362日ぶり登板も楽天・田中将大の復活遠く…データで判明した「5回93球」の原因
味方打線が先制も逆転許し敗戦投手
楽天・田中将大投手(35)が28日のオリックス戦(楽天モバイル)で今季初登板初先発したものの、5回で93球を投げて6安打1三振2四球4失点で敗戦投手となった。
試合は初回に浅村栄斗のタイムリーで楽天が先制。しかし、4回にオリックスの森友哉、紅林弘太郎、西川龍馬に3連打から3点を失って逆転を許し、5回にも太田椋に6号ソロを浴びて362日ぶりのマウンドを白星で飾ることはできなかった。
昨秋、右肘のクリーニング手術を受け、今季はコンディション不良のため開幕から2軍暮らし。8月からイースタン・リーグで5試合に登板して迎えた今季初登板だったが、完全復活とは言うにはほど遠い出来だった。
ストレートが多く、スプリットは大幅に減少
田中の投球内容は、ヤンキースを退団して2021年に帰国してからの姿とは少し違った。ストレートが多く、スプリットが少なかったのだ。球種別データは下の通りとなっている。
2021年に楽天復帰してからはスライダーを最も多用していたが、28日はストレートの割合が32.3%と最多。これは無傷の24連勝をマークした2013年以上の割合だった。
逆にスプリットは昨季の20.9%から7.5%と大幅に減少。その分、ツーシームやチェンジアップの割合が増えている。
28日のストレートは平均143.1キロ、最速147キロ。昨季の平均146.3キロ、最速151キロより落ちている。決してストレートが走っていたから多用したわけではなさそうだ。
2ストライク後の被打率が悪化
もう一つ気になったデータがある。2ストライクを奪ってからの被打率だ。カウント別の成績を昨季と比較すると下の通りだった。
昨季は0ストライクの被打率が.319、1ストライクは.401だったのに対し、2ストライクでは.198と抑えていたが、28日は0ストライクが.333、1ストライクが.167だったのに対し、2ストライクは.400と最も打ち込まれた。
昨季までは追い込めば「伝家の宝刀」スプリットで抑えられたはずが、28日はスプリットをあまり投げなかったためフィニッシュできなかったのだ。球数が5回で93球と多くなったのはそのせいもあるだろう。
2ストライクの被打率をさかのぼって調べてみると、2022年は.172、2021年は.158、2013年は.144と封じ込んでいる。日米通算197勝の右腕にしては珍しく“詰めの甘さ”を露呈した格好となった。
スプリットが少なかったのは“落ち”が悪く本調子ではなかったからなのか、打者の裏をかこうとしたのか、コントロールに自信を持てなかったからなのか分からない。ただ、加齢とももに球威が落ちていく以上、変化球を自在に操れないと苦しくなる。200勝目前で足踏みが続く田中の完全復活は来季に持ち越しとなりそうだ。
※成績は2024年9月28日終了時点
【関連記事】
・ソフトバンク4年ぶりパ・リーグ優勝!小久保裕紀監督、我慢でつかんだ栄光のゴール
・現役投手の日米通算勝利数ランキング 田中将大が200勝へカウントダウン
・なぜセ・リーグは盗塁が少ないのか?阪神・近本光司が残り5試合で5盗塁以下なら最少記録更新
記事:SPAIA編集部