【中央区・二橋染工場】“二刀流”で挑戦 創業約100年の染工場で「注染そめ」を体験しよう
遠州地方の伝統的な染色技法「注染(ちゅうせん)そめ」。初心者も注染そめを体験できる、浜松市の染工場(そめこうじょう)を紹介します。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ1927年創業の染工場
遠州鉄道の遠州病院駅から徒歩3分。浜松市中央区にある、1927年創業の二橋染工場。
昔ながらの注染そめという技法で、浴衣や手ぬぐいなどを染めています。この工場が100年間守ってきた注染染めは、かつて浜松で盛んに行われていた染色技法でした。
二刀流から生まれる美しい“ぼかし”
「やかん」と呼ばれるじょうろのような道具を使って、染料を注いで色づけするので、「注染そめ」と名前がつきました。
職人が両手にやかんを持って、二刀流ですらすらと染料を注いでいく様子に驚きます。
完成した染め物には、グラデーション=ぼかしが生まれます。色の違う染料を同時にかける注染染め最大の特徴です。
花柄に入ったぼかしの美しさ、柔らかい花びらの質感が伝わってきます。
二橋染工場 取締役・二橋智浩さん:
一個一個が完全に手作業なので、一つとして同じものはできません
バランスが大切! 注染そめを初体験
かつて浜松市内に80軒ほどあった注染そめ工場も、プリント技術の発達などにより、二橋染工場を含めて5軒にまで減少しています。
伝統技術を残していこうと、二橋染工場は注染そめの体験を始めました。
染めるのは工場オリジナルデザインの手ぬぐいです。
1週間前までに2人以上で予約が必要で、中学生以上6600円、小学生は4400円で体験できます。
それでは挑戦してみましょう。まずは色を分けるため、模様ごとにノリで土手を作り囲みます。
そして染料を注ぐ「注染」の作業です。
やかんを持ったとたん、染料を誤って垂らしてしまいました。両手に持つため、慣れないとバランスを取るのが難しいのです。
最初は手伝ってもらいながら、狙いの場所に染料をそそいでいきます。
片方のやかんには濃い青色、もう片方には水色の染料が入っています。
色の違う青色の染料を同時に注ぎ込むと、ぼかしが入った富士山ができました。
手ぬぐい1枚で約20分、注染の作業に集中。
徐々に一人でもやかんを上手に扱えるようになってきます。
最終的にどんな色合いになっているのか、出来栄えはノリを落としてみるまで分かりません。
ドキドキしながら、完成した手ぬぐいを広げてみましょう。
テレビ静岡・弦間彩華アナウンサー:
失敗したかと思った部分も、実はいいグラデーションになっていました
見直される注染そめ
注染そめは明治から続く伝統技法です。
独特なぼかしやオンリーワンのデザイン性が再評価され、新規の発注が増えているそうです。
二橋染工場 取締役・二橋智浩さん:
オンラインショップもやっているので、若い人たちにも親しんでほしいと思います
伝統技法を知り、職人の技術の高さも実感できる注染そめ体験でした。昔ながらの方法で、唯一無二の染め物を作ってみてはいかがでしょうか。
■店名 二橋染工場
■住所 浜松市中央区常磐町138-14
■営業時間 8:00~17:00
■定休 土・日・祝・夏季・年末年始
■問合せ 053-452-2686