これぞエース!阪神・才木浩人、援護点が少なくても勝ち続ける驚異のデータ
8回1死までノーヒットノーランの快投
阪神・才木浩人が9日の西武戦(甲子園)で8回1死までノーヒットノーランの快投を見せ、12球団トップの7勝目を挙げた。
前回、完封でロッテの連勝を11で止めた才木の投球がこの日も冴えわたった。7回までに9三振を奪い、2四球のみに抑える無安打投球。8回1死から山野辺翔に三塁打を打たれて大記録はならなかったものの、8回1安打無失点でハーラー単独トップに躍り出た。
須磨翔風高からドラフト3位で入団して8年目。2020年のトミー・ジョン手術を乗り越え、2022年に4勝、2023年に8勝とステップアップしてきた。
オーバーハンドから投げ込むキレのいいストレートと落差の大きいフォーク、鋭いスライダーを武器にリーグ3位の防御率1.19をマーク。奪三振率も規定投球回到達者ではリーグ3位の7.08と高い。
5月19日のヤクルト戦の2回から29.1回無失点を続けており、球界屈指の阪神投手陣の中でも今、最も頼りになる右腕だ。
シーズン2度の「1-0完封」は球団の日本人50年ぶり快挙
秀逸なのは今季すでに3完封をマークしている点だ。4月21日の中日戦は7回降雨コールドだったものの、5月12日のDeNA戦と6月2日のロッテ戦は1-0の完封勝利。シーズン2度の「1-0完封」は、球団では2014年のメッセンジャー以来10年ぶり、日本人では1974年の古沢憲司以来、実に50年ぶりの快挙となった。
もうお気づきの方も多いだろう。才木が投げる試合は打線の援護が少ない。今季の阪神打線は大山悠輔や佐藤輝明ら主軸が不振とはいえ、チーム総得点はリーグ3位の174得点を挙げている。
にもかかわらず、才木が投げると打たない。いや、才木が投げるから頼ってしまうのか。そんなはずはないが、才木自身もヒーローインタビューで「もうちょっと点を取ってほしいですね」とこぼしたことがある。
もちろん冗談半分とはいえ、愚痴りたくなるのも分かるのが下のデータだ。
打線の援護に恵まれなくても抑え込むエースの投球
今季の援護率は2.42。味方打線は9イニング平均で2.42点しか取ってくれていないにもかかわらず、ハーラー単独トップの7勝を挙げている右腕は、正真正銘の「エース」と言っていいだろう。
今季登板した11試合で先制を許したのは4月7日のヤクルト戦、4月14日の中日戦、5月19日のヤクルト戦の3試合のみ。6月9日の西武戦はノーヒット投球ながら味方打線も6回まで0行進だったが、それでも耐えて粘って勝利をつかんだ。
比較対象として出すのは気が引けるが、2023年に16勝で最多勝に輝いた東克樹(DeNA)は援護率4.50だった。2022年に13勝で最多勝の青柳晃洋(阪神)は同4.08、2021年の青柳も同3.92、青柳と並んで13勝で最多勝に輝いた九里亜蓮(広島)も同4.61と味方打線の援護に恵まれていた。
防御率と違い、勝利数は他力本願な面もある。それでも、相手より点を与えなければ勝つという極めてシンプルで、極めて難しい仕事を続けているのが今季の才木なのだ。
自身初の2桁勝利はもちろん、今の調子ならタイトルも十分に見えてくる。一度は勝率5割に逆戻りした猛虎を引っ張るのは、令和の新エース・才木にほかならない。
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記事:SPAIA編集部