沿線の魅力を発信して地方鉄道2社に誘客 ちばぎん商店が「房総横断鉄道たすきプロジェクト」(千葉県市原市、大多喜町など)
地銀がエリア内の地方鉄道をクラウドファンディングで応援する、新しいスタイルの鉄道プロジェクト。本サイトでは2024年12月29日、千葉銀行の地域振興子会社による千葉都市モノレールのプラレール製品化を紹介したが、同じちばぎん商店が乗り出したもう一つの支援策が「房総横断鉄道たすきプロジェクト」だ。
房総横断鉄道とは、上総中野で接続する小湊鐵道といすみ鉄道の2社。駅伝のたすきをつなぐように乗り継げば、五井~上総中野~大原のルートで房総半島を横断できる。
2024年12月23日にスタートしたプロジェクトでは、クラファンの形で鉄道沿線の地場企業を支援。地域の魅力を発信して沿線訪問の機会をつくり、鉄道2社と沿線企業、さらにちばぎん商店の3者いずれもWINWINの関係を築く〝三方一両得〟を目標に、全国の鉄道ファンなどに参加を呼び掛ける。
鉄道2社のプロフィールでは、小湊鉄道は大正年間創業の地方私鉄。いすみ鉄道は国鉄改革で特定地方交通線の木原線を引き継いだ第三セクターと生い立ちの違いはあるものの、厳しい経営環境は変わらない。
小湊は2023年4月、厳しい経営環境を公表して沿線自治体に支援を要請。2024年10月に列車脱線事故を発生させたいすみは、現在も全線運休中で、復旧に長期間を要することがアナウンスされる。
苦境脱出に、地域の魅力発信という妙手を編み出したのがちばぎん商店。2024年8~9月に参加企業を募り、プロジェクト第1弾として10社を選考、クラファンサイト・C-VALUEで寄付金の受け付けを始めた。
参加10社で鉄道に関係するのは、千葉県木更津市のホテル三日月が始めた「いすみ206型再塗装プロジェクト」。本サイトで報告の通り、ホテルは2024年7月のリニューアルで鉄道アミューズメントパークをオープンしたが、パークに展示される気動車を再塗装する資金をクラファンで募る。
小湊が立ち上げたのが「オリジナルグッズ開発」で、市原湖畔美術館とコラボして、「鉄道と里山」をコンセプトにしたグッズ類を製作する。湖畔美術館の最寄り駅は、小湊鐵道線高滝駅。
このほか、小湊の観光看板列車・トロッコ列車を貸し切りで成人を祝う「トロッコ成人式」プランも。各プロジェクトの詳細と寄付は、ちばぎん商店のホームページから。今後は2025年3月ごろにも第2弾のプロジェクトを立ち上げるスケジュール。鉄道2社などは春の観光シーズンにあわせて、沿線スタンプラリーも計画する。
記事:上里夏生