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伊豆・伊東の海には「花咲く丘」がある? ギャップが萌えるサンゴ<ナンヨウイボヤギ>を見にいこう

サカナト

皆さんはナンヨウイボヤギというサンゴをご存知でしょうか?

ナンヨウイボヤギは、緑でもふもふとした姿がとてもかわいいサンゴです。ですがギャップがかなり激しく、丘のような景色を見るにはある条件が必要なのです!

そんな“ギャップ萌え”なサンゴ、ナンヨウイボヤギについて今回は解説していきます!

花咲くサンゴ「ナンヨウイボヤギ」

ナンヨウイボヤギは軟らかい体を持つソフトコーラルという種類のサンゴ。その中でもプランクトンや他の生物を捕食して生きる、陰日性サンゴという種類です。そのため、ご飯(=プランクトン)を捕食する時にポリプを開きます。

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ポリプを開く姿を、筆者は花に例えて「咲く」と呼んでいます。

ポリプを開いているナンヨウイボヤギ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

一方でナンヨウイボヤギもご飯を食べない時間があります。筆者はこれを「お休み中」と呼んでいます。

サンゴたちは、お休み中は触手を閉じます。すると、真っ黒な茎が現れ、姿が激変します。

岩肌につく黒い塊がお休み中のナンヨウイボヤギ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

上の2枚の画像は角度は違うものの、同じ場所を撮影したものです。どれくらいのギャップがあるか、良く分かると思います。

このように大きく姿を変えることが、ナンヨウイボヤギの特徴のひとつです。ON・OFFが激しく、筆者はそんな姿に「ギャップ萌え」を感じます。

ポリプが開く条件は「強い流れ」

海に潜ったとき、多くの方がより美しい景色として感じるのは“咲いている”ナンヨウイボヤギです。この景色を見るための条件は何でしょうか?

答えは、太くて強い流れがかかることです。

サンゴは自分から動かずに流れてきた餌を捕食するため、ある程度大きな流れを必要としています。その中でもナンヨウイボヤギの好みは「太くて強い流れ」。あくまで筆者の主観ですが、ゆるい流れだと咲きにくい印象があります。

状況によっては、景色が綺麗でもダイバーが泳ぐのに苦労することも。

ウツボはすいすい泳いでいく(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

また他にも、河川の真水やうねりが少ない状況も咲きやすい環境と思われます。

ただし、これらの条件はあくまで統計的なもので、筆者は前日までの潮の向きや強さ・咲き具合も参考にして判断しています。

加えて、常に「0か100か」ではなくて、時間帯によって「5分咲き」や「7分咲き」など様々な開き具合があります。「30分前に満開だったのに萎んでしまった!」という例や、またその逆のこともあり、観察には様々なドラマが生まれるのです。

ナンヨウイボヤギと他の生物との共存

筆者がよく潜る静岡県・伊東の海では、ナンヨウイボヤギの群生地に他の魚も数多く生息しています。

ナンヨウイボヤギの上を泳ぐヘラヤガラ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

キンギョハナダイは、ナンヨウイボヤギの群生地の強い流れを利用して卵を遠くに飛ばすための産卵場所にしています。

数千匹のキンギョハナダイがこの景色の上で乱舞している様子が見られます。

ナンヨウイボヤギとキンギョハナダイの群れ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

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他にも流れを好む回遊魚や、産卵目当ての生物たち、根付きの小さい生き物など、様々な生物が居心地良さそうに共存しています。

ポリプをつつくハコフグとニザダイ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

ナンヨウイボヤギが見れる場所は?

この美しいナンヨウイボヤギの群生は、東伊豆・伊東の海で見ることができます。伊東の期間限定ダイビングポイントである「五島根(ごとうじね)南」にナンヨウイボヤギの群生があるのです。

「根」とは海底にある岩礁で、魚が集まる場所のこと。五島根には独立した根が3つあり、それらを北・中・南とわけられています。そのうちの南がナンヨウイボヤギを観察するには絶好なダイビングスポットで、世界的にみてもかなり珍しい光景と言われています。

水深15~25メートルの場所に位置しているため、ダイビングライセンスが必須です。ライセンスを持っている方はぜひ五島根南で、ナンヨウイボヤギとサカナたちを観察してみてはいかがでしょうか。

五島根南は期間限定のダイビングスポットなので、よく確認して訪れてみてください。

観察するときの注意事項 絶対に踏まないように!

観察をする時に着底(海底に着地すること)をするとサンゴが傷ついて死んでしまいます。必ず中性浮力(水中で浮きも沈みもしないでとどまる状態)をとり、フィン先がサンゴにつかないように観察しましょう。

また、ナンヨウイボヤギの群生する場所は強く流れる場合があります。その際は無理をせずに、自分のスキルに合った潜り方を心がけましょう。

ナンヨウイボヤギの隙間に隠れるウツボと、撮影するダイバー(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

ナンヨウイボヤギの群生による「花の咲く丘」、果たして“何分咲き”に出会えるのか。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

(サカナトライター:まっさん【伊東のインストラクター】)

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