猫は『ずっと寝てばかり』な理由5選 どうしてあんなに寝られるの?寝すぎたりしないの?
猫が「ずっと寝てばかり」な理由5選
1.野性時代の習性
猫の祖先は、狩猟動物として生きていました。獲物を捕らえるためには、待ち伏せや瞬発力が必要であり、それにはエネルギーを温存する必要があります。
そのため、狩り以外の時間は睡眠に費やす習性が身についたようです。現代の飼い猫も、この習性を色濃く残しており、獲物を探す必要がない環境でも、一日の大半を寝て過ごします。
また、野生では外敵から身を守る必要もあり、浅い眠りを繰り返すことで、常に周囲の状況に気を配っていたと言われています。
これらの習性が、現代の猫が長時間寝る理由のひとつだと言えるでしょう。
2.特有の睡眠サイクル
猫の睡眠サイクルは、人間とは大きく異なるようです。猫は、覚醒と浅い眠りと深い眠りを短いサイクルで繰り返す「多相睡眠」という特徴を持っています。
浅い眠りは、周囲の音や匂いに反応しやすく、すぐに起きられる状態になっています。一方、深い眠りは、体を休めるために必要な睡眠です。
猫はこれらの睡眠を交互に繰り返すことで、効率的に休息を取っています。そのため、一日の睡眠時間が長くても、実際に熟睡している時間はあまり長くはありません。
3.年齢により異なる睡眠時間
猫の睡眠時間は、年齢によっても大きく異なります。子猫が良く眠っているのは、成長ホルモンを分泌するために、一日の大半を寝て過ごしているのです。
一方、老猫は、体力の低下や関節の痛みなどから、活動量が減少し、睡眠時間が増加します。成猫は、子猫や老猫に比べると睡眠時間は短いですが、それでも一日の半分以上を寝て過ごします。
このように、年齢によって睡眠時間が異なることも、猫が長時間寝る理由のひとつです。
4.肉食動物だから
肉食動物は、草食動物に比べて睡眠時間が長い傾向があります。これは肉食動物が獲物を捕らえるために、多くのエネルギーを消費するためと考えられているようです。
猫も肉食動物であり、狩りで消費した体力を回復するという理由から睡眠時間を長く取る必要があります。
また、肉食動物は獲物を消化するために、内臓に多くのエネルギーを必要とします。そのため、消化活動を助けるためにも、副交感神経が優位となる休息の睡眠時間を長く取る必要があると考えられています。
5.病気などの不調がある
猫が普段よりも明らかに長く寝ている場合は、病気や怪我などの不調が隠れている可能性があります。
特に、食欲不振や元気がないなどの症状が見られる場合は、注意が必要です。猫は、体調不良を隠す習性があるため、飼い主が異変に気づきにくいことがあります。
そのため、普段から猫の様子をよく観察し、異変を感じたら獣医師に相談することが大切です。
猫はどのくらい寝るのが正解?
猫の平均睡眠時間は、成猫で1日に12~16時間程度と言われています。しかし、年齢や個体差、季節などによっても睡眠時間は変動します。
✔子猫:1日に18時間以上
✔成猫:1日に12~16時間程度
✔老猫:1日に16~20時間程度
老猫はその日の体調によってもっと眠ることもあるようです。
猫の眠りを妨げないために飼い主にできること
猫の睡眠は、心身の健康にとって非常に重要です。以下の点に注意して、猫が快適に眠れる環境を整えてあげましょう。
✔静かで落ち着ける場所を用意する
✔快適な寝床を用意する
✔生活リズムを整える
✔過度なスキンシップは避ける
✔睡眠を妨げる騒音を避ける
✔適度な運動を取り入れる
✔室温に気をつける
✔病気や怪我の可能性も考慮する
✔明るすぎない寝床と、日向ぼっこができる寝床をどちらも用意する
✔夜は一定の時間で電灯を暗くする
基本的には私たち人間と同じで、騒音対策や寝床の環境を整えることで快適な睡眠を取ることができます。
ただし、通常よりも長い時間寝ていることが増えていたり、行動自体が減っていたりするようであれば病気や怪我の可能性があるので注意しましょう。
まとめ
猫は「寝子」と呼ばれることもあるくらい、よく眠ると言われている動物です。そのため、私たち人間よりもかなり長い時間寝ていても、健康に問題ありません。
猫の睡眠不足は健康に悪影響を及ぼす危険性もあるので、快適に眠れるように環境を整えてあげてくださいね。
(獣医師監修:唐野智美)