掘らないでも採れる潮干狩りターゲット『ウミニナ』ってどんな貝?
干潟にたくさん落ちている巻貝「ウミニナ」。地域によっては食用にされています。
潮干狩りのお手軽ターゲット・ウミニナ
潮干狩りといえば「潮が引いたときに、砂の中にいるアサリやハマグリなどの二枚貝を掘り出す」というのが一般的です。しかし砂浜や干潟には、掘り出さなくても簡単に「拾える」美味しい貝があります。
その貝とは「ウミニナ」。カワニナと似た名前からも想像できますが、アサリやハマグリとは違い「巻貝」の一種です。
彼らは砂の上や砂利の上を這い回り、藻類などの小さな有機物を食べています。場所によっては非常に高密度で棲息しており、あっという間に味見分くらいは集めることができます。
韓国では街角スナック
一般的な食用巻貝であるサザエやツブ、バイなどと比べるとこのウミニナはとても小さく、ブツブツした見た目もあってあまり美味しそうには見えません。あまり水の綺麗ではない河口などにもいることも、食用にされにくい理由かもしれません。
しかし実際は美味しい貝で、「ニナ」という名前で食用にされ、鮮魚店で売られることもあります。食用にされるのは西日本が多いようです。
お隣韓国でも、この貝はしばしば食用にされています。筆者が以前ソウルに旅行に行ったときは、街角の屋台でポンテギ(蚕のサナギ)とともに売られており、スナックのように食べられていました。
食べるにはコインが必要?
ウミニナは砂浜に生息するので、調理前に塩水の中で泳がせて砂出しをするのが良いと思われます。砂出しをしたウミニナは一般的に塩茹で、もしくは酒蒸しで食べられています。
ウミニナは口が小さく、縦に長いので他の巻貝のように爪楊枝で中身を取り出すのが難しいです。そのためかつては穴の空いたコインの穴に先端を通し、そのまま折って空気穴を作った上で、殻口から吸い込むようにして食べていたそうです。現代では貨幣を傷つけるのは犯罪となってしまうので、ペンチなどで先端を折るのが良いと思われます。
その味は海のような香りに、強い風味と濃厚な旨みがありクセになります。芋焼酎などの風味の強い酒との相性は抜群です。
<脇本 哲朗/サカナ研究所>