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「療育はお座りできるようになってから」早期療育を断られ、途方に暮れたわが家が支援に繋がるまで

LITALICO発達ナビ

「療育はお座りできるようになってから」早期療育を断られ、途方に暮れたわが家が支援に繋がるまで

監修:鈴木直光

筑波こどものこころクリニック院長

早期療育を受けたいけれど断られ……療育迷子に!

さて、前回のコラムでは、きいちゃんが生まれて間もなくの頃、ダウン症の子は早期療育が大事だと言われながらも、市役所に行っても「療育はお座りできるようになってから」と断られてしまい、いわゆる「療育迷子」になってしまったお話を書きました。

ダウン症の子は、発達に定型発達の子の2倍時間がかかり、首の座りは平均半年、お座りは1年以上かかると言われています。
その間、ずっと療育できないの?もしずっとお座りができなかったらどうするの?どうしたらいいの……!?!?と、途方に暮れてしまったものの、ここで負けてはいけない!きいちゃんのために何かしないと……!と奮起した私。

お国(市役所)がダメなら、民間じゃーーーい!!と、少しでもきいちゃんに発達にプラスになりそうなものは、お家療育から民間の赤ちゃんマッサージからカイロプラクティックなど、できる限りですがやりました。今思えば、正直、効いたかどうか怪しいなと思うものもありますが(汗)、その時は必死でした。

市役所がダメなら、療育センターへ電話してみよう!

そして、それでも不安な私はやっぱりちゃんと療育センターで療育を受けたいと思い、市役所がダメなら療育センターに電話してみよう!と、思い切って直接電話してみるという行動に出てしまいました……!
市役所と同じように断られるかな……?と、ドキドキして電話をしましたが、なんとあっさり、「3か月後から始めましょう!」とお返事が……!よかった、本当によかった……!!

きいちゃん、生後6か月でようやく正式に療育センターで療育を受けられることになりました……!
わりと私は「押してダメなら引いてみろ」の突撃タイプなのですが、とにもかくにも電話をしてみたという行動が功を奏したといえばそうなのかもしれません……。てゆーか、市役所のおじさんーーー!!お座りできなくても療育始められるんじゃないか!!と、心の中でつい毒づいてしまったのはここだけの話……(笑)。

先輩ママからも聞いた話ですが、使える制度や補助があったとしても、その情報を役所のほうから教えてくれることはほぼないそうです……。自分から情報を取りにいったり、調べたりして初めてそんな制度があったのか……!と知るパターンも多いとか。
私の場合は、親の会に入っていたおかげで、先輩ママさんたちから色んな情報を教えてもらってかなり助かりました。横の繋がりはかなり大事でありがたいなあと思ったことの一つです。

無事療育開始!PT、OTは始まるも、STはNGに……

結果、きいちゃんはPT(理学療法士。主に運動面を見てもらえる)は生後6か月から、OT(作業療法士。主に咀嚼や着替え、トイレなど生活全般を見てもらえる)は1才くらいから市の療育センターで始めることができました。

ただ、ST(言語聴覚士。言語、音声機能を見てもらえる)を始めるにあたって、療育センターの医師から許可がおりなかったのです。「カタコトが話せないのでまだ早い」と言われました。そして、最後まで療育センターで訓練することはできませんでした……。

「カタコトが出ないって、一生喋れなかったらどうするの……⁉」と不安にかられた私は、またも民間のSTさんを探し、民間で習うことに。

早期療育の結果は?療育はきいちゃんだけでなく私のためでもあった!

結果としては、きいちゃんは半年で首が座り、1歳くらいでお座り、2歳でようやくヨチヨチ歩けるようになりました。
咀嚼は今も怪しい感はあるものの、お箸やスプーン、フォークで自分で食べることができています。
言葉は5歳くらいから単語が出てくるようになり、小学生になってから劇的に言葉は増えました(と、いっても発音が悪いのでまだまだ宇宙語に聞こえたりしますが……汗)。

療育をしなくても、きぃちゃんと同じダウン症でも1歳で歩けるようになる子もいますし、おしゃべりがすごく達者な子もいます。もちろんその逆パターンもありますし、ダウン症に限らずですが、発達は本当にその子その子で違います。

きいちゃんは、周りのダウン症の子よりも少し発達が遅いほうだったのでつい比べてしまい、小学生になる前は私が勝手に落ち込んだり焦った日々もありますが、きいちゃんなりに成長を感じてくると、自然と周りと比べることも減ってきました(とはいえ、今でもとっても発達の早い子を見るといいなあ、お母さんはきっと楽だろうなあと羨ましくなってしまうのも本音です(笑))。

今は市の療育センターは卒業し、療育に通う日はほぼなくなってしまったのですが、今振り返るときいちゃんと頑張った療育の日々はきいちゃんのためでもありましたが、私の精神的な支えや安定が大きかったと思います。

障害を持って生まれてきたわが子のために、なんとか少しでも生きやすくしてあげたいーー療育を頑張るお母さんは、きっとそういう気持ちが心の根底にあると思います。時には頑張りすぎて親自身が疲れてしまう時もありますが、そんな時は少しくらいサボっても大丈夫。

適度に息抜きしながら、無理なく頑張っていければいいですね。

執筆/星きのこ

(監修:鈴木先生より)
療育の予算や人手の不足も影響があるのではないかと感じています。療育としてはOT/PT/ST以外に、MT(音楽療法)というのもあります。日本ではまだまだ馴染みが薄いようですが、私のクリニックでは月2回やっており、人気があります。私のクリニックのMTでは、感覚統合訓練も取り入れているのでバランス感覚も養えます。

特別支援学校に通うお子さんたちは就学後もMTに通われており、一方的に卒業させられることはありません。就学すると事務的な問題などで療育を中止されてしまうケースも多いのですが、私のクリニックでは、MTを卒業するかどうかは本人と親と主治医との間で相談して決めています。一旦やめたとしても希望があればいつでも再開することができます。

(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。

神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。

知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。

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