒園式であり、子どもたちの歌なのではないでしょうか? その楽しみを台無しにしたレナ先生の伴奏を、ケイくんママみたいな広い心で受け入れることは、やはり私にはできませんでした。

「育った園舎で、全員揃って卒園」当たり前じゃない!

私たちがケイくんママと話しているところに、他のママ友2人がやってきました。そこで東日本大震災や新型コロナウイルス感染症の流行で卒園式が延期になったけど、なんとか無事に行われたという、ママ友たちがした大変な経験を話してくれました。そして、卒園式は子どもの成長を見届けるためのもので、親を喜ばせるためのものではないと。子どもたちが元気に揃って式に出席できたから、彼女たちは卒園式のやり直しは必要ないと思っているそうです。

そう言って、ママ友たちは去っていきました。きっと他の保護者も同じ想いなのでしょう。残された私たちの間には沈黙が漂います。みんな私たちと同じ気持ちだと思っていたのに……。

このままホールを貸してもらっても、他の子が来ないのでは意味がないと思った私たちは、園長先生に卒園式のやり直しは執り行わないと伝えました。その後も卒園式のやり直しができなくて、私は消化しきれない想いを抱えていました。仕事をしていても、そのことばかり思い出してついイライラしてしまいます。

東日本大震災や新型コロナウイルス感染症が流行したときの話をしてくれたママ友たち。そう言われると、確かに「育った園舎で、全員揃って卒園」できることは、当たり前ではないのかもしれません。ママ友たちの言葉に、私たちはもしかしたら方向性を間違えていたのかもしれない……そんな風に考えるようになりました。けれど、やはり卒園式の動画を見返すと、どうしても悲しみや怒りが込み上げてきてしまうのです。この卒園式を「いつか笑い話にできる」とは、到底思えません。卒園式のやり直しを求めた件を夫に伝えると、夫はものすごく驚いていて、私に諭すように話してくるのでした。

完璧じゃない私を支えてくれた先生たちへ。涙の最終日

大袈裟に驚く夫にもイライラしながら私は、こんな伴奏では将来見返したときに息子がかわいそうだと言いました。すると、いつもは穏やかな夫が急に真面目な顔で話しはじめました。え? 子どもたちの卒園式を台無しにしているのはレナ先生の伴奏ではなく私? でも、息子が大きくなったときに合唱の伴奏の子が失敗したのを責める子にはなってほしくない……。

ママ友たちの話や夫の言葉を聞いて、私は自分がいかに小さなことにこだわっていたかが分かりました。

しかし、先生たちとの微妙な空気の中でなかなか謝ることができません。そうして、いよいよ最終登園日になりました。

お迎えの途中、頭の中を巡るたくさんの想い出の中には、いつでも先生たちの笑顔がありました。どんなときでも、先生たちはずっと私を支えてきてくれたのに……。園長先生の笑顔を見た瞬間、私の眼には涙があふれてきました。そう、先生たちはピアノのプロじゃなくて、保育のプロとしての責務をしっかりと果たしてくれていたのです。

卒園式を“ダメなもの”にしているのは、レナ先生の伴奏じゃなくて私自身……。夫に言われて、ショックを受けました。そして息子にどんな子どもになってもらいたい? と聞かれたとき、ようやく自身の一方的な考えに気が付くことができました。今まで園にどれだけお世話になってきたか。先生たちにどれほど支えてもらってきたか。そのことを思い返せば、ピアノの伴奏を「いい想い出」にするのも、私たち保護者の声掛け次第なのだと心から思うことができました。最後の最後になりましたが、先生たちに謝罪ができて、そして今までのお礼が言えて本当に良かったです。これからも保育園の思い出を胸に、小学校でも子どものサポートをしていきたいと思います。


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