<え、離婚のフリ……?>息子2才のとき浮気「もう信用できない!」夫と離婚に至った日【まんが】
私(モモコ)は、2才のタケルを保育園に預けてフルタイムで働いています。タケルはエネルギーがありあまっていて、目が離せないようなタイプの男の子。手のかかる子育てに、私は気の抜けない日々が続いていました。そして育休から復帰して以降、私は育児と仕事の両立に悪戦苦闘。一方で夫のユウジは、子どもが生まれてもまだ独身気分が抜けません。タケルのことは可愛がってくれていますが、家にいないことも多く、私の不満は日々募っていくばかりでした。
ユウジは子どもが生まれても、家のことはどこか他人事。いつも私だけが仕事と育児に追われて疲弊していたのです。そんな感じで夫婦がうまくいくわけもありません。ある日私は信じられないものを見つけ、ユウジに問いただしました。
ユウジは反省の態度をみせ、「これからは心を入れ替えて家族に尽くす」と言ってくれました。しかしタケルが生まれてから今日まで、とにかく大変で必死だった日々。どう前向きに考えようとしても嫌悪感が消えることはありませんでした。
こうして私たちは離婚に至りました。タケルが2才のときのことでした。まだ息子が幼いうちに離婚という結論を下してしまうことが本当に良いのか、悩まなかったわけではありません。婚姻関係を継続する方法も考えようとしましたが、何をどう頑張ってもユウジに対する嫌悪感はなくならなかったのです。 私は夫婦関係を解消して、そのうえでお互いが「両親」として繋がっていく方が健全な子育てができると考えたのです。タケルに寂しい思いをさせないように、ユウジもタケルのことを気にかけてくれるようになりました。離婚した今の方が、結婚していたときよりもよっぽど「いい父親」をしてくれていると思っています。
離婚から10年、猛省した元夫!3人で築いてきた親子のカタチ
高学年になり野球チームに入ったタケル。それを聞いて一番喜んだのはユウジでした。それ以降タケルとユウジの交流する機会はぐんと増えました。タケルは野球の話ができるのが楽しいようで、自分からすすんでユウジと連絡を取りあっています。
ユウジはタケルの野球チームに父親として積極的に関わり、毎週水曜と週末にはコーチとして参加するようになりました。練習試合に向かうため、家の前でユウジの車に乗り込むタケル。その姿を見送りながら、私はふと考えます。
自分の浮気が原因で離婚になってしまったという負い目があるのか、今のユウジはタケルと真摯に向き合ってくれているように感じます。おそらくユウジは、あのとき浮気してしまったことをとても後悔しているのでしょう。だったら浮気なんかしなければよかったのに……というのが私の本音ですが、いまさらどうにもなりません。 今のユウジは離れて暮らしている分、懸命にタケルに関わってくれています。「夫婦」ではなくなったけれど、タケルの「両親」であることを大切にして暮らしている今の生活が、私たちには合っているのだろうと思います。
チームの保護者に出回るウワサ!「仲の良い両親」演じた結果?
私が球場に到着すると、私の存在に気が付いたユウジが軽く手を挙げてくれました。私もそれにこたえるように手を振りかえしたのです。しかし周りからは、何となく視線を感じました。チームの他の保護者たちがヒソヒソ話をしている雰囲気も……。
離婚してから数年間は、私は本当にユウジのことが嫌いでした。浮気をされた嫌悪感で、顔を合わせるのも不快だったほどです。だからタケルの問いには「お父さんと仲良くいるためには、離れて暮らすことが一番なんだよ」と答えました。
偽装離婚!? 思いもしなかった言葉に、私は頭がついていけませんでした。でもそういえば練習試合のとき、ユウジと会話していると周りから何となく視線を感じました。どこからかヒソヒソ話をしている雰囲気も感じたし、チームの保護者たちに挨拶してもなんとなくよそよそしくされて……。 離婚しているにもかかわらず、ともに野球チームに関わって仲良さそうに話している私たち。確かにはたから見れば「仲の良い夫婦」そのものなのかもしれません。けれどまさか疑われてしまうなんて……。想像していなかった事態に、私は戸惑うばかりでした。
まさか通報される?「不正疑われたくない」仲良いそぶりはNG
私は思い出してハッとしました。試合に行ったときに感じた周りからの視線のことを。ユウジと手を振りあったとき、確かにチームの保護者からヒソヒソ声が聞こえました。自宅に戻ってからも、私の頭のなかは「偽装離婚」という言葉でいっぱいでした。
「不正」とか「偽装」とか、私にはまったく身に覚えがない話です。けれどもし通報されて、大ごとになったら……? とたんに私は焦りはじめました。離婚したのに仲が良さそうなそぶりを見せていてはいけないのかもしれません。
まさか偽装離婚を疑われる日が来るとは思いもしませんでした。子どもを介して父親と母親として交流しているだけなのに、どうして偽っているなんて疑われないといけないのでしょうか。さらに通報をするかもって……。 私は「通報」というワードに怯えてしまいました。離婚した以上はそれ相応に、疎遠にしていなければいけない……。とにかく今のカタチを変えていかないと……。私はなんとかして通報されるような事態を避けようと必死になってしまったのです。
元夫と距離を取る決意!が、妹に叱られ……「バッカじゃない?」
何も知らないタケルは普通にユウジの話題を出してきます。しかし偽装離婚がささやかれている以上、これまでのカタチは変えていかないといけません。タケルはあまり良く分からないような顔をしていたものの、どこか寂しそうでした。
妹のアンナにも小学生の子どもがいます。ときどきランチをして、私が迷ったときはよく相談にのってもらっているのですが……。噂されていることを理由にユウジとは距離を取ることにしたと話すと、いきなり怒られました。「バッカじゃないの!」
父親が一緒に暮らしていなくても、タケルが寂しい思いをしないように。離婚してからの10年、私なりに必死で考えて動いてきたつもりでした。ただ偽装離婚を疑われてしまった以上、きちんと一線を引かなくてはいけないと思いました。タケルが親の離婚のことでとやかく言われるのはどうしても避けたかったのです。 しかし妹は、そんな私の考え方を一喝したのです。私がユウジと距離を取ろうとしているのはタケルを守るためじゃない、私自身を守るためだと……。思いもよらない意見に、私はすぐに言葉を返すことができませんでした。
離婚後も「両親でいよう」と誓ったのに!振り回された愚かな私
アンナは私に向かって話を続けます。「離婚したあと仲良くしちゃダメだなんて誰が決めたの? 一緒に住むより離れた方がうまくいくと思ったから離婚したんでしょ。今うまくいっているってことは、離婚が間違いじゃなかったって証拠じゃん」
そう、離婚を決めたあのとき誓ったはずなのです。私たちは夫婦でなくなるけれど、タケルにとっての両親でありつづけようと。それなのに私はまるで逆の方へ向かおうとしていた……。なんて馬鹿なことを考えていたんだろう。そう思いました。
アンナに諭されて納得しました。私とユウジは夫婦でなくなっただけで、両親であることには変わりはありません。親子のカタチはそれぞれだし、何よりタケルとユウジの関係が良好ならばそれがいちばん幸せなことなのです。 たとえ偽装離婚だと通報されようとも、事実でない以上堂々としていればいいだけ。そんな当たり前のことになぜ気が付かなかったのでしょうか。自分で自分が情けなくなってしまいます。今後もし周りから何か言われるようなことがあったら、しっかり言い返したいと思います。
元夫の決意表明「離婚したからこそ……!」ウワサは消えるのか?
私がユウジにウォータージャグを手渡すと、当番や付き添いの保護者たちがコソコソと話します。「やっぱり偽装離婚って本当だったんだ」「だよね~。あんなに仲良かったら離婚しないよね~」するとユウジが反応しました。「なんですか? それ」
「別々の道を進むっていうのは、ほんと親のエゴでしかないと思うんですよね。だからこそタケルに寂しい思いをさせないように全力で頑張っているんですよ」大きな声で明るく語るユウジに、噂していた保護者たちは静まり返ります。
まさかユウジが、噂に対してあんなにまともに反論してくれるとは思いませんでした。私はその瞬間、ユウジの明るくて真っすぐだった部分をふと思い出したのです。だからといって簡単に復縁するなんてことはあり得ません。そんな生半可な気持ちで離婚を決めたわけでもないのですから。 その後コロっと態度を変えたチームの保護者たちを見て、私も無責任な噂に振り回されないよう気を付けていかなくては……と思いました。離婚しても仲の良い両親がいてもいい! その気持ちを忘れずに、これからもユウジとタケルがいい父子関係を築けるように応援していきたいと思います。