【福岡フルーツカクテル紀行】「BAR CLOUD9(バー クラウドナイン)」の「栗のオリジナルカクテル」
2種類のブランデーが栗の風味を引き立てる 至福のデザートカクテル
今回は中洲の「BAR CLOUD9」を訪問。
オーナーの團野啓昭さんは、中洲の「Bar LOOP」で約10年研鑽を積んだのち、2019年3月、現在の場所に「BAR CLOUD9」をオープン。日本バーテンダー協会が主催する「全国バーテンダー技能競技大会」に九州代表として出場するなど、福岡のBARシーンにおいて、カクテルの名手として名が挙がるバーテンダーの一人だ。
1杯目にいただいたのは、栗を使ったオリジナルカクテル。
ベースに2種類のブランデーを使い、栗の渋皮煮、アーモンドミルク、マスカルポーネチーズを合わせてブレンダー(ミキサー)にかけて完成となる。
グラスに口をつけると、栗の洋菓子「モンブラン」を思わせるクリーミーな甘さが一気に広がり、その口あたりの良さに思わず笑みがこぼれる。
ブランデーの組合せと量の塩梅、味わいのバランス、そして、すっと甘さが消えていくキレの良さなど、オリジナルカクテルとしての完成度の高さが随所に感じられる一杯だ。
そして2杯目にいただいたのは、今年の「全国バーテンダー技能競技大会」に出品されたオリジナルカクテル「Le Chainon(ル・シェノン)」。
洋梨フレーバーのウォッカ、シトラスフレーバーのジンのWベースに、フランスの香草リキュール「スーズ」、バナナのリキュール、キンモクセイのシロップを合わせ、ミキシンググラスを手のひらの上で回しながら氷と一緒にスワリング(撹拌)して完成となる一杯。
口に含むと、まず香草による苦味のアタックを喉元に感じ、続いてバナナとキンモクセイの風味が重なり合うように広がっていく。
個性的な材料の組合せにもかかわらず、雑味を感じることなく、極めて調和のとれたカクテルに仕上がっているのは、数々のカクテルコンペに挑んでこられた團野マスターの研鑽の賜物といえるだろう。
このバーの特徴的な店名は、英語で「この上ない幸せ」を指す慣用句「on cloud nine」に由来。
読者の皆さまにもぜひ、團野マスターの独創的なカクテルとともに、“雲の上の幸福感” を味わっていただきたい。
BAR CLOUD9(バー クラウドナイン)
福岡市博多区中洲2-6-23 コウフクビル1F
092-292-7849
西山健太郎
福岡市役所に勤務するかたわら、2017年2月に樋口一幸氏(Bar Higuchi 代表)と非営利団体「福博ツナグ文藝社」を設立。福岡・博多の地域文化の魅力について独自の切り口で発信している。