子どもの「ことばにする力」を伸ばす 現役東大生中心の「読書専門集団」が親子で身につけたい「読書×会話」方法を伝授! 【読書レベル別】推薦4冊も公開!
現役東大生中心のメンバーによる子どもの読書専門集団が、親子で身につけたい読書方法をご紹介!
気持ちをことばで説明できないと、子ども本人も親も苦しい思いをしてしまいます。ことばにする力を伸ばす習慣は、どうしたら身につくのでしょうか?
現役東大生を中心とするメンバーが独自開発した「AI司書」と、全国の司書さんとの協働体制により、1000冊以上の児童書データを持つ読書教育の専門家が教えます。また、【YL】(子どもの読書レベル)別(※説明は後述)に4冊の本も推薦します。
なにを聞いても「ふつう」「おもしろい」ばかり
「学校どうだった?」と聞いても「おもしろかった」しか返ってこない……。
感想を書く宿題が苦手で、なかなか進まない……。
「本当にそれしか感想がないの……?」と、わが子の説明力を心配すること、ありますよね。
「説明」できないと、大人になってからも困ってしまう…
中学生や高校生になれば、人とかかわる機会はどんどん増えます。
友だちと意見がぶつかったとき、違う考えを持つ人達と一緒に活動しなければならないときなど、成長に従ってコミュニケーションの重要性は増すばかりです。社会に出れば自分の意見をわかりやすく伝える力がいっそう求められるでしょう。
今はまだ大丈夫に見えても、気持ちや考えを言葉で表せないと、わが子が将来のコミュニケーションで困ってしまうかもしれません。
また、大きくなってからでは親もなかなか教えにくいのが現実。
そう考えると、心配になりますよね。
日々の会話を積み重ねることが大切
「今から、気持ちを言葉にする練習をしてもらいたい」
「でも、どうやって練習したらいいのだろう……?」
結論から言うと、「日々の積み重ね」がいちばんのポイントです。
気持ちを言葉にするのは大人にとってもエネルギーが要ることで、一朝一夕には難しいもの。
また、相手がどういう意見なのかを聞き、それに応じてさらに自分の考えを積み上げていくのがコミュニケーションの力です。
国語のドリルなどで集中的に鍛えようとすると、かえって逆効果になる場合もあります。
感想を言うことそのものが「面倒だ」「テストみたい」と感じられてしまい、気持ちを伝えることへの抵抗が生まれたり、一方的に言っておしまいということになりかねません。
大切なのは、日々のちょっとした会話を習慣づけることです。
親との会話であれば、子どもは安心して話せます。
失敗しても大丈夫なやりとりのなかで、新しい言葉を使ってみたり、ゆっくり考えて表現したりすることをくり返すうちに、だんだんと気持ちを言葉にすることに慣れていきます。
「本」を使って、気持ちを楽しく言葉にしよう!
とはいえ、いざ会話をふくらませようとしても……。
「『学校どうだった?』と聞いても『おもしろかった』だけで、それ以上広がらない」
「クラスで流行しているYouTuberやゲームの話題はわからないから、温度差がある」
「結局いつもどおり『ふつう』で終わってしまう……」
こんなお悩みも多いのです。
そこでおすすめなのが、「本」を会話のタネにすることです。
本ならば、親と子どもが一緒に楽しめる共通の話題になります。
子ども向けの本であれば、親もさっと読めるので、ほぼ同じタイミング・熱量で「読んだばかりの内容」について子どもと話すことができます。
ページをめくりながら、「ここ、どんな気持ちだったのかな?」と考えたり、「この場面、わが子はどう思ったのだろう?」と質問を具体的に組み立てたりできるのも、書籍ならではの魅力です。
物語の内容や登場人物のこと、もし自分がお話の主人公だったらどうするだろう……など、
本をきっかけにすれば、話題は無限に広がります。
そして読書は、生きた言葉の使い方に触れるチャンスです。
ただ言葉を暗記するのではなく、適切な文脈で、使われ方とセットで知ることで語彙力が身につきます。
読書を通して知った新しい言葉は、やがて「気持ちを表す引き出し」になり、会話をいっそう豊かにしてくれます。
読書は生きた言葉の使い方に触れるチャンス。 写真/アフロ
「読書×会話」のコツは、楽しく・具体的に
「読書×会話」をうまく進めるには、いくつかコツがあります。
コツ①:まずは「楽しく」会話すること
お子さんの言葉を引き出そうと質問攻めにすると、確認テストのような雰囲気になってしまいます。
その結果、楽しかった読書体験がしぼんでしまったり、「本って質問が多くて疲れる」と思われたりするかもしれません。
大事なのは、たとえ思うような感想が引き出せなくても、「へえ、そうなんだ!」「本当だね、そう書いてある!」と相槌を打ちながら、まずは子どもが気軽に話せる雰囲気をつくることです。
子どもの発した言葉・考えをしっかり認めることで、「もっと話してみようかな」と感じるきっかけになります。
コツ②:質問は「具体的」に
「どうだった?」とふわっと聞くと、言葉に慣れていないお子さんはとまどってしまいがちです。
結果として、「ふつう」「おもしろかった」などの短い答えで終わってしまいます。
そんなときは、より答えやすい質問から始めてみてください。
「どっちのキャラクターが好きだった?」
「主人公が泣いたときどう思った?」
こういった質問なら、お子さんもぱっと答えやすく、その後、自然と話を深められます。
親子で読む本が、コミュニケーションを広げるカギに!
本を会話のタネにすれば、気持ちや考えを言葉にする練習を無理なく、楽しく続けられます。
さらに、本を通じて手に入れた言葉は、そのまま「子どもの将来の表現力」につながっていきます。
どの本を選べばよいかわからない方のために、ヨンデミーレベル(YL)ごとに、特におすすめの本を4冊ご紹介します。
YL(ヨンデミーレベル)とは
画像/Yondemy
文章の難しさを表すヨンデミー独自の指標。漢字率、漢語率、一文の長さなど、複数の指標を元に独自のプログラムで解析して算出しています。
たとえばYL30でも小1~小4まで幅があるように、子どもの読書レベルは学年によって一概には決まりません。ヨンデミーではYLを元にその子が一番読みやすい本をおすすめしています。
『がっこうのおばけずかん』 【YL20】
『がっこうのおばけずかん』 作:斉藤洋 絵:宮本えつよし 講談社
学校を舞台にしたお話は、自分の体験とからめることができるので子どもにとって感想を話しやすいです。
累計が200万部を突破しているシリーズで、いろいろな種類のおばけが出てきます。
一緒にオリジナルのおばけを考えてみると、子どもも遊び感覚で楽しく会話できるでしょう。
会話例
・どのおばけが一番好き?
・○○の学校でおばけに出会ったらどうする?
・○○はこういうの怖い?
・○○の学校にはおばけのウワサある?
『キツネのとしょいいん』 【YL25】
『山の学校 キツネのとしょいいん』 葦原かも:作 高橋和枝:絵 講談社
好きな動物から話を広げれば楽しい雑談につながります。女の子が泣いてしまう場面では、「どうして泣いているんだろう?」と問いかけることで、子どもが感情について考えるきっかけにもなります。
会話例
・学校の図書室に行ったことはある?
・ししょさんはどうしてキツネさんの願いをかなえてあげようと思ったのかな?
・もし○○の学校にも、キツネさんがきたらどうする?
・ナズナちゃん、ないちゃったんだね、なんでだろう?
『都会のトム&ソーヤ①』 【YL43】
『都会のトム&ソーヤ①』 作:はやみねかおる 絵:にしけいこ 講談社
ハラハラドキドキの展開に、親子で自然と話が盛り上がること間違いなし!
自分から好きなシーンや登場人物について語ってみましょう。まるで友だちとゲームの話をしているときのように、子どもが積極的に話してくれるかもしれません。
こちらも累計220万部のロングセラーですので、子どもが興味を持った際、安心して読み進められるはずです。
会話例
・どのシーンに一番ドキドキした?
・内人と創也、どっちに似ている?
・○○はトラップがたくさん仕掛けられている砦に行ったら、突破できそう?
・創也の~~のセリフがかっこいいと思ったな! ○○はどう思う?
『みかんファミリー』 【YL55】
『みかんファミリー』 著:椰月美智子 講談社
高学年向けのお話で「家族」がテーマです。
思春期の繊細な心理が描かれ、子どもにも親にも大きな気づきがあります。
ふだん家族のことを話すのは照れくさいというご家庭でも、家族の絆や学校生活について自然と深い会話が生まれるきっかけになります。
野間児童文芸賞、坪田譲治文学賞、小学館児童出版文化賞などを受賞している著者が描いた、新しい家族の形。
幅広い年齢層の心をつかむ作品になっています。
会話例
・今の学校はこんな感じなんだね、お母さん(お父さん)のときは……
・もし明日から誰かと共同生活をするっていったらどうする?
・自分は誰に似ていると思う?
・どの登場人物が好きだった?
さりげない読書のきっかけ作りを心がけて
子どもたちが自発的に手に取っていく形で手渡せれば、子ども自身が読書好きだと自覚できます。
最初にどうしてよいかわからず戸惑ってしまったときや、一通り興味のある本は読み終えてしまったときなど、ヨンデミーの具体的な指標が本選びに役に立ちます。
また、自分で選ぶところからチャレンジさせたいというときには、YouTube動画「ヨンデミーちゃんねる」もおすすめです。
低学年向けから高学年向けまで幅広くカバーしているので、動画を一緒に見ながら「これ読んでみようかな!」とわくわくしながら自分にぴったりな本を選べます。
こうした手がかりをうまく使うことで、気持ちを言葉にする力は親子共に伸ばしていけるはずです。