カーネーションが最盛期 栽培61年農家「初の開花遅れ」
県内有数のカーネーションの産地・秦野で、5月11日の「母の日」を前に出荷のピークを迎えている。栽培する今井園芸(羽根)の園主・今井勲さん(81)は、昨夏の暑さが長期化したことで開花の大幅な遅れを初めて経験。それでも例年通りの出荷量を見込み、「秦野の花は他には負けない」と自慢の花々を送り出す。
「10月になっても花が咲かなかったのは初めて。開花は12月頃から」。カーネーションを栽培して61年目の今井さんは苦笑いを浮かべる。
毎年6月に苗を植え、10月から開花していくカーネーションだが、昨夏は暑さが長引いたため生育が鈍く、開花の始まりが2カ月ほど遅れたという。その後は摘み取りが順調に進み、3月から5月にかけて収穫のピークに。赤やピンク、黄色など例年通り年間6万本以上を出荷予定。また今井さんは5年ほど前から、収穫した白い花を液体に浸してブルーやミント、パープルに染色した商品も出荷している。
秦野のカーネーション栽培は、1960年代に葉タバコの代替作物として増加。市内の生産農家は現在7軒で、年間出荷量はおよそ70〜80万本。県内を中心に一部は東京の市場に出荷しているほか、イオン秦野店や「はだのじばさんず」でも販売されている。
東京都在住の中野光恵さん(66)は、援農ボランティア「カーネーション片づけ隊」に参加して以来、8年前から今井園芸を訪れて栽培を手伝う。「色とりどりの花を見るのが好き。楽しみながら買ってほしい」