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IT部門の負担を軽減するMicrosoft 365管理プラットフォーム CoreView

TECHBLITZ

CoreView(本社:米国ジョージア州)は、企業のIT部門が抱えるMicrosoft 365管理の課題を解消するスタートアップだ。自動化処理や適切なセキュリティによって、Microsoft 365の価値を最大限に引き出しIT部門の負担を軽減する。2023年11月にCEOに就任したSimon Azzopardi氏に、主なユースケースや今後の事業戦略について話を聞いた。

<font size=5>目次
Microsoft 365管理の複雑性を解決する統合ソリューション
毎時72件のエスカレーションが1日7件に激減
トヨタも顧客、日本市場からの引き合いが増加

Microsoft 365管理の複雑性を解決する統合ソリューション

―これまでの経歴とCoreViewに参画した理由を教えてください。

 これまでの24年間のキャリアにおいて、ソフトウェア企業のグローバル展開を支援してきました。通常、企業の年商が1200万ドル未満規模のときに関与し、それを1億ドルに成長させるか、その時点で売却するかのような手助けをしてきました。

 そして2022年からInsight Partnersのアドバイザーとして直接働き、ポートフォリオ企業のグローバル展開を支援しました。このときにCoreViewに出合いました。CoreViewは非常にユニークなプロダクトを持っており、チームは情熱とエネルギーに満ちていました。私はこの企業を成功させたいと強く思いました。

 CoreViewは、必要性から誕生した会社です。創業者たちはイタリアの大企業にITサービスを提供するMSP(マネージド・サービス・プロバイダー)を経営しており、Microsoft製品にまつわる環境のセキュリティ強化、ガバナンス導入、効率的な管理の支援を行っていました。FerrariやFerreroなどの大手ブランドを担当する中で、適切なツールが存在しないことに気づき、独自のツールを開発したのです。

 その後、多くの企業がこのツールを必要としているのではないかと考え、Insight Partnersから資金調達を行いました。このようにして生まれたプロダクトが、現在のCoreViewとなっています。

Simon AzzopardiCoreViewCEO複数の企業で重要な役職を歴任。Meditour社での事業再建成功、GFI Softwareでの世界規模のサポートチーム管理や子会社設立、収益増加への貢献が特筆される。その後、複数のセキュリティソリューション企業で活躍し、2022年にベンチャーキャピタルのInsight Partnersのアドバイザーとなり、翌年には同社の投資先であるCoreViewのCEOに就任。

―現在はどのようなサービスを提供していますか。

 私たちのプラットフォームの目的は、Microsoft 365のセキュリティ、ガバナンス、および管理を提供することです。今日、Microsoft 365はビジネスのあらゆる部分で使用されています。ネットワークへのログインには固有のIDが必要で、従業員が使うデバイスの保護にはDefenderやIntuneを使用します。そして、毎日Office 365のアプリも利用します。さらに、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境の複雑さもあります。

 このため、管理者は18以上の管理インターフェース、100以上のAPI、そして4000から5000の設定項目を扱う必要があります。小規模な企業では問題にならないかもしれませんが、1000人以上のユーザーを抱える企業では大きな課題となります。

 Microsoft 365は企業のニーズに深く根付いていて、非常に便利なプロダクトですが、外部からの攻撃を防ぐセキュリティツールがなく、唯一の方法は正しく設定することです。設定を正しく行った後、企業内で正しく設定されていない部分や最適化できる部分の全体像を把握する必要があります。IT部門にとってこれは大きな負担となります。

 CoreViewは、Microsoft 365管理のさまざまな問題を統合し、適切なセキュリティガバナンスで保護し、自動化と管理を可能にします。CoreViewの特長は、Microsoft 365テナント内のすべてのワークロードやアプリケーションを扱う点です。また、オンプレミスとクラウドのハイブリッド環境や、複数のADフォレストを持つ複雑な環境にも対応します。

―Microsoft 365は非常に多くの企業が利用しています。CoreView同様のサービスを提供する競合はいますか。

 CoreViewの興味深い点は、唯一のオールインワンプラットフォームであることです。競合が私たちに対抗しようとするなら、9つの異なる企業の製品を組み合わせる必要があります。つまり、CoreViewを再現しようとすると、それぞれの機能に対応する競合企業が必要になるのです。

 個々の小さな部分を別々の企業から購入することは可能ですが、それでは全体の統合が難しくなります。例えるなら、私たちは前菜からデザートまでのフルコースを提供していますが、他社の場合、前菜は一つの店から、メインディッシュは別の店からといった具合に分散して購入する必要があるのです。私たちは他のどの競合企業よりも多くの問題を解決し、より多くのソリューションを提供しているのです。

毎時72件のエスカレーションが1日7件に激減

―CoreViewプラットフォーム導入の具体的な効果について教えてください。

 効率性は私たちの最大の強みの一つです。公表しているケーススタディでは、自動化によって年間1800時間から2200時間の削減が見られました。例えば、新しい従業員が会社に入るときや退職する際の手続きです。このすべてのプロセスを自動化できます。どのツールにアクセス権を付与するか、どのレベルの権限が必要かなど、すべてが自動化されるため、管理者の負担が大きく軽減できます。

 設定のバックアップも効率化に役立ちます。テスト環境でのテストを、実際の運用環境と同じ設定で行うことができるため、テストプロセスの迅速化が図れます。また、テストからプレプロダクション、そしてプロダクション環境への移行も、設定を一方向にコピーするだけでスムーズに行うことができます。他にも、一般的な管理業務においても時間の節約が見られます。

 世界で2番目に大きなMicrosoftテナントの例を紹介しましょう。この企業ではエスカレーションのチケット数を減らすためのソリューションを探していました。以前は毎時間72件のエスカレーションが発生していました。各部門の管理者から「これをしたいが権限が足りない、助けてほしい」といった要求がひっきりなしに生じていたのです。一般的な解決策としては、各部門の管理者に高いレベルの権限を与えることが考えられますが、それではシステム全体が非常に脆弱になります。

 CoreViewでは、個々の管理者に権限を与えるのではなく、管理者が使うワークフローに権限を与えることができます。例えば、パスワードのリセットやユーザーの権限レベルの変更などです。この企業では各部門の管理者にワークフローを作成する権限を与え、必要な作業の自動化を行いました。その結果、テストフェーズでのチケット数が1時間当たり72件から1日7件に大幅に減少しました。これにより、非常に大きな時間の節約が実現し、数百万ドル規模のコスト削減が見込まれています。

 CoreViewでは災害からの復旧能力も強化できます。カスタム設定が多いほど、災害からの復旧が難しくなりますので非常に有効です。「CoreView Configuration Manager」を使えば、設定を確実にバックアップすることができます。災害が発生した場合でも、バックアップから復元するだけで、数週間や数か月ではなく、数時間で再稼働が可能になります。先ほどの世界で2番目に大きなMicrosoftテナントでは、災害時に業務を再開するのに28日かかると見積もっていましたが、私たちの製品をテストしたところ、3時間以内で再開できることが分かりました。

―生成AIがホットなトピックで、Microsoft Copilotも話題になっています。御社のプラットフォームでもAI関連の技術を利用していますか。

 私たちの創業者の一人はAI分野で非常に評価されており、X(旧Twitter)で積極的に情報を発信しています。内部ではAIを活用しており、CoreView内に独自のインスタンスを持ち、セールスチームやマーケティングチームをはじめ、全てのメンバーが質問に利用しています。また、Microsoft Copilotを導入しようとする企業には、セキュリティ面での懸念があるという声もありますので、適切な設定をする支援をしています。

 さらに、AIによって管理者の日常業務を支援する機能も追加しました。例えば、設定がベストプラクティスに一致していない場合、AIが管理者に通知し、「ほとんどのユーザーがこのセキュリティ設定を有効にしています。あなたも有効にしますか?」と提案します。管理者が「はい」と答えると、その設定が自動的に有効化されます。

image: CoreView

トヨタも顧客、日本市場からの引き合いが増加

―御社のビジネスの状況についてお聞かせください。

 CoreViewはここ数年間、非常に安定した成長を続けており、特に過去4年間で大きな成長を遂げました。現在、世界中に420社以上の顧客を抱えており、その分布は非常にバランスが取れています。多くの場合、顧客は主にアメリカに集中していますが、私たちの顧客はアメリカとその他の国々がほぼ均等に分かれています。例えば、よく知られている日本の顧客として、トヨタが私たちのツールを長年にわたって使用しています。

 さらに興味深いことに、日本市場からの需要がますます増えています。実際、先週だけでも日本から2件の問い合わせがありました。一つはMSPから、もう一つは大企業からのものでした。

 過去4年の成長についてお話ししましたが、コロナ禍以降、企業が使用しているツールの数に対する関心が高まっていることも感じています。Microsoft 365には40以上のアプリがあり、企業はこれらのツールをできるだけ多く活用するようになっています。現在、多くの企業には『デジタルワークプレイスチーム』と呼ばれるチームがあり、これらのアプリが適切に、そして頻繁に使用されていることを確認する役割を担っています。TeamsやWord、Outlookなどのツールが正しく使用されていることを確認する責任があります。

 特にTeamsの利用が増えているのは当然のことです。例えば、従業員が休暇中に電話がどう転送されるかなど、Teamsの設定に対する関心も高まっています。企業内でのTeamsの利用方法に対するフォーカスが強まっていると感じています。

―今後の目標について教えてください。

 直近では、2024年末までに前年比50%の成長を達成することです。現在のユーザー数を考慮すると、これは非常に積極的な成長目標です。特に大手企業を獲得することに力を入れています。しかし、その一方でMSP市場にも注力しています。MSP向けのツールには大きな需要があり、CoreViewの提供するソリューションに多くの関心が寄せられています。そのため、私たちはこの市場での勝利を目指しています。

 私たちの長期的なビジョンは、会社を長期にわたって持続可能なものにすることです。多くの競合他社は特定の期間や短期的な成果を目指して運営されていますが、私たちは無限の視点を持って会社を築いていきたいと考えています。これは一過性のものではなく、常に先を見据えて競争に勝ち続けることを目指しています。私たちはすでに市場のイノベーターとしての地位を確立していますが、その地位をさらに強化し、競合他社が模倣しようとするリーダーであり続けたいと考えています。

―日本市場への進出について期待することを教えてください。

 私が2023年11月に就任して以来とても楽しみにしているのが、アジア・太平洋(APAC)地域への展開です。現在、オーストラリアではAPAC担当のチームメンバーがいます。今後は特に日本市場にも進出したいと考えています。そのため、常にリセラーやディストリビューターを探しており、彼らの協力を得てさらなる成長を目指したいと考えています。現在、多くの日本企業が私たちに相談に来ており、彼らは特定の問題を解決しようとしています。これらの企業に対して、私たちの製品がどのように役立つかを示すために、パートナーシップを強化したいです。

 現在、最も重要なパートナーは、他のリセラーやシステムインテグレーターを見つける支援をしてくれるディストリビューターです。また、MSPに特化した専門的なディストリビューション企業も必要としています。

 CoreViewはすでに日本のネットワーク環境や日本語環境で使用されて、スケールアップも可能であることが証明されています。トヨタのような世界最大級の企業が私たちの製品を使用していることからも、その実績は明らかです。私たちは日本市場を支援する準備ができており、日本市場への拡大を支援してくださるチャネルパートナーと出会いたいです。

従業員数なし

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