Yahoo! JAPAN

伊豆・伊東の海には「花咲く丘」がある? ギャップが萌えるサンゴ<ナンヨウイボヤギ>を見にいこう

サカナト

皆さんはナンヨウイボヤギというサンゴをご存知でしょうか?

ナンヨウイボヤギは、緑でもふもふとした姿がとてもかわいいサンゴです。ですがギャップがかなり激しく、丘のような景色を見るにはある条件が必要なのです!

そんな“ギャップ萌え”なサンゴ、ナンヨウイボヤギについて今回は解説していきます!

花咲くサンゴ「ナンヨウイボヤギ」

ナンヨウイボヤギは軟らかい体を持つソフトコーラルという種類のサンゴ。その中でもプランクトンや他の生物を捕食して生きる、陰日性サンゴという種類です。そのため、ご飯(=プランクトン)を捕食する時にポリプを開きます。

2024.06.06サンゴを分類する4つの方法 飼育・アクアリウムに特化した分類方法とは?サンゴは植物ではなく、刺胞動物と呼ばれる動物の一種です。サンゴはサンゴ礁をつくり、その地域に生きるヒトを含むすべての生物の生きる基盤を生み出...

ポリプを開く姿を、筆者は花に例えて「咲く」と呼んでいます。

ポリプを開いているナンヨウイボヤギ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

一方でナンヨウイボヤギもご飯を食べない時間があります。筆者はこれを「お休み中」と呼んでいます。

サンゴたちは、お休み中は触手を閉じます。すると、真っ黒な茎が現れ、姿が激変します。

岩肌につく黒い塊がお休み中のナンヨウイボヤギ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

上の2枚の画像は角度は違うものの、同じ場所を撮影したものです。どれくらいのギャップがあるか、良く分かると思います。

このように大きく姿を変えることが、ナンヨウイボヤギの特徴のひとつです。ON・OFFが激しく、筆者はそんな姿に「ギャップ萌え」を感じます。

ポリプが開く条件は「強い流れ」

海に潜ったとき、多くの方がより美しい景色として感じるのは“咲いている”ナンヨウイボヤギです。この景色を見るための条件は何でしょうか?

答えは、太くて強い流れがかかることです。

サンゴは自分から動かずに流れてきた餌を捕食するため、ある程度大きな流れを必要としています。その中でもナンヨウイボヤギの好みは「太くて強い流れ」。あくまで筆者の主観ですが、ゆるい流れだと咲きにくい印象があります。

状況によっては、景色が綺麗でもダイバーが泳ぐのに苦労することも。

ウツボはすいすい泳いでいく(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

また他にも、河川の真水やうねりが少ない状況も咲きやすい環境と思われます。

ただし、これらの条件はあくまで統計的なもので、筆者は前日までの潮の向きや強さ・咲き具合も参考にして判断しています。

加えて、常に「0か100か」ではなくて、時間帯によって「5分咲き」や「7分咲き」など様々な開き具合があります。「30分前に満開だったのに萎んでしまった!」という例や、またその逆のこともあり、観察には様々なドラマが生まれるのです。

ナンヨウイボヤギと他の生物との共存

筆者がよく潜る静岡県・伊東の海では、ナンヨウイボヤギの群生地に他の魚も数多く生息しています。

ナンヨウイボヤギの上を泳ぐヘラヤガラ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

キンギョハナダイは、ナンヨウイボヤギの群生地の強い流れを利用して卵を遠くに飛ばすための産卵場所にしています。

数千匹のキンギョハナダイがこの景色の上で乱舞している様子が見られます。

ナンヨウイボヤギとキンギョハナダイの群れ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

2024.10.04紳士的な魚<キンギョハナダイ>の求愛を観察! 伊豆の海でみられる恋愛ドラマダイバーにはお馴染みの魚・キンギョハナダイ。実はこの魚、とても紳士的な“求愛”をするのです。 今回は伊東の現地ガイドである筆者が日々観...

他にも流れを好む回遊魚や、産卵目当ての生物たち、根付きの小さい生き物など、様々な生物が居心地良さそうに共存しています。

ポリプをつつくハコフグとニザダイ(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

ナンヨウイボヤギが見れる場所は?

この美しいナンヨウイボヤギの群生は、東伊豆・伊東の海で見ることができます。伊東の期間限定ダイビングポイントである「五島根(ごとうじね)南」にナンヨウイボヤギの群生があるのです。

「根」とは海底にある岩礁で、魚が集まる場所のこと。五島根には独立した根が3つあり、それらを北・中・南とわけられています。そのうちの南がナンヨウイボヤギを観察するには絶好なダイビングスポットで、世界的にみてもかなり珍しい光景と言われています。

水深15~25メートルの場所に位置しているため、ダイビングライセンスが必須です。ライセンスを持っている方はぜひ五島根南で、ナンヨウイボヤギとサカナたちを観察してみてはいかがでしょうか。

五島根南は期間限定のダイビングスポットなので、よく確認して訪れてみてください。

観察するときの注意事項 絶対に踏まないように!

観察をする時に着底(海底に着地すること)をするとサンゴが傷ついて死んでしまいます。必ず中性浮力(水中で浮きも沈みもしないでとどまる状態)をとり、フィン先がサンゴにつかないように観察しましょう。

また、ナンヨウイボヤギの群生する場所は強く流れる場合があります。その際は無理をせずに、自分のスキルに合った潜り方を心がけましょう。

ナンヨウイボヤギの隙間に隠れるウツボと、撮影するダイバー(提供:DiveFamilyYellow 川坂秀和)

ナンヨウイボヤギの群生による「花の咲く丘」、果たして“何分咲き”に出会えるのか。ぜひチャレンジしてみてくださいね。

(サカナトライター:まっさん【伊東のインストラクター】)

【関連記事】

おすすめの記事

新着記事

  1. ふぉ~ゆ~越岡裕貴・松崎祐介が仲良しコンビに 絵本「がまくんとかえるくん」シリーズが、ミュージカルになって上演

    SPICE
  2. Hey!Mommy!&槙田紗子[終演後インタビュー]グループ史上最大規模の豊洲PITワンマンを終えて「ちゃんと豊洲PITが似合うアイドルでした」「もっと大きくなりたいって心の底から思えました」

    Pop’n’Roll
  3. 【1泊4300円】博多・天神エリアのコスパ最高宿「ホテルニューガイア薬院」の魅力を紹介する / ソフトドリンク・アルコール飲み放題のラウンジ&大浴場付き!

    ロケットニュース24
  4. 【松山市・富久重 鷹ノ子店(ふくしげ たかのこてん)】笑みがこぼれるおいしさ 行列が絶えない老舗の味

    愛媛こまち
  5. 【松山市・中国料理四川之門】地元の人も気軽に訪れたい お城下のおいしい中華店

    愛媛こまち
  6. 【最高かよ】バーミヤンでボトルキープが熱すぎる! がっつり飲みたい時からちょっと飲みたい時まで、色んなシーンで活躍まったなし!

    ロケットニュース24
  7. 古代中国の皇帝はどうやって側室を選んだのか? ~多いときは一万人、身体検査や匂い検査まで

    草の実堂
  8. SHINeeからKEY、MINHO、ATEEZ、(G)I-DLE、GENERATIONSなど実力派トップアーティストたちの出演が続々決定!<The Performance>

    WWSチャンネル
  9. 【動画】立ち飲みの聖地・新梅田食道街に「立ちすし酒場さしす」

    OSAKA STYLE
  10. 『飯沼一家に謝罪します』緊急上映が決定 東京・渋谷パルコWHITE CINE QUINTOのスクリーンで

    SPICE