完全分離型二世帯住宅ってどんな家?メリット・デメリットも解説
戸建てに関心がある人の中には、親世帯と子世帯が同じ建物の中で分かれて暮らす完全分離型二世帯住宅に興味がある方もいるのではないでしょうか。
この記事では、完全分離型二世帯住宅の間取り実例やメリット・デメリットについて解説します。
ぜひ注文住宅を建てる準備に役立ててみてください。
完全分離型二世帯住宅とは?
完全分離型二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一つの建物に暮らす二世帯住宅の中で、それぞれの住空間が完全に分離している住宅のことです。玄関・リビング・居室・水回りが別々になっています。
完全分離型二世帯住宅には、横割り分離型・縦割り分離型の2タイプがあります。横割り分離型は、建物の階によって住空間を上下に分けるタイプです。縦割り分離型は、平屋もしくは複数階建ての住宅を縦に分離して住空間を左右に分けるタイプです。
完全分離型二世帯住宅の実例をルームツアー!
完全分離型二世帯住宅の実例をご紹介いたします。横割り分離型と縦割り分離型を1例ずつご覧ください。
50坪2階建てを上下に分けた間取り(横割り分離型)
建坪50坪の家を上下に分け、左右の玄関から各世帯へ入る横割り分離型の二世帯住宅です。広さはほぼ同じくらいであり、1階は和室つき、寝室は1つです。2階の寝室は2部屋あります。1階が親世帯、2階が子世帯向けの間取りです。
98坪2階建てを左右に分けた間取り(縦割り分離型)
延べ床面積98坪とかなり広めの住宅を左右に分離した二世帯住宅です。向かって左側は1階建て。リビングには和室が隣接し、ウォークインクローゼットのある個室が2部屋あります。親世帯の2人暮らしに合った間取りです。
向かって右側は2階建てで、1階には吹き抜けのあるリビングと水回り、広めの主寝室があります。2階には個室が4部屋もあり、子世帯6人家族に合った間取りとなっています。建坪面積が広く、親世帯から孫世帯まで暮らせるゆとりのある二世帯住宅になっています。
完全分離型二世帯住宅のメリット
完全分離型二世帯住宅には下記のような4つのメリットがあります。
・お互いのプライバシーを確保しやすい
・適度な交流を保てる
・2種類の住宅ローンの組み方ができる
・節税に役立つ
お互いのプライバシーを確保しやすい
二世帯住宅に暮らす場合でも、親子でプライバシーを尊重したいと考える人も多くいるでしょう。完全分離型二世帯住宅なら玄関・居室・水回りなどを別にできるため、お互いのプライバシーを確保しやすくなります。
まず玄関・表札・ポストから別々の世帯に分けられます。親子で姓が異なる際には、表札・ポストが別々にあると便利です。家への出入りも過度に知られたくない場合は、玄関の位置を離すとさらにプライバシーを確保しやすくなります。
水回りが分離されるため、お互いの使い方やお手入れに気を使わなくてすみます。深夜や早朝にシャワーを使う場合でも、別世帯に気を使わなくてすむのがメリットです。
適度な交流を保てる
完全分離型二世帯住宅であれば、お互いのプライバシーを確保しながらも適度な交流が保てます。お誕生日・お正月・クリスマスなどのイベント時に、どちらかのリビングに集まってパーティーを開いてもよいでしょう。
また緊急事態においても、多くのメリットがあります。たとえば必要なときに小さな子どもを両親に預かってもらったり、両親に何かあった場合にすぐ駆けつけたりすることも可能です。
2種類の住宅ローンの組み方ができる
完全分離型二世帯住宅を建てる際には、親子リレー返済と親子ペアローンの2種類の住宅ローンが利用できます。
親子リレー返済
親子リレー返済は親が住宅ローンを組み、子が連帯債務者となってローンを引き継ぐ仕組みです。親だけのローンよりも長期間の返済ができます。
団体信用生命保険(団信)は、親と子のどちらか一方の加入となります。親が加入期間中に死亡した場合は保険金で住宅ローンが完済されるため、子はローン返済の必要がありません。
親子ペアローン
親子ペアローンは親子が住宅を共有し、親子それぞれで住宅ローンを組む仕組みです。単独よりも借入額を増やせます。団体信用生命保険は親子それぞれが加入するシステムです。
節税に役立つ
完全分離型二世帯住宅であれば、税制上の優遇を受けやすくなります。固定資産税および不動産取得税が軽減されるのがメリットです。
固定資産税の軽減
50〜280㎡の住宅を新築する場合、一世帯当たり120㎡相当の固定資産税が3年間、1/2に減額されます。一方二世帯住宅の場合、240㎡相当の固定資産税が3年間、1/2に減額されます。つまり、固定資産税の軽減額が一般の住宅の2倍となるのです。
不動産所得税の軽減
50〜240㎡の家屋を新築した場合、一世帯ごとに1,200万円控除されますが、二世帯住宅は2,400万円控除され、不動産取得税も2倍軽減されます。
完全分離型二世帯住宅のデメリット
完全分離型二世帯住宅には下記のような2つのデメリットがあります。
・建築費用がかさむ
・水道光熱費が2倍かかる
建築費用がかさむ
完全分離型二世帯住宅は、二世帯分の玄関・居室・水回りの建築が必要です。住宅を2棟建てるのと同様に、建築費用がかさみます。全体の建築予算が決まっている場合、玄関・水回りが2つあるために居室が狭くなります。
それに対して、玄関や水回りを共有する共有型二世帯住宅であれば、完全分離型二世帯住宅と全体の住宅面積が同じでも、水回りが一つのために居室の面積が広くなり、建築費用は少なくてすみます。
水道光熱費が2倍かかる
完全分離型二世帯住宅では、それぞれの世帯に水道光熱費がかかるため、共有型二世帯住宅と比べると全体の水道光熱費がかさみます。
注意すべきことは、水道光熱費の負担割合を決めておく必要がある点です。後で負担額のトラブルが生じないようにしてください。
あらかじめメーターを2台設置して支払いを分離する方法もあります。
完全分離型二世帯住宅はどんな人におすすめ?
完全分離型二世帯住宅をおすすめしたいのは、下記のような人です。
・親子で近くに住みたいが、プライバシーは尊重したい人
・長期のライフプランに対応できる住宅に住みたい人
親子で近くに住みたいが、プライバシーは尊重したい人
高齢者の住宅と生活環境に関する調査結果によると、高齢者の29.0%が子どもと同居ではなく近居をしたいと考えています。また、家族と地域における子育てに関する意識調査報告書によると子ども世帯の48.6%が祖父母と近居を望んでいます。
この結果からみると親子で近居を望み、二世帯住宅を望むケースは多いと思われます。さらにお互いのプライバシーを尊重したい親子は、完全分離型二世帯住宅がおすすめです。
長期のライフプランに対応できる二世帯住宅に住みたい人
完全分離型二世帯住宅であれば、下記のような長期のライフプランに対応できます。
子世帯が転勤で空き家となる場合、子世帯の住空間を賃貸物件にできる
親世帯が施設入居や死亡などで住まなくなった場合は、親世帯の住空間を賃貸物件にできる
親世帯が住まなくなった住空間に、孫世帯が住むことも可能
まとめ:
完全分離型二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が一つの建物に暮らす二世帯住宅の中で、それぞれの住空間が完全に分離している住宅のことです。お互いのプライバシーを確保しやすい、適度な交流を保てる、2種類の住宅ローンの組み方ができる、節税に役立つ、といったメリットがあります。
親子で近くに住みつつプライバシーを重視したい人には、完全分離型二世帯住宅がおすすめです。