上越市が「本町ふれあい館」の土地建物を元の持ち主に無償で返還 23年間高齢者の作品を展示
新潟県上越市は同市本町2の旧「シニアセンター本町ふれあい館」の土地と建物を東京の不動産会社に無償譲渡する。建物は元洋品店で市が寄付を受けたもので、元の所有者に返還する形となる。同館では20年以上、高齢者の趣味作品を展示していた。関連議案を上越市議会12月定例会に提案している。
《画像:無償譲渡予定の旧シニアセンター本町ふれあい館(本町2)》
無償譲渡予定の不動産会社は、寄付者の包括承継人の「三和」(東京都渋谷区)。1997年、「公共施設として活用してほしい」と市に土地・建物を寄付し、市は改修工事を経て翌年に高齢者の趣味や創作活動の展示スペースとして本町ふれあい館を開設した。その後、建物が建築から50年以上が経過し老朽化したことから、市は機能を福祉交流プラザ(寺町2)に移転させ、2022年3月末で施設を廃止した。
市によると、施設の廃止後も三和は公共施設としての再利用を要望していたが、市が活用方法はないと判断したことから、三和が返還を申し出て、今年10月に返還(無償譲渡)の仮契約を結んだ。
2024年12月6日に開かれた上越市議会厚生常任委員会では議員から「雁木だけでも残してほしいと相手方に伝えてほしい」「寄付者の意向を尊重して公共施設として活用すべきだ」などの意見が出た。小林元健康福祉部長は「寄付されたものを無償で返す場合には条件を付けないのが大原則。無償でもらったものを返還する際に、何らかの条件を課すことは信義則に反する」と説明し、理解を求めた。
市議会本会議での議決後に無償譲渡される。
旧本町ふれあい館の場所