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身近な水辺環境で出会える<水鳥>たち 観察してみると意外と奥深い?

サカナト

ダイサギ(提供:みのり)

小川は日本各地に流れています。

人々が密集する住宅地や都市部でも流れており、またそういった場所では様々な水鳥たちが見られます。普段何気なく目にする水鳥も、よく観察すると非常に奥深いことがわかります。

身近な小川で見られる水鳥を、筆者が実際に観察した体験談・撮影した写真と共に紹介します。

シラサギの仲間

白くて大きな、首の長い鳥を小川でよく見かけます。「シラサギ」と認識している人も多いのですが、シラサギという種の鳥は存在しません。

一見して同じに見えるシラサギたちも、実は細かく種類が分かれているのです。

ダイサギ(ダイサギ・チュウダイサギ)

「シラサギ」と呼ばれる鳥の中で最も大きい鳥がダイサギ(ダイサギ・チュウダイサギ)です。全身白色で、くちばしは繁殖期では黒色、非繁殖期は黄色をしています。

ダイサギ自体も二亜種に分かれており、日本において冬に見られるのがダイサギ(ダイダイサギ)、夏に見られるのがチュウダイサギ。中には日本で越冬するチュウダイサギもいるそうなので、季節だけで確実に亜種を見分けるのは難しいです。

チュウダイサギ(提供:みのり)

これはあくまで筆者の感覚ですが、ダイサギは人がそこそこ近づいても逃げません。対して、チュウダイサギは遠距離であっても人間を認識すると飛び去ってしまいます。非常に目がいい鳥だな、と思いました。

普段何気なく見かけていたダイサギも実は亜種レベルで違うと考えると、ダイサギ観察がより一層楽しくなるのではないでしょうか。

チュウサギとコサギ

コサギ(提供:みのり)

実は「シラサギ」と呼ばれる鳥はさらに2種類います。チュウダイサギコサギです。

その名の通り、チュウサギはシラサギの中では中くらいの鳥、コサギはシラサギの中では最も小さな鳥です。「ダイサギ>チュウサギ>コサギ」という順に大きさが異なります。

これも筆者目線の感想ですが、コサギはダイサギよりもさらに警戒心が薄いと感じました。筆者が真横を歩いていてもお構いなしに魚を捕らえて悠々と運んで行きました。

ウグイを捕らえたコサギ(提供:みのり)

チュウサギはおそらく知らず知らずのうちに見ているはずですが、チュウサギだと意識して観察したことがまだありません。ダイサギやコサギと比べて、どのような行動をするのか、じっくり観察してみたいですね。

カルガモ

おそらく日本で一番よく見かけるカモがカルガモです。親子で列を成して移動する姿をテレビ等で見かけた方も多いと思います。

カルガモ(提供:みのり)

名前の由来は「軽の池(万葉集に登場する奈良県の池)のカモ」とか、夏もとどまる「夏留鴨(かるがも)」のほか、マガモ(真鴨)ほど美味ではない「価値の軽い鴨」の説など、様々な説があります。

はばたくカルガモ(提供:みのり)

どこでも見られる普通のカモですが、じっと観察しているとその挙動が中々面白い鳥だなと思います。

川岸で集団で寝ていたり、かと思えば一部は忙しなく動き回っていたりと、個体によって行動が違うなと感じます。サギほど警戒心は強くないため、比較的観察しやすい水鳥です。

マガモ

マガモは、オスの頭は緑色、胸は栗褐色、くちばしは黄色です。メスは全身褐色で、黒褐色の模様が沢山あり、目立たない色彩をしています。

前述のカルガモはマガモのメスとよく似ており、カルガモを「メスのマガモ」と勘違いしてしまっている人は多そうです。

マガモ(提供:みのり)

確かに両種は生態も似ており、冬場になると一緒に川岸で休んでいる光景も見られるため、同じ種だと勘違いしてしまいます。

筆者目線だと、マガモはカルガモよりも警戒心が強いイメージがあります。ちなみに動物園などにいるアヒルの原種はこのマガモです。

カワセミ

池、川など淡水域の水辺で川魚を狩る、約17センチほどの小さな鳥・カワセミ。かなり珍しい鳥のイメージがありますが、最近では住宅地を流れるような小川でも普通に見られます。

そのため、知らず知らずのうちにカワセミの鳴き声を聞いたことがあるという人も多いと思います。「あっ!この鳴き声、カワセミだったんだ!」となる人も多いはずです。

カワセミ 遠距離から撮影したのでピントが甘いです……(提供:みのり)

鳴き声が小川の近くで聞こえると、高確率で見つけられます。

私もカワセミを探す際は、まずこの特徴的な鳴き声を聴き逃さないところからはじめます。鳴き声が聞こえると、直後に凄まじいスピードで小川の上を飛び去っていく青い鳥が見えるはずです。

そんな速さで飛んでいても、青い模様が非常に目立ち、その美しさに驚きます。皆さんも是非鳴き声を頼りにカワセミを探してみてください。

水辺を利用する鳥

水鳥ではありませんが、水辺があることにより集まってくる鳥たちもいます。

彼らは間接的に水辺の恩恵を受けて暮らしています。

ツバメ

ツバメは、水場を直接利用している訳ではありませんが、彼らも小川の上を飛んでいる様子が観察できます。

ツバメ(提供:みのり)

水辺には鳥に限らず、様々な虫も集まります。そうした虫を狙って、ツバメも小川の上を飛び交っているのです。

飛び立つツバメ(提供:みのり)

水鳥を観察しに来たはずなのに、飛んでいたのはツバメ……だったこともよくありますが、そんな彼らも小川の影響を受けて暮らしています。

ツバメを観察できるのは、こうした水環境がしっかり存在しているからなのかもしれません。

モズ

全長約20センチのかわいらしい茶色の鳥・モズ

そのかわいい見た目とは裏腹に、とがった小枝などにバッタやカエルなどの獲物を串ざしにする習性があります。これは「モズのはやにえ」と呼ばれます。

実は私が初めてモズを観察できたのも、小川のすぐ真横でした。他の鳥と同じく、水辺に集まる虫を狙って彼らも小川のそばにやってきたのでしょう。

モズ(提供:みのり)

先ほどのカワセミの写真と同じく、彼らを驚かせてしまうと良くないため、この写真もかなり遠距離から撮影しました。そのため上手くピントが合っていません。しかし、それよりもはじめてモズに会えたという嬉しさの方が大きかったです。

今回ツバメやモズなど、本来水鳥とはされていない鳥も敢えて入れたのはこれが理由です。ずっと見たい思っていた鳥も、小川という水環境が存在していることで見ることができたのです。

普段何気なく通り過ぎる小川のポテンシャルの高さを強く認識した出来事でした。

水があれば、鳥がいる

水鳥たちはもちろん、ツバメやモズといった鳥たちも小川の影響を受けて暮らしていることがわかります。

小川が汚染されると、直接水の中に棲んでいる魚などの水生生物はもちろん、水鳥や、もっと言えば水辺を利用する全ての動物が悪影響を受けてしまいます。

そういった側面を考えながら小川を観察すると、その大切さや貴重さがよくわかります。

皆さんが住んでいる地域にも小川や池のような水辺があると思います。地味で何もいないと思っていた水辺も、しっかり観察すれば、色んな鳥たちが集うオアシスとなっているかもしれません。

ぜひ身近な水辺を訪れ、鳥たちを観察してみてください。

(サカナトライター:みのり)

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