「映画が世界を変える力があると証明してくれた」𠮷田恵輔監督ら絶賛コメント到着『聖なるイチジクの種』
映画『聖なるイチジクの種』の本編映像が解禁。さらに著名人たちからの絶賛コメントも到着した。
あなたが目撃するのは“禁断の真実”
第77回カンヌ国際映画祭で審査員特別賞を受賞し、先日発表された第97回アカデミー賞では国際長編映画賞にノミネート。
2022年に実際に起き社会問題となった、ある若い女性の不審死に対する市民による政府抗議運動が苛烈するイランを背景に、家庭内で消えた一丁の“銃”を巡って家族も知らない家族の顔が炙り出されていく。
予測不能に加速する衝撃のサスペンススリラー『聖なるイチジクの種』より、一丁の銃を巡って家族の本性が暴かれていく様子を捉えた本編映像が解禁された。
映像は、忽然と無くなった一丁の銃を巡って、お互いの猜疑心が高まっていく家族の様子を捉えたもの。ようやく手に入れた予審判事の地位も危うくなり、イマンは、上司からは「この失態は尾を引くぞ」と懸念を抱かれることに。「知らない」という娘の言葉を信じられず家探しを始め、何度も「家にあるはずだ。あの子 なんて言った?」と妻に執拗に詰め寄る様子が、綻び始めた家族の実態を映し出している。
また、映画監督の𠮷田啓輔、空音央、ゲームクリエイターの小島秀夫、ミュージシャンの小山田米呂、お笑い芸人・歌人の鈴木ジェロニモら総勢8名からの絶賛コメントが到着した。
コメント全文(敬称略/50音順)
ISO(ライター)
権威の象徴たる「銃」の紛失で男は戸惑う。
家父長制の揺らぎに焦り、力で従順を迫る男に、世代も思想も異なる女たちが団結し抗う。
遺物となった価値観を撃つこの寓話に、イランの現在と未来を見た。
大森時生(テレビ東京 プロデューサー)
身体性すら伴う激しい緊張感!167分間全く弛緩することがない。
人間の「良心」は環境に応じて、あっさりと豹変していく。
イランの家族の物語ではあるが、そこでおこる変貌は私たちの姿そのものだ。
小山田米呂(ミュージシャン)
イスラームにおける道徳的世界はイスラーム以外の人間には理解し難いものです。革命後のイランを生きてきた世代とテクノロジーによって近代化された世代の軋轢と不信は、程度は違えど我々にも共通する課題に感じました。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
冒頭は、2022年にテヘランで起きたあの“マフサ・アミニ”さんの死亡報道。
初期のアスガル・ファルハーディ監督作を観るような感覚で静かに鑑賞していたら、後半からスリラーに完全にシフト。
このラストには衝撃を受ける。社会の狂気は、疑惑を内部に生み、家族をも狂わせる。
政治的な批判や抗議を赤裸々に率直に訴えるよりも、家族の崩壊を観客の感情に問う。
これが、何よりも怖い。そして、クレバーだ。
鈴木ジェロニモ(お笑い芸人・歌人)
まるで深い水の中。静かにそして切実にほんとうのことを見せてくる。ほんとうのことを聞かせてくる。生きるのはこんなに真剣でこんなに苦しい。恐る恐る明るくなった劇場の光にようやく私が流れ着く。一番近くにいる人を、今すぐ抱きしめなければいけない。
空音央(映画監督)
この映画はイランの国家の暴力や家父長制に抵抗している。
しかも、ラスロフ監督はこの映画を作ったことによってもう故郷へ帰れないかもしれない。そんな監督、スタッフ、キャストの覚悟が漲っているこの映画から、目が離せなかった。
町山智浩(映画評論家)
ヒジャブ反対運動に揺れるイランで、政府に立ち向かう若者を弾圧する父。豊かな生活を守りたいだけの母。
運動に巻き込まれる長女。反逆の炎を静かに燃やす次女。
父の拳銃が消えたことで、この一家は崩れていく。それはイランそのものだ。
𠮷田恵輔(映画監督)
新たな価値観、若者の声が未来を変える姿に震える。映画が世界を変える力があると証明してくれた。
覚悟の塊のような、この一本が映画人生の指標になる。
『聖なるイチジクの種』は2月14日(金)TOHOシネマズ シャンテほか全国順次公開