【河津町・河津七滝】「伊豆の踊子」の舞台! 片道徒歩約40分で楽しむ7つの滝
静岡・伊豆の山・川・滝を気軽に味わえる「河津の七滝めぐり」。それぞれ異なる特徴を持った7つの滝を徒歩約40分で巡れる人気の散策コースです。渓流の音や澄んだ空気、木々の香りに包まれながら歩く道は、家族旅行にもカップルのデートにもぴったりです。
【画像】記事中に掲載していない画像も! この記事のギャラリーページへ河津の七滝めぐりとは?
河津の七滝(ななだる)は、伊豆半島の天城山のふもとにある7つの滝をさします。平安時代頃から、河津では滝のことを“水が垂れる”と表現していたことから、「たき」ではなく「たる」と呼んでいたと言われています。
また河津の七滝は、古来近くに住む“てんぐ”が、悪さをする7つの首を持った大蛇を退治した際、落ちた7つの首がそのまま滝になったという伝説があります。
長い年月をかけて、川と溶岩が生み出した美しい7つの滝は、有名な文学作品「伊豆の踊子」ゆかりの地でもあるため、物語を感じながら散策できるのも魅力です。
片道徒歩約40分ほどで制覇でき、急なのぼり階段や坂道はあるものの、無理のないペースで歩けば子供やハイキング初心者でも十分楽しめます。
水の音と緑に囲まれた道は、まるで自然のテーマパークに迷い込んだような心地よさを感じさせてくれるでしょう。
遊歩道・のぼり階段でめぐる7つの滝
河津にある7つの滝を実際にめぐってみましょう。今回は、下流側にある無料駐車場に車を停め、下流から上流へ進むルートを紹介します。
1.大滝(おおだる)
7つの滝のなかで最も大きい大滝は、落差が約30mもあり、近くで見ると迫力があります。
ごうごうと響く滝の音に包まれると、自然の力のすごさを実感できるでしょう。遊歩道を進むと視界が一気に開け、目の前に広がる白い水のカーテンに思わず目をうばわれます。
滝つぼの深い青色も美しく、写真を撮る人でにぎわう人気スポットです。七滝の入り口にして最大の見どころともいえる大滝は、最初から心がつかまれる迫力の滝です。
2.出合滝(であいだる)
ふたつの川の流れがひとつに出合うことから名付けられた出合滝。
遊歩道を歩いていると、川の音が次第に大きくなり、木々の間から白い流れが見えてきます。
滝自体はあまり大きくないものの、水が岩肌をなめるように滑り落ちる姿が美しく、どこか穏やかです。
渓流の合流地点にあるため、水の動きにリズムがあり、ずっと眺めていられる心地よさがあります。
3.カニ滝(かにだる)
流れ落ちる水が岩を滑り降り、横に散る姿がカニの動きに見えることからカニ滝と名付けられました。近くで見ると、確かに水が左右に軽やかに跳ねるように流れ、どこかかわいらしい印象をうけました。
大滝の迫力とは違い、小ぶりで親しみやすい滝です。周囲は木陰が多く、ひんやりした空気が心地よいです。さらさらと流れる水音に耳を澄ませながら歩くと、渓谷の静けさがより深く感じられます。
カニ滝から次の初景滝へと向かう道中、川に「大岩成就(おおいわじょうじゅ)」がありました。
小石を3つ投げて、うまく大岩のてっぺんにあるくぼみに入れば願いが叶うという言い伝えがあります。筆者も挑戦してみました。
3つの石で100円。料金箱があるので払ったら、いざ挑戦です!
小石を投げる場所から大岩のくぼみまでは、約5mほどの距離なので、しっかり狙えばうまく入りそうです。
ですが、筆者は3個とも外して川のなかへ。
4.初景滝(しょけいだる)
七滝で最も有名といっても過言ではない初景滝。滝つぼの前に「伊豆の踊子と学生」のブロンズ像が設置されており、像と滝がセットになった画像を目にした人は多いでしょう。
初景滝を近くで見ると水量がとても多く、勢いよく流れ落ちる白い帯が美しいことがわかります。
像越しに眺める構図が定番なので、写真を撮る人が多く訪れます。
5.蛇滝(へびだる)
細長く曲がった流れがヘビのように見えることから名付けられた蛇滝は、落差は小さいながらも、岩肌を曲がりくねりながら落ちていく水の線がとても印象的です。
滝の水が岩の形に沿って流れており、自然がつくり出した造形の美しさが感じられます。周辺は木々が生い茂り、陽ざしが葉に反射してきらきらと輝くエリア。歩道も比較的歩きやすく、静かに滝を眺めたい人におすすめです。
6.エビ滝(えびだる)
エビ滝は、滝の形がエビのしっぽに似ていることから名付けられました。実際に見ると、流れがピュッと前に飛び出すように見える瞬間があり、ずっと眺めていても飽きません。
周りにはコケむした岩が多く、渓谷らしいしっとりとした空気が漂います。滝の前には小さな橋があり、川の音と水しぶきがほどよく届いて、心がすっと軽くなるようなエリアです。
7.釜滝(かまだる)
七滝めぐりのゴール地点ともいえる釜滝は、落差22mのりんとした姿が魅力です。滝つぼは深い青色をしており、かつては地獄谷と呼ばれ、おそれられていたそうです。
実際に近づくと水の勢いが強く、滝の音が体に響くほど迫力があります。
周辺には吊り橋があり、そこから眺める滝の姿はまさに絶景。七滝めぐりの締めくくりにふさわしく、「ここまで歩いてきてよかった」と思える眺めでした。
七滝めぐり スタート地点までの行き方
七滝めぐりは、上流と下流のどちらからでもスタートできます。バス、または車で行く際の行き方についてまとめました。
バスで行く場合の行き方
河津の七滝へバスで向かう場合、河津駅から乗車できる東海バスが便利です。
七滝方面行きのバスに乗り、下流からめぐる場合は「河津七滝温泉」のバス停で。上流からめぐる場合は「河津七滝遊歩道入口」のバス停で降りましょう。
ただしバスの本数は多くはないため、事前に時刻表をチェックしておくと安心です。バスの車窓からは川沿いの景色や山の風景が楽しめるため、旅気分を盛り上げてくれます。
車で行く場合の行き方
車で訪れる場合は、「河津七滝ループ橋」の近くの無料駐車場で停めます。
国道414号線にあるループ橋の南側に「河津七滝入口」と大きく書かれた看板があるので、矢印に従って曲がります。ループ橋の下を通って、道なりにくねくね進むと、右手に「七滝めぐり無料駐車場」という看板が見えてきます。
駐車場周辺には土産物店や飲食店があります。休日や夏の繁忙期は混雑することが多いため、早めの時間帯に向かうと安心です。
駐車場のすぐとなりに遊歩道のスタート地点があるため、家族連れでも移動がしやすいルートです。車での移動は、すでに荷物が多いときや寄り道を楽しみたいときに便利。周辺の温泉や観光地とも組み合わせて計画を立てやすく、旅の幅が広がります。
七滝めぐりにおける注意点
七滝めぐりの遊歩道はほとんどが舗装されていますが、渓谷ならではの急な坂道や階段、濡れた岩場もあります。そのため、歩きやすいスニーカーやトレッキングシューズがあると安心です。
夏場は虫が多いため、虫よけスプレーや長袖の羽織りを身に付けましょう。
川沿いは日陰が多く肌寒く感じることもあるので、季節を問わず羽織を1枚用意すると便利です。また、かならず水分補給ができるものを忘れずに。
雨のあとや早朝は足場が滑りやすいため、無理のないペースで歩くことが大切です。
暗い時間の散策は避け、安全に楽しむための準備をしてから、渓谷散策を満喫しましょう。大滝遊歩道は24時間開放していますが、街灯や足元灯といった明かりがないため、暗くなってからの散策はやめましょう。
四季を通して訪れたい河津の七滝めぐり
河津の七滝めぐりは、季節ごとに違った表情を見せてくれるのが魅力です。春は桜や新緑が輝き、夏は清流の涼しさが心地よく、秋は紅葉が渓谷を彩り、冬には澄んだ空気の中で滝の白さが際立ちます。
歩いて片道約40分ほどのコースながら、自然の迫力や静けさ、色彩が凝縮されているため、何度訪れても飽きません。
家族旅行やカップルのデート、ひとり時間のリフレッシュにもおすすめな散策スポット。伊豆を訪れるなら、ぜひ七滝の魅力を味わってみてください。
■スポット名 河津七滝町営駐車場
■住所 静岡県河津町梨本379−13
■営業時間 24時間開放
■問合せ 0558-32-0290(河津町観光協会)
■駐車台数 約30台
取材/奥村奈央