「ドラゴン桜2」監修・現役東大生が教える「スマホ」だからこそできる効率的な勉強法
漫画「ドラゴン桜2」の監修でも知られる現役東大生の西岡壱誠さん。著書『東大式スマホ勉強術』では、スマホだからできる効率的な勉強法を紹介しています。そこで西岡さんにスマホを使った勉強法についてお聞きしました。全4回の4回目。
スマホの利用時間が長いほど成績が低くなる!?漫画「ドラゴン桜2」の監修でも知られる現役東大生の西岡壱誠さん。著書『東大式スマホ勉強術』では、スマホだからできる効率的な勉強法を紹介しています。前回は、スマホを勉強に取り入れることのメリットを西岡さんにお伺いしました。連載最終回となる今回は、スマホを使った勉強法について。
アナログ学習ではできない、スマホならではのメリットを生かした、おすすめのスマホ学習術を西岡さんに教えていただきます。
西岡壱誠(にしおか・いっせい)
1996年生まれ。偏差値35から東大を目指すものの、2年連続で不合格に。二浪中に開発した独自の勉強術を駆使して東大合格を果たす。2020年に株式会社カルペ・ディエムを設立。全国の高校で高校生に思考法・勉強法を教え、教師に指導法のコンサルティングを行っている。日曜劇場「ドラゴン桜」の監修や漫画「ドラゴン桜2」の編集も担当。著書はシリーズ45万部となる『東大読書』『東大作文』『東大思考』『東大算数』(いずれも東洋経済新報社)ほか多数。
スマホで効率的に苦手を克服
──西岡さんは小中高生にも勉強を教える機会が多いと聞いています。実際、今の子どもたちは、どんなふうにスマホを活用しているのでしょうか?
西岡壱誠さん(以下、西岡さん):YouTubeで非常にクオリティの高い解説動画がたくさん公開されているので、それを予習復習に使っている人は多いですね。
倍速視聴すれば、短時間で概要を知ることができますし、わかりにくい部分や、大事なポイントは、そこだけ繰り返し視聴することができるのも動画ならではのメリットだと思います。
暗記や計算力にはアプリを活用
西岡さん:暗記や計算力をつけるために、アプリを使うのもおすすめです。少し前までは、暗記であれば単語帳を何周も読み返したり、計算も片っ端からドリルを解いていくというやり方が王道でした。
アプリが紙の単語帳や問題集と大きく異なるのは、できなかった問題や苦手な問題をAIが認識して繰り返し出題してくれることです。勉強を進めるうえで、得意な問題を繰り返し解くことより、苦手な問題を復習することのほうが大切です。
しかし自分が何を覚えていないか、どんな計算でつまずきやすいかは、意外と気づきにくいもの。それをAIが代替してくれることで、効率的に穴を埋めていくことができます。
間違えた問題はスマホで隙間時間に解き直し
──それは確かにアナログ学習にはない、デジタルならではのメリットですね。
西岡さん:もうひとつおすすめなのが、スクリーンショットや写真を活用するということです。間違えた問題や覚えていない単語などを写真に撮って一つのフォルダにまとめていき、隙間時間に見返すのです。解けた、覚えたと思えばデータを消します。
あるいは、わからないことがあって検索したら、そのページをスクショし、またひとつのフォルダにまとめていきます。こうしておくと、いつでもどこでも、ちょっとした時間に復習ができます。
ノートや教科書、参考書を常に持ち歩くのは大変ですが、スマホなら常に手元にありますよね。トイレの中、歯を磨くときなど、生活の中で定期的に見返す習慣をつけると、確実にスマホ学習が定着していくと思います。
特性を理解してChatGPTも有効活用
──最近ではChatGPTなど生成AIも身近な存在になっていますが、これらも勉強に活用できるのでしょうか。
西岡さん:ChatGPTの答えが100%信頼できるものではないことは前提としておくべきですが、疑問が湧いたとき、すぐに回答がもらえるのはいいですよね。ただ、ネット検索においても言えることですが、それが「正解」だと思考を止めてしまわないようにしましょう。
例えば、「徳川家康はなぜ江戸に幕府を置いたのか」という質問をChatGPTにするとします。すると、「江戸は平野部だから」というような返答がきたら、そこで答えが出たと終わりにするのではなく、「他のところにも平野はある。他の平野と江戸の平野は何が違うのか?」と次の疑問を投げかけてみましょう。
ChatGPTはコミュニケーションの中で答えにたどり着くように想定されていますので、キャッチボールのような使い方をすると、より理解を深めることができると思います。
僕のおすすめの使い方は、「問題を出してもらうこと」です。過去問などを入力して、「これと似た問題を作って」とお願いすると、いくらでも出てきますよ。
──そんな使い方もあるんですね!
西岡さん:そうなんです。スマホを使った勉強方法は無限にあります。勉強の効率を上げたいと思っている人はスマホ勉強を取り入れると、かなり工夫の余地があるのではないでしょうか。
ただ、もちろん必ずしもスマホがいい、というわけではありません。東大生もノートは紙でとっている人が多いですし、勉強の記録をつけるアプリもありますが、個人的には紙の手帳のほうが使いやすいと思っています。勉強方法も好みや相性がありますからね。
自分に合っていれば取り入れればいいし、合わなければ別のやり方に変えればいい。選択肢のひとつとして、一度試してみてほしいと思います。
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全4回にわたってお届けした「スマホと学力」について。
東北大学助教・榊󠄀浩平先生(1・2回目)は、スマホの利用時間が長いほど学力が低下する傾向があり、親子でルールを決め、付き合っていく必要があると教えてくださいました。
一方、西岡壱誠さん(3・4回目)は、勉強が苦手な子にとってはスマホを使うことで勉強に対するハードルが下がり、また目的意識を持って使えば勉強を効率的に進めることができるとお話しいただきました。
スマホは非常に高機能で魅力的であるがゆえに、使い方次第で毒にも薬にもなり得るもの。リスクとメリットをよく理解した上で、「何のために使うのか」という目的意識を持ち、子どもが自律的に使っていけるように、保護者の方は使い方のサポートをしていけるといいですね。
取材・文/北 京子
スマホと学力に関する記事は全4回。
1回目を読む(榊󠄀浩平先生編)。
2回目を読む(榊󠄀浩平先生編)。
3回目を読む(西岡壱誠さん編)。
『「考える技術」と「地頭力」がいっきに身につく 東大思考』著:西岡壱誠(東洋経済新聞社)
『読んだら勉強したくなる東大生の学び方 』著:西岡壱誠(笠間書院)
『「思考」が整う 東大ノート。』著:西岡壱誠(ダイヤモンド社)
「東大式スマホ勉強術 いつでもどこでも効率的に学習する新時代の独学法」著:西岡壱誠(文藝春秋)