織山尚大主演、心理劇の傑作『エクウス』の全キャストが決定 村川絵梨、岡本玲らが出演
2026年1月29日(木)~2月15日(日)東京・東京グローブ座、2月20日(金)~24日(火)大阪・サンケイホールブリーゼにて上演される、舞台『エクウス』の全キャストが解禁となった。
ピーター・シェーファーの戯曲『エクウス』は、実際に起きた事件をもとに描かれており、表面的には異常犯罪を描きながら、人間の心の闇と情熱を真正面から捉えた心理劇の傑作。1973年にロンドンで初演され“演劇史に残る衝撃作”として高い評価を得て、1979年にブロードウェイで上演されると、トニー賞で主演男優賞など多数部門にノミネートされ最優秀作品賞を受賞。その後世界中で上演され、1990年に劇団四季が日本初演した。そして2007年にロンドン ウエストエンドでの公演でダニエル・ラドクリフがアラン役を務め話題となった。
この傑作戯曲を小川絵梨子による新訳・演出で今回、上演する。小川が満を持して挑む本企画では、現代の視点から人間の「正気と狂気」の境界を鋭く描き直す。
これまで数多くの名優たちが演じてきた少年アラン・ストラングに、近年はドラマや映画など映像作品でも活躍する織山尚大が挑む。
そして、少年アランを取り巻く人物たちを演じる全キャストが決定した。
アランの治療を担当することで自身の内面とも向き合うことになる精神科医のドクター・ダイサートに村川絵梨。乗馬クラブでアランに馬との関係を与え事件の引き金となるジル・メイソンに岡本玲。騎馬の若者とアランが崇拝する馬たちは須賀貴匡が演じる。「馬=神」という信仰心を持つアランに対して象徴的な存在となる。ダイサートの補佐で精神病院の看護師に近藤隼。裁判所の判事へスター・サロモンに津田真澄。乗馬クラブのオーナーでアランの行為を告発したハリー・ダルトンに坂田聡。さらに、敬虔なキリスト教徒でアランを溺愛する母ドーラ・ストラングに長野里美、無神論者で宗教に否定的な父フランク・ストラングに千葉哲也と実力派キャストが揃った。
アランが起こした事件といかに対峙するのか、そしてこれまでの上演では男性が演じてきたダイサートを女性が演じることで本作にどのような変化をもたらすのか、注目しよう。
キャストコメント
■村川絵梨
今回上演される小川さん演出の『エクウス』は、主人公の青年と向き合う精神科医の役が男性から女性の設定になると聞き、そしてそんな大役を背負わせていただく事になり、本当に身が引き締まる思いです。
実は精神科医という職業に以前からとても興味がありました。今まで演じた事はありません。
「普通」とは「崇拝」とは…
脚本を読んで、今現在を人間として生きている私達に、たくさんのメッセージを投げかけてくれる作品だと感じました。誠心誠意、挑みたいと思います。
■岡本玲
三度目となる小川絵梨子さんの演出のもと、人間の深淵を見つめるこの作品に参加できることをとても嬉しく思います。ジルとして、ひりひりと愛おしい命を感じる瞬間を、偽らず丁寧に積み重ねていきたいです。生きることの光と影を見つめながら、劇場で皆さまと心を通わせられたら幸いです。劇場でお待ちしています。
■須賀貴匡
今回『エクウス』で主人公アランに対し、象徴的な存在となる騎馬の若者役を演じます須賀貴匡です。この物語の中では主人公にとっての馬は、内なる欲望や自由への象徴なのだと思っています。
初見で読んだ時に感じた、とても神秘的でスリリングでもあるこの戯曲、どのような世界が立ち上がりお客様にお届けできるのか、演出の小川さん始めスタッフ、キャストの皆さんと、共に創作していければという思いです。劇場でお待ちしております!
■近藤隼
出演のお話をいただき戯曲を読んだ時、アランとダイサートの対話に、自分の中にも説明できない思いや痛みが息づいていると感じました。馬が駆ける感覚と、人が街で生きる姿の対比にも強く惹かれました。常識や倫理の裏側にある衝動はまだうまく掴めていませんが、人間の弱さや揺らぎにそっと寄り添う小川絵梨子さん、そして共演者の皆さんとともに、稽古場で生まれるものを大切にしながら歩んでいきたいと思います。
■津田真澄
高校生の頃に、夢中で何度も読んだ『エクウス』。
どんな舞台なんだろう、ここはどうなるんだろう、ああ観てみたいと憧れた舞台に、まさかまさか自分が出演することになるとは、夢にも思っていませんでした。
演出の小川さんはじめスタッフの皆さん、錚々たる出演者の皆さんと共に、新しい『エクウス』が立ち上がっていく過程を、ワクワクしながら、大切に、臨みたいと思っています。
■坂田聡
思い起こせば2020年グローブ座で舞台『〇〇な人の末路~僕たちの選んだ××な選択~』を公演中、緊急事態宣言が発令され、あと10ステージを残して公演中止になりました。憂さ晴らしに飲みに行こうと思ったのですが店もやっておらずトボトボ新大久保の駅に向かったのを覚えています。それ以来の東京グローブ座となります。新年一発目張り切って頑張ります。素晴らしいキャスト、スタッフの方々と焦らずゆっくり丁寧に作り上げていこうと思ってます。
■長野里美
息子に限りなく愛を与えているつもりでいて、自分の価値観や世界観を押しつけているだけに見える母、ドーラ。
そんな無意識の罪を犯しがちなのが人間で、家族もお互いに振り回されているのがこの世界。
小川さんの新訳によって、とても分かりやすく身近になったこの物語を、さあ、今度はどう紡いでいくのか。
今回で3回目の演出を受けることになる私は楽しみでしかたない。
特に前回、爆上がりに引き上げて頂いたので、戻ることなくそこから始めたいと思っています。
■千葉哲也
戯曲を読み終えて、深いため息が出たのと同時に思わず唸ってしまった。美しさ、純粋さ、そして残酷さと…。
恥ずかしながらこの歳になって、人として色々と垢が溜まっていながら、新しい挑戦に踏み出す事をこっそりサボっている自分に、まるで警鐘を鳴らすかの様に、馬達の地ならしの音が、蹄の音が今も響いている感じである…。
1+1=2という考え方ではなく無限に、そして正解も無く…。文句無くこの戯曲にはまさにその挑戦をさせてくれそうである。
この作品を小川絵梨子さんや出演者、スタッフと共に、このエクウスの瞳の中に何を見る事が出来るのか…そんな旅が出来る事が今から待ち遠しい限りである。