きれいなのに「足の裏の匂い」がする?!植物界の常識を覆す花も 夏の森には個性的な花々がいっぱい
自然豊かな北海道、「森あそび」も夏の選択肢に入れてみてください!
夏の森と言えば「虫探し」ですが、「虫は苦手!」という方も多いと思います。今回は「夏の花」に注目して森の魅力を前編・後編でご紹介します。この記事は後編です。
連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
「滝野すずらん丘陵公園」の「滝野の森ゾーン」から、森の住人KENTAが、自然の魅力や楽しみ方を伝える連載です。
種にも戦略 黄色い花
前編の記事では、暗い夏の森でも目立つ白い花々をご紹介しましたが、続いて紹介するのが「黄色」の花。
キツリフネ
最初に紹介するのが「キツリフネ」。
その名の通り「黄色くて吊られている船」の形をしています。
このキツリフネ、種が変わってるんです。花が終わると細長い実ができるんですが、いい感じで膨らんだ実を指でつまむと「パチン」と弾けて種が飛び出します!
風や動物たちが触れた時の振動で種を飛ばすのがキツリフネの戦略。ぜひ花だけじゃなくて種の時期も楽しんでみてください!
オミナエシ
黄色い花2つ目が「オミナエシ」。
この花も小さい花がたくさん集まって咲きます。漢字で書くと「女郎花」。ちなみに似たような花で白い花がありますが、これは「オトコエシ」。漢字で書くと「男郎花」。
このオミナエシ、実はある一つ特徴があります。それは乾燥させると「臭い」ということ。
実際、滝野でもオミナエシの花を乾燥させてケースに入れていたことがありますが、蓋を開けた瞬間顔をしかめる臭さ!資料などには「足の裏の匂い」とか書かれてたりもするので、機会があればぜひ嗅いでみてください!
メマツヨイグサ
黄色い花の最後は夜に咲く花。
メマツヨイグサという花で、日が暮れ始めると花が開き始め、あっという間に開花します。毎年夜の森を歩く「ナイトハイク」では鉄板ネタとしてご案内してます。
夜に咲く理由は、夜に飛ぶ虫たち(主にガの仲間)を独占するためだと思われます。
ほかにも個性的な花々が
夏の森には他にもいろんな色の花があります。
先程のキツリフネのピンクバージョンなのが「ツリフネソウ」。
ツリフネソウも種が爆発します。
夏の終わりに草むらに出てくるのが「ネジバナ」。
その名の通りねじねじしながら花が咲きます。
他にもうっそうとした森の中ではクルマユリという森でも珍しいオレンジの花が開花します!
草原で紫の棒状の花を咲かせるのがエゾクガイソウ。
逆に暗い森の中でも目立つ気がまったくない花もあります。
植物界の常識を覆す「肌色」の花。名前は「シャクジョウソウ」と言います。
この花は地面の菌から栄養をもらうので葉緑素がありません。「これが花?」と言いたくなりますが、これも花です。
いかがでしょう?
富良野や美瑛に行くとカラフルで目立つ花をたくさん見ることができますが、夏の森も意外にカラフルなんです。緑一色になる夏だからこそ目立つ花もたくさんあります。昆虫が苦手という方はぜひ花を探しに森に行ってみてください!
連載「森に行こう! ~身近な自然におもしろさが詰まっている~」
文:森の住人 KENTA
国営滝野すずらん丘陵公園 自然環境マネージャー。1978年札幌生まれ京都育ち。約6年間のサラリーマン生活を経て、森についての知識・経験ゼロの状態で滝野の森ゾーンの担当になり、様々なイベントの企画や広報、森づくりなどを担当。公園内にヒグマが侵入した際は専門家と一緒に現場の最前線で調査を担当。滝野の森staffXにて監視カメラを使った野生動物たちのリアルな様子などを発信中。
編集:Sitakke編集部IKU
※掲載の内容は記事執筆時(2025年6月)の情報に基づきます。