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ポッドキャストアワード大賞受賞『Teacher Teacher』 20代はるか&ひとしの“どんな子育てにも寄り添う”姿勢が親たちへ心地よい新風を吹き込む

コクリコ

ポッドキャスト番組『子育てのラジオ「Teacher Teacher」』の福田遼さん、秋山仁志さんへインタビュー第1回。子育ての悩みに寄り添い“納得するまで考える”音声番組として、子育て世代に人気の秘密とは? 全3回。

【写真➡】Teacher Teacherの授賞式の様子とはるかさんの教員時代を見る

「この番組は、世界を回る小学校の先生・はるかと、ラジオ番組プロデューサー・ひとしが、子育てについて“納得するまで考える”ポッドキャスト番組です」そんな一言から始まる、『子育てのラジオ「Teacher Teacher」(ティーチャーティーチャー)』(以下『Teacher Teacher』)。2023年4月「ポッドキャスト」(インターネットラジオ)で始まりました。

番組スタートから1年も経たずに、2024年3月「第5回 JAPAN PODCAST AWARDS」の大賞と、「教養部門最優秀賞」を受賞。

子育ての悩みや困りごとに対して答えるアプローチが的確かつ実践的、博多弁で掛け合う2人の穏やかな空気感が心地よいと子育て世代を中心に支持を集めています。

この番組を企画・運営するのは、元小学校教諭の福田遼さん(以下、はるかさん)と、音声番組プロデューサーの秋山仁志さん(以下、ひとしさん)。2人は大学時代の同級生で、はるかさんが1995年、ひとしさんは1996年生まれ。

まだ20代で、自分の子どもがいたわけでもなかった2人がどうして「教育」の世界に? 『Teacher Teacher』ではどんなことを発信しているの? 今、子育て界隈でもっとも勢いがある2人を直撃しました。

●PROFILE 福田遼(ふくだ・はるか)、秋山仁志(あきやま・ひとし)
ポッドキャスト番組『子育てのラジオ「Teacher Teacher」(ティーチャーティーチャー)』で、子育てや教育に関する情報発信を続ける2人組。元小学校教諭の福田遥と、音声番組プロデューサーの秋山仁志で、子育てについて“納得するまで考える”がコンセプト。無料オンラインフリースクール「コンコン」も運営中。

「一緒に行った沖縄旅行だったかな? お風呂に浸かりながら理想を話したりして、そこで意識がグッと高くなったんよね」と、学生時代の思い出を語る二人(左:はるかさん、右:ひとしさん)。  撮影:日下部真紀

大学時代の友人がなぜ教育のラジオを?

九州大学の同級生で、出会いはダンスサークルだったというはるかさんとひとしさん。大学卒業後もたまに旅行へ行くなど、仲の良い友人の1人だったという2人を再び結びつけることになったのは「教育」でした。

はるかさんは九州大学教育学部で学び、卒業後は念願の小学校教諭として働き始めることに。しかし、そこで大きな挫折を経験したと言います。

「教師になる前は、教育理論も頭に入っているし、たくさん勉強しているから大丈夫だろうと思っていたんです。でも1年目はまったくうまくいかなくて、こんなに子どもたちは言うことを聞いてくれないものなのか……と(苦笑)」(はるかさん)

そこでもっともっと教育や子育てについて深く学んでいこうと、研究や事例を調べたり、文献を読みあさったり、教師として働きながらも大学院に通って学び直しを始めます。

「その学びをクラスで実践してみると、少しずつ子どもたちが変わっていく実感があったんです」と、はるかさん。はるかさん自身が子どもに向き合う姿勢にも変化が生まれ、子どもとの関係の構築が上手くなりました。

「そのときに『子どもと関わるのは職人技。知識だけじゃどうにもならない、技術が必要だな』と痛感したんです。子育ても同じだと思う。頭ではわかっていても、きっと、うまくいないことばかりですよね」(はるかさん)

はるかさんの教員時代。福岡県内の2つの小学校で約5年、担任を務めた。  写真提供:Teacher Teacher

小学校の先生を務めて5年。不登校の子どもたちにかかる課題をもっと深く考えるべく、大きな決断をしたはるかさん。  写真提供:Teacher Teacher

小学校の先生になって5年間。教師として目の前の子どもたちと向き合う楽しさややりがいを感じていた一方で、気掛かりだったのは不登校の子どもたちのこと。

「学校の外にいる子どもたちには何もできていないというもどかしい思いがずっとありました。どうしたらそんな子たちの力になれるだろうと。若くて自由に動ける年齢で世界に出て、海外の教育現場を見て回りたいと思ったんです」(はるかさん)

ほどなくしてはるかさんは教壇を降り、世界を回りながらインスタグラムで情報発信をするように。海外18ヵ国の教育施設を見学し、その実態や不登校支援を学び伝えてきました。

一方のひとしさんは大学卒業後に上京。「社会人になって、人が成果を出すには教育が大事であることを、仕事を通して体感した」と振り返ります。

「大学時代からはるかの教育にかける情熱を尊敬していたし、小学校にいたときも親子に真摯に向き合う姿勢を見てきたんです。僕は音声番組を制作する会社に転職したころで、何か新しい、楽しい企画を自分で作ろうと思っていた時期。そこではるかに『教育に関するポッドキャストをやってみない?』と声をかけたんです」(ひとしさん)

そうして2023年4月、『Teacher Teacher』はスタートしたのです。

「実は僕、1~2本目の配信後から『これはおもしろいぞ、今年のポッドキャストアワードいけるかも……!』って思っていました。これ、今まであんまり言ってなかったんですけど(笑)」(ひとしさん)  撮影:日下部真紀

音声でお悩みに答えるコンテンツにニーズを感じた

スタートから1年足らずで数々の賞を受賞し、著書も刊行。一見、とても順風満帆に見える2人ですが、実は『Teacher Teacher』の前に、『コソラジ(子育てラジオ)』というポッドキャスト番組を配信していた時期もありました。

『コソラジ』は、はるかさんが教育に関することを話す番組で「ふんわりしたコンセプトだったんです」と、ひとしさん。

「この『コソラジ』が、なかなかうまくいかなくて。一度ポッドキャスト配信をやめて、インスタグラムでの発信をメインにしたり、試行錯誤してた時期もあったよね」(はるかさん)

はるかさんは、ポッドキャストラジオで活動する前、子育て情報を発信していたインスタグラムに届く悩み相談のDM(ダイレクトメール)に、ひとつひとつ返信をしてました。

「はるかがひとつひとつのお悩みにDMで回答している姿を見て、『親御さんのお悩みにしっかりと回答する音声コンテンツを作ったら、より深く広くメッセージを届けられるんじゃないか』という話になって。

そこで、Q&Aのお悩み回答構成にしたら、すごく反応が良かったんです。インスタでお悩み募集や告知をして、ポッドキャストでその回答を届ける、という循環が見えてきた。悩み相談のコンテンツを求めている方がこんなにたくさんいたんだ、と気づかされました」(ひとしさん)

「SNSアカウントにはすでに応援してフォローしてくれている方がいたので、ポッドキャストは最初から大きな反響がありました。配信後すぐにたくさんの感想をもらって『これってもしかして、人の役に立っているんじゃない?』と2人で盛り上がったのを覚えています」(はるかさん)

『Teacher Teacher』のインスタグラムには、日々子育てに関するお悩みが届きます。中2の息子の反抗期がひどい、娘の遅刻癖が治らない、子どもが学校へ行きたくないと言っている……などなど。親だけで抱えるには重い課題も少なくありません。

そんな悩みに、2人はどう答えているのでしょう。

ポッドキャストアワード授賞式の2人。ひとしさん(左)が手にしているのはポッドキャスト録音でも使うマイク、受賞の感想をはるかさん(右)に聞いて配信した。  写真提供:Teacher Teacher

悩みや困りごとを受け止め 絶対に否定しない

「はるかは、お悩みに対して『こんなときはこうしたらいいのでは?』という明確なひとつの答えみたいなものを持っている。

それには、先生時代の子どもたちとのエピソードという土台がしっかりあって『こんな子がいて、こういうアプローチをしたらこう変わった』という経験を交えた話ができるんです。それが『Teacher Teacher』のお悩み相談の強みなのかな、と思います」(ひとしさん)

寄せられた悩みに、2人はまず「そうよね、それって難しいよね」、「この親御さん、すごく頑張っていると思うんよ」と穏やかに受け止め寄り添うことから始めます。

「僕が『Teacher Teacher』でもっとも大事にしているのは、絶対に悩みや困りごとを否定しないこと。『これはこうだ』って、結論を言い切られると、責められたような気になってしまう人も絶対いると思っていて。

だから僕らは、『うまくいかない可能性もあるけど、こういうふうに考えてみるのはどうですか?』というスタンスだし、納得いくまで一緒に考えたいと思っているんです」(はるかさん)

「僕ら2人も、ものすごく話し合うよね。意見が違っても、決してケンカはしません。対立すると議論が深まらないので、お互いの意見の背景をまず理解する。そのうえで、納得できるまで話し合って意思決定を行っています」(ひとしさん)

確かに2人のやり取りを視聴していると、お互いにリスペクトし合っている姿勢がとても伝わってきます。そんなさりげなく優しいやり取りが耳心地よく、つい聞き入ってしまうのです。

前向きで具体的なアクションを起こすために

否定しないという大前提のうえで、「前向きで具体的なアクションを考える」のが、はるかさんの信条です。課題を抱える保護者が、前向きで具体的なアクションを起こすために伝えたいのは3つ。

「まずは環境調整をすること。困りごとを誰かのせいにするんじゃなくて、子どもが頑張れるようにするためには、今の環境をどう変えたらいいのかを考える。

次に、失敗は宝なので、間違えることを恐れないこと。そして、常にオープンマインドでいること。助けてほしいとき、困っているときにはちゃんと周りに助けを呼ぶことが大事かなと思います」(はるかさん)

正解が難しい子育ての悩みに、こんなふうに真正面から向き合う二人。『Teacher Teacher』が多くの人たちから支持を集める理由が、分かったような気がします。

─・─・─・─・

次回は、実際に寄せられたお悩みや困りごとに、お二人がどんな実践的提案をしているのかを伺いました。子育てだけでなく、仕事や人間関係にも活かせるヒントが! 

また、2人が目指す「心をラクにする子育て」とは何かを掘り下げます。

取材・文/遠藤るりこ

Podcast番組で反響があった回をベースに書籍化。SNSでは「手元に置いておきたかった」「何度も繰り返し読みたい」等々、うれしいコメントが多数。『先生、どうする!? 子どものお悩み110番 子育てのラジオ「Teacher Teacher」が納得するまで考えます』(PHP研究所)

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