上越市指定文化財「林富永邸」かやぶき屋根ふき替え 築140年の邸宅が装い新たに
新潟県上越市三和区神田の市指定文化財「林富永邸」で、2024年6月から行われていたかやぶき屋根のふき替え作業が9月に完了した。築140年以上の重厚なかやぶき屋根の邸宅が装いを新たにし、邸内のカフェが来場者を迎えている。
《画像：かやぶき屋根をふき替えた林富永邸》
林富永邸は1883年（明治16年）に建てられた豪農の館で、江戸時代に地域の庄屋を務めた富永家の分家が、もともとは高田藩が所有する山林だった土地を購入して建設した。建物は重量感のあるケヤキや杉の太い柱や梁（はり）、書院造りの座敷など、建築当時のまま保存されている。庭は眼下の水田や遠くに望む山々を借景に、杉苔を敷き詰めた枯山水庭園だ。
《画像：眼下の水田や遠くに望む山々を借景にした、こけむす庭園》
2020年には当主の富永家に生まれた酒井里香さん（58）と夫の宏明さん（61）が、歴史ある古民家を維持、活用することを目的に手作りの発酵食品を使ったスイーツを提供する「CAFE HAYASHI（カフェ ハヤシ）」をオープンさせた。
《画像：杉木立の奥に立つ》
かやぶき屋根のふき替えは2016年以来8年ぶりで、静岡県御殿場産のカヤを4tトラック5台分使用し、専門の職人が約3か月かけてふき替えた。ふき替えたばかりのかやぶき屋根は「茅色（かやいろ）」と呼ばれるわずかに赤みを帯びたくすんだ黄色。収穫の秋を連想させ、今の季節にぴったりだ。庭の苔の緑とのコントラストも美しく、落ち着いたたたずまいを見せている。
《画像：約3か月かけて行われたふき替え作業（2024年8月8日撮影）》
かやぶきのふき替えと合わせ、「下庭（したにわ）」と呼ばれる、屋敷より一段下がったところに広がる庭にも飛び石を置き、散策できるようになった。普段は庭園には立ち入れないが、11月9、10日に開催される市内に残る旧家4軒の邸宅を一般公開する「上越名家一斉公開( https://joetsu-meika.com/2024/09/03/%e4%b8%8a%e8%b6%8a%e5%90%8d%e5%ae%b6%e4%b8%80%e6%96%89%e5%85%ac%e9%96%8b%e3%83%bb%e7%a7%8b%e3%81%ae%e5%85%ac%e9%96%8b/ )」では散策が可能だ。
《画像：飛び石を置き、散策が可能になった下庭》
宏明さんは「奇麗にふかれたかやぶき屋根を見に足を運んでいただければ。11月の一斉公開では庭も散策してほしい」と話している。
カフェの営業は金土日曜と祝日で、営業時間は午前10時〜午後5時。営業時間変更や満席の場合があり、当日でも予約がおすすめ。025-532-2602( tel:0255322602 )（午前9時〜午後6時）。
林富永邸について | 林富永邸( https://hayashi-tominaga-tei.com/about/ )
CAFE HAYASHI・カフェハヤシ | 上越市の文化財カフェ | 古民家カフェ | 発酵スイーツ( https://cafe-hayashi.com/ )
