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【マクラーレン インタビュー】重要なのは、潜在的ニーズを先取りすること

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【マクラーレン インタビュー】重要なのは、潜在的ニーズを先取りすること

マクラーレンは、まさに着るように乗れるスポーツカー。すぐれたデザインにファンが多い。チーフ・コマーシャル・オフィサーのウィルヘルムスマイヤー氏が来日し、現在と未来の同社の方針について、インタビューを通じて、貴重な話を聞かせてくれた。

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Henrik Wilhelmsmeyer/ヘンリク・ウィルヘルムスマイヤー

マクラーレン・オートモーティブ 最高コマーシャル責任者。CEOマイケル・ライターズ直属の立場で、マクラーレン・オートモーティブのグローバルな販売およびマーケティング業務を統括。2025年1月より同職。BMWグループで、2024年3月から上級管理職を務めた。それ以前には、ロールス・ロイス・モーター・カーズに所属し、最終的にはセールス&ブランド・ディレクターを務めた。

 英国のスポーツカー、マクラーレンといえば、個性きわだつプロダクトでファンを持つ。ひとつは、走り。もうひとつはデザインだ。さらにもうひとつを付け加えようというのが、ウィルヘルムスマイヤー氏の考えだ。

 街で走っていると、そこだけスポットライトが当たっているような、個性ゆたかなマクラーレンのデザイン。自然界からインスピレーションを受けて造形されたというもの。魅力的なエンジンと排気のサウンドも、クルマ好きを興奮させる。

 ディヘドラル ドアと呼ばれる、前を支点に、ドアが上に跳ね上がるのも独自のスタイル。傍から観ていて、オーナーがこだわりぬいて、マクラーレンを選択したのがわかるのが、どこかスーツのフィット感に通じるものを感じる。

 ユニークなのは、じっさいにファブリックへのこだわりもあること。マクラーレン「W1」のダッシュボードには、LEDによるアンビエント効果をもつファブリックが採用され、1,275馬力のこのモデルならではの世界観を実現している。

  マクラーレンでグローバルな販売とマーケティング業務を統括するヘンリク・ウィルヘルムスマイヤー氏と「東京エディション虎ノ門」で会ったのは、2025年3月。その週末には、2025年F1グランプリの開幕戦を控えていた。

 メルボルンGPではランド・ノリス、第2戦の上海GPではオスカー・ピアストリのドライブでみごと連戦連勝を果たしたMCL39を開発してレースで走らせているマクラーレン・レーシングと、マクラーレン・オートモーティブは別組織だけれど、パフォーマンスに対する情熱において、ふたつを重ねてみるファンがいるのも事実。

「マクラーレン・オートモーティブのスポーツカーは、たしかにこれまでサーキット志向のオーナーに支持されてきました」

 ウィルヘルムスマイヤー氏はそう言う。

 氏がマクラーレン・オートモーティブで現在の地位に就いたのは2025年1月。以前は、ロールス・ロイスではセールス&ブランドディレクターを務め、のちBMWグループで上級管理職の地位にあった。その経験を活かして、次の時代にマクラーレンがどうあるべきか、氏の頭のなかの青写真の片鱗を、私たちにも見せてくれた。

「重要なのは、オーナーの潜在的ニーズを先取りして、それを拡大して提供することです。従来のように、パフォーマンス志向のオーナーを満足させるプロダクトを継続して開発していくのは、もっとも重要なことです」

 たとえば、より軽量化、とウィルヘルムスマイヤー氏。

「もうひとつは、パーソナライゼーションです。自分だけのクルマが欲しい、というのは、ハイエンドブランドのユーザーに共通する傾向ですから、マクラーレンでもそこを突き詰めていきたいと考えています」

 ウィルヘルムスマイヤー氏が例にあげるのは、カラーと素材だ。

「私がマクラーレン・オートモーティブに移って発見したのは、MSO(マクラーレン・スペシャル・オ ペレーションズ)がもつ能力です」

 顧客のクルマに特別な機能を追加することを主業務とするのが、MSO。広く使われている言葉を使えばビスポーク部門だ。

「私が重要だと考えているのは、マクラーレンを作るというより、“あなたの”マクラーレン を作ること。顧客とのコミュニケーションをより密にして、希望があればそれを実現していく。サーキット向けのモデルと並行して、自分だけのペイントや自分だけの内装が欲しい、というオーナーに向けたサービスを拡大することこそ、求められて いるのだと思います」

 オーナーとの関係を密にするための例として、ウィルヘルムスマイヤー氏は、サーキットでの走行会をより充実させることと、オーナーのコミュニティをメーカーとして作りあげることを挙げる。

「それがマクラーレンをより差別化することにつながると考えています。マクラーレンが視野に入れていなかった顧客へのアピール、それこそいま私たちが考えていることです」

<McLaren’s vehicle lineup>

750S Spider

MP4-12Cから始まったマクラーレン・オートモーティブ スーパーカーシリーズの最新作。先代にあたる720Sから30馬力アップし750馬力を誇るV8ツインターボエンジンを搭載、さらに30kgの軽量化も実現し、運動性能を向上させている。リトラクタブル・ハードトップを備える「Spider」で、オープンエアドライビングを楽しめる。0-100km/h加速:2.8秒 ¥45,700,000 McLaren

GTS

635馬力を発生するV8ツインターボエンジンを搭載するスーパーカーでありながら、前150L、後420Lの合計570Lのラゲッジスペースを備える。車名にGTとあるようにグランドツーリングに相応しい乗り心地で、旅のパートナーとしても最適なハイパフォーマンスカー。0-100km/h加速:3.2秒  ¥29,700,000McLaren

Artura, Artura Spider

マクラーレン・オートモーティブの第2章の始まりを飾るモデルがArtura(アルトゥーラ)だ。カーボンモノコックやエンジン、トランスミッションなどあらゆるコンポーネンツが刷新されている。605馬力を発揮する120°バンクのV6ツインターボエンジンと95馬力のモーターを組み合わせたシステム出力は700馬力に達する。さらに7.4kWhのリチウムイオン・バッテリーにより最大33kmのEV走行を可能にした、まさに次世代のハイブリッド・スーパーカーである。0-100km/h加速:3.0秒 Artura ¥33,000,000  Artura Spider ¥36,500,000 McLaren

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