【第5回】投げ釣りのルールとマナー 広範囲をねらう釣りならではの鉄則
HEATでは魚釣りを末永く楽しむために、また、魚釣りの社会的地位をより盤石にするため、「釣りのルールやマナー」に関して、日ごろから協力してくれているライターさん向けにアンケートを実施。その結果と貴重な意見をまとめ、今後の釣り人への指針となるようお伝えしていこうという当企画。
今回は「投げ釣り(チョイ投げも含む)のルールとマナー」。仕掛を沖に飛ばして海底付近にいるキスやカレイなどねらう投げ釣りは、広範囲のポイントをねらう性格上、ほかの釣りにも増して周囲への配慮が必要。投げ釣りを思いっきり楽しむためのルールとマナーをまとめた。
本格スタイルか?お手軽スタイルか?
近年の投げ釣り事情
本格的な投げ釣りは、4mクラスの専用ロッドに大型の投げ釣り専用スピニングリールを用いる。そして、テンビン式(一部、下オモリ式)の大きなオモリを介して複数のハリ(カレイやアイナメなら2本バリ、キスなら多い場合は10本前後、マダイなどの大型魚ねらいの場合は1本ということもある)が付いた仕掛にゴカイ、マムシ(本虫・イワムシ)などの虫エサをセットしてねらうのが昔から一般的だ。
虫エサをメインにカレイなど海底いる魚をねらうのが投げ釣り
一方、本格的な投げ竿に比べると軽快なルアータックルやボートタックルを用い、軽めのテンビンオモリに全長の短い仕掛を使用する「チョイ投げ」と呼ばれる釣り方もある。その手軽さから近年は初心者にも人気が高く、家族連れで楽しむ人を多く見かける。
ルアーロッドなどで軽快に楽しむのがチョイ投げ。ライトタックルでの投げ釣りだ
大きなオモリにハリ数が多い仕掛を使う釣りだからこそ……
投げ釣りに限らず、どのような釣りでも同じだが、仕掛やルアーを投入する際は、周囲への安全確認と配慮が欠かせない。
●キャスト時の安全確認
●キャスト方向にも気を配る
●根掛かり切断時も注意
キャスト時の安全確認を徹底しよう
投げ釣りでは、とくに自身だけでなく周囲への安全を配慮しよう。本格的な投げ釣りもチョイ投げにも共通するのは、オモリが付いた仕掛を沖に向かって投げる行為だ。仕掛を沖に向かって投げるときは、とくに周囲や自分の後方への安全確認や配慮が必要だ。
キャストするときは周囲への配慮、とくに自分後方の安全確認も忘れずにキャストする方向にも気を配る
また、投げたオモリ(仕掛)を着水させる地点にも注意が必要。ほかの釣り人の仕掛が入っている方向にわざと投げるのは言語道断だが、コントロールできず誤って斜めに仕掛が飛んでしまい、左右の人の仕掛とクロスさせてしまった場合は即座に仕掛を回収し、オマツリさせない努力を怠らないこと。
そして、航行する船(とくに漁港の出入り口付近)、係留された漁船やボートなどがないことも充分確認する必要がある。漁船などの航行に邪魔になる場合は速やかに仕掛を回収(自分の仕掛を切られないためにも)すること。
港の出入り口付近で投げ釣りをする際は漁船など船の航行にも注意
さらに砂浜などでは、夏場は海水浴客、季節を問わずサーフィンを楽しむ人がいる場合もある。いくら釣りの好ポイントであっても、そんな場所は絶対に避けること。安全に配慮し、ほか人に迷惑をかけない釣りを心がけよう。
根掛かり切断時のテンビン飛び出しにも注意
海底をねらう投げ釣りには根掛かり(オモリや仕掛が海底の障害物に引っ掛かり外れなくなること)がつきものだ。竿を軽くあおって外れてくれれば儲けもの。それで外れなければ右に左に角度を変えて何回か軽くあおってみる。潮が速い釣り場なら、道糸を緩めてしばらく待つと外れることもあるので試してみよう。
いろいろ試して、どうしても根掛かりが外れない場合は仕掛を切るしか手段はないが、その場合は絶対に、竿先付近や手元のリールのすぐ上の道糸部分にハサミを入れてはいけない。長く伸びた道糸が海中を漂うことになるので環境へのリスクが高い。
根掛かりしたら竿でシャクルなど外す努力を。引いて仕掛(できればハリス部分)を切るのは最後の手段。決して手元の道糸を切らないこと
根掛かりを切る場合は竿を海底に向かう道糸と一直線にし、竿の弾力を殺して真っすぐ引く。これでハリス部分やテンビンすぐ上の道糸部分で切れてくれることが多い。
ただしこの場合、根掛かりした地点が釣り手から近い場合は、道糸が切れた瞬間にテンビンが空中に飛び出してくることがあるので、自分はもとより周囲に人がいないか、充分に確認してから行ってほしい。
投げ込んだ仕掛の管理について
ところで投げ釣りは、自分の目の前だけでなく広範囲の海底に仕掛をとどめ、また海底で仕掛を動かしてねらう釣りだけに、ほかの釣り以上に注意しなければいけないことがある。
●投げ釣りには置き竿と手持ちがある
●流される仕掛に気を配る
●オマツリ時は率先して自分の仕掛をカット
投げ釣りには置き竿と手持ちがある
投げ釣りには大きく分けて2つのスタイルがあり、ひとつはカレイやアイナメ、チヌやマダイなどをねらう「置き竿」スタイル。もう一方が竿1本を常時手持ちにし、海底まで沈めた仕掛を動かしてキスなどをねらう引き釣りの「手持ち」スタイルだ。
投げ釣りには置き竿(写真左)と手持ち(写真右)という2つのスタイルがある置き竿の場合は流される仕掛に気を配る
常時手持ちで仕掛を動かして釣る引き釣りならまず問題ないが、「置き竿」の釣りでは潮流に流される自分の仕掛の管理を怠らないことがマナーだ。投げ込んだ仕掛が左右の釣り人の目の前に流されるまで放ったらかしにすると、その人の釣りの邪魔になるだけでなく、その人の仕掛とオマツリして迷惑をかけてしまう。
オマツリさせたら率先して自分の仕掛をカット
充分注意していても潮流が速い場合はオマツリしてしまうことがあるだろう。そんな場合はまず謝罪し、率先して自分の仕掛をカットしよう。もちろん、もつれた仕掛を陸上に引き上げてからだ。
また、カレイ釣りなどの置き竿では複数の竿を使用することが多いが、あまりにも多数の竿を並べるのは控えよう。通常2~3本が、投げ釣りをする人たちの暗黙のルールだ。
置き竿でねらう場合は竿3本までがセオリー。あまり多く竿を出すと面倒みきれずトラブルの元
ライフジャケットなど安全対策はほかの釣り同様
仕掛を遠くに投げ込んでねらう投げ釣りだけに、ほかの釣りでも取り上げた周囲とのインターバルや、近くで釣りをする場合の挨拶、声かけは重要だ。もちろん砂浜や護岸、漁港などで釣りをする場合の安全対策(ライフジャケット、グローブ、キャップの着用)もほかの釣り同様忘れずに。
投げ釣りではハオコゼなど毒魚やウミケムシなど危険な生物がハリに掛かることもあるので、フィッシュグリップなどを活用しよう。
●ライフジャケット着用
●グローブ、キャップの着用
●毒魚やウミケムシなどに注意
投げ釣りにもライフジャケット、グローブなど安全装備は欠かせない
「投げ釣りのルールとマナー」まとめ
第4回は投げ釣りにかかわるルール、マナーをまとめたが、安全対策、周囲の人への声かけ、挨拶などコミュニケーションの大切さ、ゴミの放置、迷惑駐車、騒音など迷惑行為をしないのは、もちろん投げ釣りでも同様。
ルールとマナーを守って楽しい投げ釣りを満喫していただきたい。
ルールとマナーを守って楽しい投げ釣りを!
【今回のポイント】
●キャスト時の安全確認
●キャスト方向にも気を配る
●根掛かり切断時も注意
●投げ釣りには置き竿と手持ちがある
●流される仕掛に気を配る
●オマツリ時は率先して自分の仕掛をカット
●ライフジャケット着用
●グローブ、キャップの着用
●毒魚やウミケムシなどに注意